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独行法反対首都圏ネットワーク

第155回国会参議院予算委員会2002年10月25日
   [he-forum 4665] 参議院予算委員会10月25日 国立大学関係質疑
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第155回国会参議院予算委員会2002年10月25日
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html
http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/a25-san-yosan-nishioka.html

○西岡武夫君 ・・・・・・

 それともう一つは、今、私は後からお話ししようと思ったんでございますけ
れども、特殊法人のことをおっしゃいました。特殊法人を独立行政法人という
新しい名前を付けて、若干機構は違うようでございますけれども、本来ならば
特殊法人は、私どもは、いったん全部廃止して、どうしても必要なものがある
ならば新たにこれを作る方が望ましいだろうと、そういう意見を展開してまい
りました。ところが、独立行政法人という名の下に、そこに、今まで国立の例
えば美術館であるとか博物館であるとかそういうものもあったんですけれども、
それを独立行政法人というふうにして、まぜこぜにして、そして特殊法人を生
き残りを図っているじゃありませんか。これはどうなんですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 特殊法人を全部廃止したらどうなるか、そ
れを考えなきゃいかぬと。必要な事業もあるでしょう。百幾つあるのが今度四
十幾つかになります。その独立行政法人も、今までの特殊法人よりも更に効率
的に運営するような方法になっております。

 一遍に全部廃止しろというスローガンはいいですけれども、やっぱり段階を
踏む必要があるんじゃないかと思っておりますので、いい案があったらどんど
ん出していただいて、具体的に。廃止すればいいというんじゃない、どういう
ふうに廃止すればということを具体的に出していただければ、よく検討させて
いただきます。

○西岡武夫君 特殊法人と独立行政法人の違いはどこにあるんですか。──い
や、これは総理のお考えを。いや、総理のお考えを。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは担当大臣に任せてあります。

○国務大臣(石原伸晃君) 事務的な話でございますので、私の方からお話を
させていただきたいと思います。

 まず、西岡委員は、特殊法人を独立行政法人に衣替えするんじゃないかとい
うお考えが今の御質問の根底にあるのではないかと聞かせていただいておりま
す。しかしながら、特殊法人、すなわち官がやらなきゃいけない仕事があるか
ら特殊法人ができたんであって、その事務を全部民間に任せ切れる、あるいは
地方に任せ切ることができないので特殊法人に代わる独立行政法人というもの
を考えたわけであります。

 目標を管理する、ガバナンスをしっかりする、あるいは第三者委員会がその
業務を監視する。そしてまた、独立行政法人は三年から五年ごとに見直しをい
たしますので、特殊法人のように一度できたら自分で業務をどんどん増やして
いって、それが増殖していくようなことのないように、任務が終わったら廃止
する、そういう仕組みが独立行政法人と特殊法人との相違点でございます。

○西岡武夫君 これは異なことを伺うんですが、独立行政法人というのは役目
が終わったらこれは廃止するという、これは総理、間違いありませんか。──
いや、総理に聞いているんです。

○国務大臣(石原伸晃君) 三年から五年ごとにしっかりと見直しをして、役
目がなくなったら廃止することができるように仕組ませていただいております。

○西岡武夫君 それでは、総理にお尋ねいたしますが、今、国立大学を着々と
独立行政法人化するという作業が政府内部で進んでいるわけです。私は、文教
委員会等でこれに反対する議論、意見を申し上げているわけでございますけれ
ども、その大きな流れはなかなか止めようがない方向に来ているわけですけれ
ども、それでは、国立大学も同じように、独立行政法人と同じように何年かたっ
たらば見直してどうするかということをどういうふうにお決めになるんですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は元々、国立大学が果たして九十幾つ、
九十以上も必要かと。今の大学制度を考えて、私学の果たしてきた役割も多い。
やはり国立でなきゃできないものというのはもっと絞っていいんじゃないかと
いうことから、これは国立大学も見直さなきゃいかぬということで文部科学大
臣に指示しまして、これを見直しなさいということでやっておりますので、私
より文部科学大臣の方が答弁、いい答弁できると思いますので、よろしくお願
いします。

○西岡武夫君 遠山文部科学大臣は、私も非常に、大臣、お若いときからよく
存じ上げている間柄でございますから、大臣のお考えはもう既に委員会等でお
聞きをしております。

 総理にお尋ねをいたしますけれども、今盛んに教育学部というものを統合す
るという今、総理のお考えに基づいているんだろうと思いますけれども、これ
が進んできているようです。

 ところが、よくお考えいただきたいんですけれども、日本の国というのはそ
れぞれの地域の特徴がある。その中で教員養成というのが行われて、そして、
その地域をよく知っている先生が特に義務教育について教えていくというとこ
ろにその地域のいろんな意味でのプラスの面があると、そういう意味で果たし
ている役割は非常に大きいと思うんです。

 それをいたずらに、何か統一さえして合理化すればいいんだということで一
か所に集めてしまう。例えば四国なら四国に一か所あればいいんだというよう
な効率的な考えだけで教育行政を進めていいのかどうか。そこはいかがですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 文部大臣をやられた西岡代議士の御意見で
すから、長年の経験あるいは見識に基づいての御発言だと思います。

 その点につきましては、文部行政については私よりはるかに詳しいわけでご
ざいますので、私は、専門的なものは文部科学大臣、よく科学方面の専門家の
意見を聞いて、必要な国立大学は残して発展させる、そうでないものは統合す
る、あるいは廃止する、民間に移譲する、地方に移譲する、そういう点につい
ては文部大臣、しっかり頑張ってくださいと言っておりますので、私より詳し
い文部科学大臣に答弁させた方がより親切に答弁できるのではないかと思いま
す。

○委員長(陣内孝雄君) 遠山文部科学大臣。

○西岡武夫君 委員長、結構です、それは。

○国務大臣(遠山敦子君) 一言だけ。

 国立大学につきましては、独立行政法人ではなくて、大学の本質に絡んで国
立大学法人ということで今、新たな組織作りに準備をしているところでござい
ます。御承知のとおりでございます。

 それから、教員養成につきましては、これは統合・再編ということがまずあ
るということではなくて、少子化に伴いまして教員の採用の枠が非常に少なく
なってきている、また教員について、社会的ないろんな問題に対応していくと
いうことでカリキュラムの充実が必要である。しかしながら、今、各県にある
非常に入学定員の少ないところでは十分なカリキュラムを組めない。それはむ
しろ県を越えて統合すべきことによってより充実することができるならば、統
合し再編してより充実した教員養成をしていこうということでございまして、
このことについてはまだ委員会で答弁したことがございませんので、ちょっと
お答えさせていただきました。

 以上でございます。

○西岡武夫君 今、雇用の問題等も非常に大きな深刻な問題になっているわけ
でございますけれども、例えば総理も御承知と思いますが、三十人学級にすべ
きだという強い意見がございます。

 学級数の、子供たちの数を減らせば、少ないほどいいんだとは私は決して思
いません。一定のやはり人数の中で教育が行われるということが大事だと私は
思っております。しかし、三十人学級というのは、私どもの小学校のころはた
しか六十人ぐらいいたと思うんですけれども、三十人学級というのは一つの基
準としては適切な基準ではないかと私は思います。

 そうなりますと、今、文部科学大臣から言われましたように、教員になられ
る方が少ない、そういうようなこともあって教育学部の統合というような問題
も検討されているということですけれども、それだけで実は十万人ぐらいの教
員が必要になってくるわけです。

 ですから、雇用という、まあ雇用対策で教育を考えるというのもいかがと思
いますけれども、そういう面もあるということも十分総理、お考えになってい
ただきたい。これについてはいかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 教育の重要性というのは幾ら言っても言い
過ぎではないと思いますし、日本は教育重視でやってきましたし、これからも
教育の重要性はよく認識しなきゃならないと思っております。

 三十人学級、どの規模がいいか、教科によっても違ってくると思いますが、
私のころも大体六十人ぐらいで遅番、早番がありましたね。先生が少なくて生
徒が多いから、毎週、今週は朝番、次が遅番、午前中の部と午後の部、同じ学
校であったんですよね。そういうことから比べると、もう三十人なり二十人な
り、最近はクラブ活動もできないぐらい人数が少なくなってきたという状況で
ありますが、一方では、それだけよく生徒の面倒を見れるといういい点もある
と思います。

 いずれにしても、雇用の面ということよりも教育を重視するという観点から
あるべき姿をいろいろ研究する方がいいと思っております。

○西岡武夫君 それでは、今私が提案申し上げたことに小泉総理も賛成いただ
いたというふうに理解をいたします。

 教育の問題にせっかく入ったわけでございますから、もう一点お尋ねをいた
しますが、義務教育、これは国の責任であると。これは総理、そうお考えでしょ
う。よろしゅうございますね。

 私は、かねて、これはいろいろ自由民主党の時代から議論があったところで
ございますけれども、義務教育については、これはすべて国の責任で行うべき
であると。小学校、中学校、私は、学制の六三三四という学校制度も変えるべ
きだという意見でございますけれども、現行制度の下においても、最低限小学
校と中学校は国立にしたらどうかと私は思って今日に至っております。

 ところが、最近、いろいろ財政の問題も非常に厳しいということも十分私も
理解いたしますけれども、義務教育国庫負担について、今は御承知のとおりに
市町村そして県が義務教育、高等学校については責任を持っているわけでござ
いますけれども、それに国から補助金が行っている。これをなくそうと、少な
くしようという動きもあるようですけれども、むしろ、これは国の責任におい
て行うというふうに変えるべきだと、方向としては。財源についてはどういう
ふうにするかという問題がこれからあります。それは、今日そこまで触れる時
間がございませんから申し上げることは差し控えますけれども、その基本的な
考えについては、総理、いかがでしょうか。基本的だけで結構です。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 基本的に、教育というのは小学校、中学校、
国が責任を持って無学なからしめるという明治以来の伝統で日本はやってまい
りましたし、教育の重要性、国が相応の義務といいますか、負担をしていくと
いうのはいいと思います。

 ただし、どの程度の負担が必要か、またどの程度地方の自主性にゆだねるべ
きかというのはまた別の観点から議論されてもいいのではないかと思っており
ますので、今回、義務教育の国庫負担金も補助金も交付税も、あるいは財源も
地方の自主性にゆだねるためにはどういう方法がいいかということを総務大臣
の下でも文部科学相の下でも検討していただいておりますので、その結論を待
ちたいと思っております。

○西岡武夫君 私が総理にお尋ねしておりますのは、義務教育については国立
にしたらどうかということについてどうお考えかということです。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、必ずしも国立だからいいということ
は思っておりません。地方独自の公的な関与もあっていいのではないか、また、
公立、国立に入らなくても私学に入って教育を受ける人がいてもいいのではな
いか、国立にこだわるものではございません。

・・・・・・・・・