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読売新聞ニュース速報 社説[私大経営危機]「生き残りに発想の転換が必要だ」 心配されていたことが現実のものになろうとしている。 私立大学・短大の経営危機がそれである。 日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、今春、全国の私大の約三割、私立 短大の約五割が定員割れに陥った。 少子化による十八歳人口の減少が大学の経営危機を招く、との指摘は以前からあっ た。志願率や進学率の上昇で人口減を補える時期が続いたが、不況の長期化などで、 それも難しくなった。 在学生を抱えたまま、大学・短大が破綻(はたん)すると、その影響は甚大だ。 山形県の酒田短大が、その初めてのケースだった。定員充足のため中国人留学生を 大量に受け入れたが、経営難から九月以降は授業も行われず、先月、全教員に解雇通 告がなされた。 十一人の学生が最後まで残ったが、三人が、他の短大で、特定の科目を受講する履 修生となり、その他は帰国や除籍を余儀なくされた。 大学の破綻は、卒業資格が取得できないといった問題を引き起こすだけではない。 引き続き勉学を続けられる場を確保できるかどうかが、より重要となる。 酒田短大のようなケースが他の大学・短大でも起きるようなことがあれば、それこ そ大きな社会問題となりかねない。転学受け入れのためのネットワーク構築などの措 置を講じる必要がある。 短大を閉鎖するため、新入生募集を停止する動きは、昨年から出始めた。大学でも 今春、二大学が一部の学部の募集停止に踏み切った。 大学・短大を閉鎖する場合、在学生に迷惑をかけない措置をとることは、関係者の 最低限の責務である。 今後、志願者減の傾向は加速すると予想される。そうであるからには、大学を身の 丈にあった規模に仕立て直すことも考えるべきだ。 文部科学省は、大学の新設、定員増の認可抑制を原則的に廃止する方針を決めた。 「護送船団方式」の放棄である。大学間の競争はより激しくなる。 「大学冬の時代」の到来が指摘される中、多くの大学の新増設を認めてきた同省の 責任も、問わざるを得ない。 大学側には、厳しい現実を見据え、痛みを伴う改革も必要となる。 規制緩和に伴い、財務状況や定員充足率などの情報開示が重要になる。それが大学 に対する信頼回復につながる。 言うまでもなく、魅力を備えるためには、教育や研究の面でまねの出来ない特色を 持たねばならない。それが再生の原点であることも、忘れてはならない。 [2002-11-03-22:39] |