問35 出資財産の範囲などについて教示願いたい。
 
 
(答)
 
1.国立大学の法人化に伴う国有財産の承継方針について
  先行独立行政法人は、独立行政法人通則法第8条の規定において、「独立行政法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならない。」とされ、また、「政府は、その業務を確実に実施するために必要があると認めるときは、個別法で定めるところにより、各独立行政法人に出資することができる。」こととされている。各国立大学法人(仮称)についても先行独立行政法人と同様に、その業務に必要な財産については出資(承継)する予定である。
  一方、業務に必要でない財産については、「共同機関」に承継し、国立大学法人(仮称)の施設整備の財源として活用していくことを検討している。
 
2 国立大学法人(仮称)に対する出資の範囲等について
 @ 省庁別宿舎は全て現物出資されるのか。
法人化移行時に職員が入居中の宿舎については、維持管理機関である各大学へ現物出資する方向で関係省庁と協議中である。なお、財務省の行政財産等の使用状況実態調査等で非効率の指摘を受けその処理方針が庁舎利用若しくは売却とされている宿舎については、財務局及び文部科学省と個別に協議したうえ、各大学が必要とするものについては出資することになると考える。
 
 A 売却予定地及び未利用地等は現物出資の対象となるのか。
 売却予定地及び未利用地等については、大学における業務を確実に実施するために必要な財産とはいえず、大学へ現物出資する対象とはならないが、国立大学法人(仮称)全体の施設整備の財源として活用するため、「共同機関」に承継する方向で検討している。
 
 B 境界確定が済んでいない財産の出資はどうなるのか。
   境界確定については、法人化にかかわらず整理するようお願いしてきたところであり、最大限の努力をお願いする。
 
 C 特許権の帰属は具体的にどのようになるのか。
先行独立行政法人の設立にあたっては、不動産等については出資とし、無体財産権については各法人へ承継することとされたことを踏まえ、国立大学法人(仮称)についても同様の取扱いとする予定である。
 
 D 引継の具体的な方法やスケジュールはどのようになるのか。
   出資財産は、法人の成立の日(平成16年4月1日予定)現在における時価を基準とした「資産評価委員会」の評価をもって国立大学法人(仮称)に引き継がれることから、同委員会開催までには 各種の資料等の調製を行っておく必要がある。(別添、先行独立行政法人現物出資スケジュールを参照。ただし、スケジュール中の年月日について、国立大学法人(仮称)に関しては大幅に前倒しされる可能性がある。)
   現在、財務省理財局と出資財産の範囲等について概括的な協議を行っているところであるが、具体的な検討段階になると先行独立行政法人と同様に個別協議を行うことも考えられるので、遺漏のない対応を願いたい。
なお、土地・建物等の評価にあっては、不動産鑑定士における評価の有効期間が6ヶ月とされていること及び出資時点により近時の評価が求められることから、平成15年度後半の評価結果を予定している。
 
 
 

問36 土地・建物の評価方法はどのような資料により行われ、時期はいつ頃になるのか。 また、承継手続に必要な具体的資料はどういうものか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 先行独立行政法人にあっては、出資があったものとされる出資財産の価額は、独立行政法人の成立日現在における時価を基準とし評価委員会が評価した価額とするとされたことから、国立大学法人(仮称)においても同様に、法人の成立日(平成16年4月1日予定)までには土地・建物等の評価を行っておくことが必要である。先行独立行政法人への出資に際しては不動産鑑定士の評価を求め、評価決定書、評価要領、評価調書、国有財産現物出資内訳書及び関係図面をもって評価委員会へ提出したところである。
 
2 国立大学法人(仮称)への出資については、先行独立行政法人と基本的には同様に考えているが、評価の手法において国有財産台帳及び附属資料等を基に不動産鑑定士等の実地調査による評価を予定している。
なお、国有財産台帳及び附属資料等については、評価をはじめ、その後の手続き等に不可欠であることから、遺漏のないよう調整方願いたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問37 各大学相互間で無償で貸借りしていた土地の取扱い、現在貸付けができない同窓会 等への貸付けの取扱いはどうなっているのか。また、現在、無償で貸付等している土地 の取扱いはどのようになるのか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 現在各大学間で無償で貸借りしている土地のうち、相互の大学間で協議の上法人移行時までに所属替が可能なものについては、事前に所属替を行っておくことが望ましいと考える。しかしながら貸付地について、将来利用計画等があるなど、個々の土地の事情で当面現状と同様の状態で貸借りせざるを得ない場合には、出資後の財産が直接国有財産法の適用を受けないことから、有償又は無償を含め、貸借りについて個々の大学が判断することになると考える。
 
2 現在、貸付けができないこととされている同窓会等への貸付けの取扱い、及び現在、無償で貸付等している土地の取扱いについては、大学へ出資される財産が業務を確実に実施するためのものであることを考えれば、全く無制限に貸付を行えるものではなく、大学本来の教育・研究という事業目的に支障のない範囲で、個々に大学が判断すべきことと思われる。
  なお、それぞれの大学において、貸付基準を規定するなど一定の基準を設けた上で貸付を行う必要があるものと考える。  
 
 
 

問38 土地、建物の処分収入は、原則として当該処分収入の一定部分について大学の自己収 入とすると伺っているが、一定部分とは処分収入額のどの程度を想定しているのか教示願 いたい。
 
(答)
 
1 土地・建物の処分について、原則として当該処分収入の一定部分については各大学の自己収入とし、残余は国立大学法人(仮称)全体の施設整備の財源に充てることを検討している。
 
2 具体的には、「共同機関」を介して、各大学法人における土地等の処分収入の一定割合について再配分することを検討しているが、施設整備の枠組み全体にも関連するものであり、「一定部分」の程度を含め詳細は現時点では未定である。
 
 
 
 
 

問39 長期、短期借入金の指針及び範囲について教示願いたい。また、次のことについてど のように取り扱うかも教示願いたい。
 @ 附属病院等の施設整備を行うために、財源確保の観点からシステム(共同機関)によ  り長期借入を行う場合、その長期借入に対する償還の仕組みについては、大学の施設整  備計画や中期計画予算等を策定するうえで必要となるため、システムと大学との役割を  含めその仕組みがどのようになるのか。
 A 国立大学特別会計が現在有している長期借入金債務の承継・償還が具体的にどのよう  になるのか。

 
 
(答)
 
(新規の長期借入金について)
1 国立大学法人(仮称)の施設整備には、高度先進医療に対応した附属病院再開発整備事業や新たなキャンパスへの移転など、多額の整備財源が必要となる場合も想定されることから、財政状況に左右されることなく安定的に整備可能な仕組みが必要と考えられる。
このため、国からの施設費補助金に併せ、「共同機関」の機能を活用した長期借入金による整備を可能とする方向で検討している。
この長期借入金による整備範囲は、整備後の増収を含めた附属病院収入をもって償還が可能な附属病院の整備並びに移転後の土地処分収入により償還が可能な事業を対象とする予定である。
 
2 新規長期借入金については、「共同機関」が、各大学の移転整備及び附属病院整備に充てるための資金を一括して借入れ、当該借入金相当額の各大学への貸付けを行うことを検討している。
また、法人化後は、個々の大学が「共同機関」から借入れを行うこととなるが、当然のことながら、借入を行うにあたっては、各大学毎に償還確実性が担保されることが前提であることから、今後の各大学の運営に当たっては従来以上に経営的な視点が重要になってくることに十分留意する必要がある。
なお、償還については、各国立大学法人(仮称)からの償還金を「共同機関」がとりまとめ、償還することを検討している。
 
(既往の長期借入金について)
3 既往長期借入金については、その全てについて国立学校特別会計から「共同機関」に承継させ、附属病院を有する大学がその償還財源を負担し、「共同機関」において当該負担金を取りまとめ、財政融資資金に償還することを検討している。
 
(短期借入金について)
4 国立大学法人(仮称)の運営には運営費交付金及び授業料収入その他の自己収入が充てられることとなるが、収支の時期的なずれ等により一時的な資金不足が発生することも想定されるところであり、その際には、短期借入金により資金調達をすることが考えられる。したがって、その対象は、一時的な運転資金の不足等の相当額となるものと考える。
 
 
「共同機関」のイメージ
   


 


 


 
               配分方針
 




   

共同機関
・不用財産の処分収入の再配分
・新規借入の取りまとめ、償還財源取りま とめ及び償還
・既存借入金の償還財源取りまとめ及び償還



         (移転整備のみ)


 




 
     








    
















 

処分収入



財産処分

 

借 入



償 還

 
















 
















 
     不用財産      施  設     償 還
     処分収入
       整備費等     財 源
     の一定割             
(既存借入金
     合                の償還財源
                      を含む)
処分収入


財産処分

各国立大学法人
     (仮称)
 

移 転 整 備

 
附属病院整備  
   

             施設整備費等
 


 


 


 
 

問40 地方公共団体からの寄附金は一定の要件のもとに可能とするとされているが、その 「一定の要件」とはどのようなものであり、地財特法の運用を緩和する方針(総務省) の対応状況について教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 国立大学に対する地方公共団体からの寄附等については、地方財政再建特別措置法第24条第2項により禁止されていたところであるが、平成14年11月1日付けで寄附等の禁止の例外を規定する地方財政再建特別措置法施行令第12条の3に新たな号が追加されたところであり、これにより、当該新号を満たす場合については、地方公共団体から国立大学への支出が可能とされたところである。
 
2 政令改正の内容としては、次の要件を満たした上で、あらかじめ総務大臣に協議し、同意を得たものについて、地方公共団体から国立大学への支出が可能とされたところである。
 
   ・対象機関:国立大学、省令で定める独立行政法人
 
   ・対象事業:科学技術(人文科学・社会科学分野を含む。)に関する研究若しくは開発         又はその成果の普及
 
・条 件 等:@地方公共団体の要請に基づくこと
         A地域における産業の振興その他住民の福祉の増進に寄与
         B地方公共団体の重要な施策を推進するために必要であるもの
 
 ・負担範囲:@研究開発等の実施に要する経費
       A通常の研究開発等と認められる部分を除く
 
3 なお、近日中に、当該政令改正の運用解釈等の留意事項を会議等を通じて周知することを予定しているところである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問41 寄附金受入れの条件、手続き等について、法人化後は大学独自で定めてよいのか。 それとも各大学法人に共通する事項について、法令などによる規制を設けるのか教示願 いたい。また、法人移行時における委任経理金の引継等は、どのようになるのか教示願 いたい。
 
 
(答)
 
1 寄附金の受入手続き等について
@ 現在、外部からの国立大学に対する寄附金については、国立学校特別会計法(昭和三十九年法律第五十五号)第17条、奨学寄附金委任経理事務取扱規則(昭和三十九年文部省令第十四号)、奨学寄附金受入事務取扱規程(昭和三十八年文部省訓令)などにより受け入れることができる寄附金の目的、条件、受入手続き、経理手続き等が定められているところである。
 
A 法人化後に各大学が外部から寄附金を受け入れるに当たっては、当該寄附金は直接法人の収入に計上されることとなるものであり、その受入の決定は各大学の裁量に任されることとなる。このため、寄附金の受入手続き等については、一義的には各大学が主体的に定めることとなるものであり、さらに、寄附金は、自己収入増加に向けてのインセンティブとして極めて重要なものであることから、当該インセンティブを阻害しないためにも、寄附金の受入に関し各大学に共通する事項について、法令などによる規制を設けることは予定していないところである。
 
B しかしながら、国立大学法人(仮称)は、その運営に必要な経費の相当部分を国費によってまかなわれる公的な機関であり、社会に対する説明責任の観点から、寄附金の受入手続き等に関する法人内部の規程について整備し、経理処理の透明性、適正性を確保するとともに、その内容は、公的機関としてのモラルを十分踏まえたものとすることが必要である。
  なお、受け入れた寄附金の会計処理については、国立大学法人会計基準等に従いその処理を行わなければならないことにも留意が必要である。
 
2 法人移行時における委任経理金の引継等について
 @ 国立大学が法人に移行する際、委任経理金の残額がある場合は、
   ア)各国立大学法人(仮称)に承継することとした場合、引き続き寄附者の意思が尊重されることとなること
イ)各国立大学法人(仮称)に承継しないこととした場合、当該寄附目的の達成が不可能となること
  等を踏まえ、当該国立大学法人(仮称)に、移行時における残額を承継することとする予  定である。
 
A この場合、「寄附者の意思を尊重し」、「寄附目的を達成する」という承継の趣旨を実現するため、文部科学省令において、当該承継する個々の寄附金の寄附目的どおりに当該承継した金額を使用する旨、規定することとする予定である。
 
B なお、法人移行時における歳入歳出外現金出納官吏が管理する委任経理金の具体的な承継手続きについては、現在検討中である。
 
 
 

問42 学外からの依頼に応じて行う試験・分析等、受託試験に係る料金については、法人化 後は大学独自の判断で設定することが可能か。また、間接経費等についても、大学が独自 に設定できるのか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 現在、学外からの依頼に応じて行う試験・分析等に係る諸料金について各国立大学が料金を定めるに当たっては、「国立学校における授業料その他の費用に関する省令(昭和36年文部省令第9号)」第12条の規定に基づき、文部科学大臣の承認が必要となっている。国立大学が法人化した際は、同省令の適用を受けなくなり、料金設定は、各大学の自主性の範囲において、適切なコスト等を勘案しつつ、各大学が主体的に設定することが可能となると考えられる。
 
2 また、受託研究における間接経費については、現在、「受託研究の取扱いについて」(平成14年3月29日研究振興局長・会計課長通知13文科振第1179号)により、競争的資金による研究費については原則、直接経費の30%に相当する額(委託者側の事情により30%と異なる額となる場合には委託者と大学が合意した額)とし、競争的資金以外の研究費については直接経費の30%に相当する額を標準としている(異なる額とする場合にはあらかじめ研究振興局長に協議)。国立大学が法人化した際は、同通知の適用を受けなくなり、企業等からの委託等に係る間接経費は、各大学において合理的な額を設定することが可能であると考えられる。
  なお、競争的資金に係る間接経費については、各省庁で定められていることから独自に設定できないものと考えられる。
 
 
(参 考)
 @各大学からの申請に基づき承認しているもの
  高度技術研修に係る講習料
  (平成14年1月17日付け13振環産第49号「共同研究センターにおける平成14年度「高度技術研修」の実施について」)
 A通知により統一的に文部科学大臣の承認があったものとみなしているもの
  ・受託研究員、私学研修員、専修学校研修員、公立校等専門学校研修員、公立大学研修員及び教員研修センター研修員の研究料
   (平成13年3月30日12文科振第294号「受託研究員、私学研修員、専修学校研修員、公立高等専門学校研修員、公立大学研修員及び教員研修センター研修員の研究料について」)
  ・民間等共同研究員の研究料
   (平成14年3月29日13文科振第1178号「民間等との共同研究の取扱いについて」)
・国立大学附属病院における医薬品等の臨床研究の受託について
 (平成11年7月2日付け 11高医第20号)
・国立大学の医学部及び歯学部における受託検査料金について
 (平成9年3月24日付け 文高医第99号)
・研修登録医等の受入れについて
 (平成9年3月31日付け 文高医第159号)
・国立大学附属病院における薬剤師実務受託研修生の受入れについて
 (平成12年2月1日付け 文高医第285号)
・受託実習生の受入れに伴う費用について(平成9年3月27日付け 文高医第214号)
・病院研修生の受入れに伴う費用について(平成9年3月27日付け 文高医第215号)
  ・国立大学医学部等の病理解剖検査料金について
   (平成9年3月24日付け 文高医第95号)
  ・国立大学工・農水産学関係各部及び国立の高等専門学校における受託試験に係る基準料  金(昭和51年3月8日付け文大技第113号)
 B受託研究における間接経費の率を定めているもの
  (平成14年3月29日13文科振第1179号「受託研究の取扱いについて」)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問43 土地建物の貸付料収入を見積もる上で、固定資産税相当額を転嫁しなければならない のか。また、未利用地や福利厚生施設等も課税対象となるのか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 先行独立行政法人における固定資産税の取扱いは、原則として非課税であるが、当該独立行政法人以外の者が使用している固定資産については、課税されることとなっている(但し、その資本の金額若しくは出資金額の全部が国により出資されることが法律において定められているもの又はこれに類するものであって、その実施している業務のすべてが国から引き継がれたものとして総務大臣が指定した非課税独立行政法人に限る)。
 
2 国立大学の法人化後の固定資産税の取扱いについては、総務省に対して、先行独立行政法人と同様の取扱いを要望しているところであるが、非課税独立行政法人と認められた場合であっても、貸付を行っている土地については、固定資産税が課税されることとなる。
よって、必要に応じ、固定資産税相当額を考慮して貸付料収入を見積もる必要があると考えられる。
 
3 また、先行独立行政法人においては、未利用地及び福利厚生施設等は課税対象となっていないと認識している。
 
 
○地方税法
(固定資産税の非課税の範囲)
第三百四十八条
6 市町村は、非課税独立行政法人が所有する固定資産(当該固定資産を所有する非課税独立 行政法人以外の者が使用しているものその他の政令で定めるものを除く。)に対しては、固 定資産税を課することができない。
7 市町村は、非課税独立行政法人で政令で定めるものが民法第三十四条の法人から無償で借 り受けて直接その本来の業務の用に供する土地で政令で定めるものに対しては、固定資産税 を課することができない。

○地方税法施行令
(法第三百四十八条第六項の固定資産)
第五十一条の十六の二 法第三百四十八条第六項に規定する政令で定める固定資産は、次に掲 げる固定資産とする。
 一 当該固定資産を所有する法第二十五条第一項第一号に規定する非課税独立行政法人以外  の者が使用している固定資産
 二 発電所、変電所又は送電施設の用に供する固定資産(前号に掲げるものを除く。)
 三 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第八項に規定する水道施設若しくは工  業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第六項に規定する工業用水道施設  のうちダム以外のものの用に供する土地又は水道若しくは工業用水道の用に供するダムの  用に供する固定資産で、総務省令で定めるもの(第一号に掲げるものを除く。)

 
 
 
 
 

問44 法人化後、保険加入するに当たって国及び法人の責任の範囲を明確化するための指 針と、加入保険の範囲、強制もしくは任意の統一的な例示はされないのか。されるので あればその時期はいつ頃になるのか教示願いたい。また、保険料の軽減などの観点から 団体一括契約の仕組みを考える必要があると思われるが如何か。
 
 
(答)
 
  国立大学を法人化するに際しては、「諸規制が緩和され、大学運営の裁量が拡大する」という法人化のメリットを最大限に活用できる仕組みが前提である。保険等大学運営におけるリスク管理についても、雇用保険等義務的なものを除き、各大学が、個々の実態に応じ、主体的に判断していくこととなるものであり、国から加入保険の範囲の提示や加入すべき保険を強制することは予定していないところである。
 
 
 

問45 法人の職員がその業務に関して負う個人としての賠償責任に関し、所要の保険料を 運営費交付金により取り扱うことが可能かどうか教示願いたい。
 
 
  法人の職員がその業務に関して負う個人としての賠償責任としては、附属病院における医療事故等が想定されるが、附属病院における医療事故に係る賠償責任は、裁判において個人の賠償責任が認定された場合は、当然個人において負担すべきものである。
  このため、当該賠償責任を保証するための保険料を運営費交付金により負担することは考えていない。なお、当該保険料は、現状においても個人負担であり、国費負担は行われていない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問46 国立大学法人共通の勘定科目やセグメント区分(附属学校の取扱を含む)について、 「国立大学法人会計基準」及び「同注解」(中間報告)並びに「国立大学法人会計基準」 及び「同注解」に関する実務指針(案)に定められている項目以外に、統一的に取り扱 うべき事項や指針等が示されるかどうかを教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 国立大学法人(仮称)においては、多数の法人が同種の業務を行うため、当該法人間における会計情報の比較可能性の確保を強く要請されることから、一定の事項については統一的な取扱いをする必要があるものと考えられる。
 
2 したがって、「国立大学法人会計基準」及び「同注解」(中間報告)、実務指針(案)において、各法人間において統一的に取り扱うべき事項が示されているところであるが、それらによるもの以外に別途統一的な処理について指針等を示す予定はない。
 
3 なお、「「国立大学法人会計基準」及び「同注解」」(中間報告)等は、「国立大学法人」会計基準等検討会議において引き続き検討中であり、その結果の如何により、会計処理の内容の追加・修正があり得ることに留意されたい。
 
 
 

問47 会計システムを早期に構築するうえで、会計検査院が国立大学法人に対し指定を行 う計算書類を、簡素化等も含め教示願いたい。
 
 
(答)
 
  現在、会計検査院より、計算証明書類の指定について具体的な方向性は示されていない。今後、会計検査院に対し、極力簡素化等が図られるよう働きかけ等行っていく予定である。
 
(参考資料)
 別添2:先行の独立行政法人における計算証明に関する指定状況一覧
 
 
 
 
 
 
 

問48 国庫金の出納保管に関し、現在、収入官吏、支出官等は日本銀行を取引店として業 務を行っているが、法人化後は各大学が独自に金融機関を介して資金を管理・運用等す ることになると思われる。その際、次のことについて教示願いたい。
  @ 会計監査人や取引銀行の具体的な選定基準、選定方法及び会計監査人の職務につ   いてどのようになるのか。
  A 余裕金を含めた資金の運用に当たって、制限が設けられるのか。

 
 
(答)
 
1 会計監査人の選定基準等について
会計監査人の選任については、各大学が候補として選定した者を文部科学大臣が指名する形を予定している。会計監査人の適格者としては、公認会計士又は監査法人であればよいが、国立大学法人における具体的な会計監査人の指名手続きについては、今後検討の予定である。
会計監査人の職務は、監査対象の会計処理について、適用法令及び会計基準等に対する合規性の観点から監査業務を行うことにある。会計監査人は、監査に対する真実性を確保する観点から、単に法人において作成された財務諸表について事後的に監査するのみならず、必要に応じて日常的な会計業務について、実地の監査を行うこともできる。
また、取引銀行の選定に当たっては、各法人における自主性・自律性と結果責任が伴うものと考えられる。したがって、各法人において任意の銀行の中から取引銀行を選定することとなるが、当該選定にあたっては取引銀行としての利便性、取引コスト及び信用状況等を勘案して決定することが必要ではないかと考える。
 
2 余裕金を含めた資金の運用について
先行の独立行政法人は、独立行政法人通則法(以下通則法」という。)第2条において「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業」を担うべきとされている法人であり、国からその業務の財源に充てるための所要の財源措置が講じられることからみても、業務を安定的に運営することに対する要請は高く、投機的な金融取引による投資リスクを負ってまで収益を獲得することが要求されているものではないと考えられる。したがって、通則法第47条において、余裕金の運用方法は、
   @)国債、地方債、政府保証債(その元本の償還及び利息の支払いについて政府が保証する債券をいう。)その他主務大臣の指定する有価証券の取得
   A)銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
   B)信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
 に限定されているところである。
国立大学法人(仮称)における諸活動についても、「公共上の見地から確実に実施されることが必要なもの」で、かつ、国からその業務の財源に充てるための所要の財源措置が講じられることが予定されているものであり、余裕金の運用に当たっては、先行の独立行政法人と同様、法律上の制限を設けることとする予定である。
 

問49 訴訟業務について現在、医療訴訟等の争訟事件については訟務制度が適用されてい るが、法人化後の訟務関係業務について、訟務制度との関わり方はどのように変化する のか。また、移行時に係争中の争訟事件はどのように取り扱うのか教示願いたい。更に、 法人化後の争訟事件についての対応経費の取扱いについて教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 法人化後の訟務関係業務と訟務制度について
国を当事者とする訴訟については、法務大臣が国を代表して訴訟を実施することとされているが、国立大学法人(仮称)へ移行後は、各法人は国とは別個の独立した主体となることから、それぞれ独自の法人格に基づき訴訟の当事者となり、自ら訴訟を実施することとなる。
その際、国の利害を考慮して必要と法務大臣が認めた場合は、法務省(法務局)が法人と協力して訴訟を実施することとなるが、当該認定は限定的なものであり、医療事故についての争いなどは認定されないこともあり得る。その場合は、法人のみで訴訟事務を遂行することとなる。
なお、法務省(法務局)への法律意見照会については、法人化後も引き続き行うことが可能である。
 
2 移行時に係争中の争訟事件の取扱いについて
法人への移行時に既に係属されている訴訟事件等については、国から新法人への移行に伴い、権利義務として各大学へ承継することを予定している。
この場合、国から各大学に訴訟が承継された時点で法務大臣の訴訟への関与根拠が変更されることから、承継される訴訟につき、事件ごとに、国の利害の観点から法務大臣の訴訟実施の必要性を認定することとなり、仮に必要と認定されなければ、法務大臣による訴訟の実施は中断されることとなる。   
しかしながら、訴訟の対応方針の継続性等の観点からは、引き続き法務省(法務局)と各大学が協力して訴訟の実施に当たっていくことが望ましく、移行時に既に係属されている訴訟事件等については、移行後も法人を国とみなす旨の経過規定を設けるなど、法務大臣が引き続き訴訟を実施するための所要の措置が講ぜられるよう、関係省庁と協議して行く予定である。
 
3 法人化後の争訟事件についての対応経費について
法人化後の訴訟については、各大学が当事者として独自の法人格に基づき実施することとなることから、国に利害があるものとして法務大臣が訴訟の実施に参加する場合も含め、訴訟費用等は、原則、各大学の負担となる。
また、仮に敗訴した場合の損害賠償費用についても、一義的には各大学の負担となるが、必要に応じて保険に加入するなど、所要の措置をあらかじめ講じておく必要があると考えられる。
なお、上記諸費用を運営費交付金により国が措置するか否かについては、現在検討中である。

問50 法人間での教員異動に伴う、法人間の資産(委任経理金、固定資産等)の移動につ いては、どの様に整理することとなるのか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 委任経理金について
国立大学の法人化前に国に寄附されたものに係る委任経理金は、寄附者及び国が現行の制度(奨学寄附金制度等)に基づき、寄附し、及び受け入れたものであり、法人化に際し、国から承継された委任経理金については、現行の奨学寄附金制度の趣旨を踏まえた取り扱いをする必要があるものと考える。
従って、教官の移動に伴い、当該大学では寄附目的が達成されないと認められるなど委任経理金の移動が必要となる場合には、原則として寄附者にその旨を説明し、了解を得たうえで、当該教官の異動先大学に当該寄附金相当額の移動を行い、受け入れ先の大学においては、これを国立大学法人会計基準等における寄附金の取扱により整理する必要がある。
また、法人化後において受け入れた寄附金については、当該寄附金の受入の決定等は各大学の裁量に任されることとなる。このため、寄附金の受入手続き等については、一義的には各大学が主体的に定めることとなるが、当該大学では寄附目的が達成されないと認められる場合などは、寄附金を移動させる必要があると考える。その際には、国立大学法人会計基準等及び自ら定めた規程等に基づき適切な処理を行う必要があると考える。
なお、教員の異動に伴う委任経理金の移動の具体的な手続きについては、現在検討中である。
 
2 固定資産等(物品)について
教員の異動に伴い、移動が必要となる場合が考えられる有形固定資産として、研究機器等の物品が想定される。法人化後においては、資産(物品等)の管理等の取扱いについては、各大学が定めることとなることから、当該大学においては当該物品の有効活用が図られない場合などは、各大学は、国立大学法人法(仮称)、国立大学法人会計基準等及び自ら定めた物品等の管理規程等に基づき、適切な処理を行う必要があるものと考える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問51 現行の人事院規則から労働安全衛生法の適用に移行した場合、予算措置や人の問題 を含め事前に大学としてとるべき具体的な対応方針を教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 国立大学における安全管理については、人事院規則等に基づき適切に対応するよう、従来から各種会議や通知等を通じて、安全管理の徹底を図ってきたところである。
 
2 国立大学が法人化された場合は、人事院規則等に代わって労働安全衛生法等が適用されることになるが、現在の人事院規則等は、かなりの部分で当該法令に準じており、各大学が人事院規則等に基づいた措置を講れば、対応が可能と考えられる。
 
3 なお、労働安全衛生法等の適用に伴い、新たに労働基準監督署の監督指導の対象となることから、各大学においては、改めて安全管理の実状を確認するとともに、改善が必要な場合は適切に対応するよう願いたい。その際、安全管理の内容が管理体制、安全教育、施設設備、器具設備等の広範囲に及ぶことから、学内の関係者等が連携して対応することが重要である。
 
4 文部科学省においても、各国立大学等に対し安全管理状況の確認を依頼したところであり、今後とも情報提供等を行っていくこととしている。
 
 

問52 法人化後に課せられる国税及び地方税等の税金の有無(非課税措置の範囲)につい て教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 先行独立行政法人において非課税等の取扱となっているものは以下のとおりである。

国   税

地  方  税

所得税

非課税

住民税

非課税

法人税

納税義務なし

事業税

非課税

地価税

非課税

不動産取得税

非課税

登録免許税

非課税

固定資産税

原則非課税

印紙税

非課税

特別土地保有税

非課税


















 

都市計画税

非課税

事業所税

非課税

自動車税

非課税

軽自動車税

非課税

自動車取得税

非課税

鉱区税

非課税

水利地益税

非課税

共同施設利用税

非課税

宅地開発税
 

非課税
 
※ 国税については、その資本の金額又は出資金額の全部が国又は地方公共団体の所有に属しているものとして財務大臣が指定をした独立行政法人、地方税については、その資本の金額若しくは出資金額の全部が国により出資されることが法律において定められているもの又はこれに類するものであつて、その実施している業務のすべてが国から引き継がれたものとして総務大臣が指定をした独立行政法人に限る。
※ 固定資産税については、当該固定資産を所有する独立行政法人以外の者が使用している場合、非課税の取扱いとはならない。
                    
2 国立大学の法人化後の税制については、原則として、上記1の先行独立行政法人と同様の取扱いを要望している。
 
3 ただし、いわゆる寄附金税制について、先行独立行政法人に関しては以下の通りとなっているが、国立大学法人(仮称)については、法人からの寄附金について、全額損金算入の取扱いを要望しているところである。

法  人

個  人

一般の損金算入限度額の2倍を上限として損金算入
 

1万円を超える部分のうち当該年度所得の25%を上限として所得控除
 
 
 
 

問53 移行時の出納整理期の支払や、債権・債務の引継等、具体的にどのように取り扱う のか教示願いたい。
 @ 移行時の出納整理期の支払
 A 繰越関係
 B 現在補償中の公務災害補償費
 C 受託研究費の複数年契約分
 D 診療報酬請求

 
 
(答)
 
1 移行時の出納整理期の支払
国立大学が平成16年4月より法人化された場合、平成15年度予算に係る出納整理期の残務処理をどうするかについては、先行の独立行政法人は、文部科学省に限らず各省庁全て統一的に、法人移行前最終年度予算に係る出納整理期の残務処理を本省等国の機関が承継し、その処理を行ったところであるが、国立大学が法人化されるに当たっては、その残務処理は膨大な事務量であることが予想され、支払事務等残務の確実な執行を考慮すれば、本省等に残務事務を承継するのではなく、各大学においてその処理を行うことが適切ではないかと考えられる。
現在、平成15年度予算に係る出納整理期の残務処理については、法人移行前と同様、法人移行後の各大学において処理(国費の執行)が可能となるような法令上の特例措置を設けることについて、関係省庁と協議中である。
 
2 繰越関係
移行時の繰越に係る契約の執行手続きについては、先行独立行政法人成立の際は、文部科学省において事務処理を行ったところである。
しかしながら、国立大学については、施設整備の事業量は膨大であり、それらの繰越に係る事務手続きについても、毎年度相当な件数となっていることから、移行時の繰越に係る事務処理を文部科学省において一元的に処理することは、物理的にも困難であると考えている。
このことから法人成立の際の権利・義務の承継と併せて、各大学が繰越に係る契約を承継し、各大学が当該契約を執行することが可能となるよう関係省庁と協議中である。
 
3 現在補償中の公務災害補償費
現在、補償中の災害補償費については、法人への債務の引継は行わず、国が引き続き補償を行う方向で検討中である。また、これに係る事務手続や法人化前に発生した災害で法人化時に認定が済んでいない場合の手続きの方法等については、今後検討することとなると考えている。なお、この場合も上記同様、国が補償を行う方向で検討している。
 
4 受託研究費の複数年契約分
受託研究契約及び共同研究契約で、平成15年度までに締結されるものでその研究期間が平成16年度以降にわたる複数年度契約を行っているものについては、特段の支障がない限り、その契約に係る債権・債務を各大学が引き継ぐこととする予定である。
当該受託研究契約等を各大学が引き継いだ場合で、平成16年度以降の研究の実施に必要となる研究費が、平成15年度までに前納されていない場合は、平成16年度以降に各大学において、必要となる経費を収納することとなる。
また、平成16年度以降の研究の実施に必要となる研究費が、平成15年度までに前納されている場合は、当該前納された経費は、平成15年度以前の国立学校特別会計の歳入として、平成15年度以前の歳出の財源となっているところであり、法人において平成16年度以降の研究の実施に必要となる研究費の財源手当の措置方法については現在検討中である。
なお、平成15年度までに締結される複数年契約の取扱については、平成14年1月10日付け事務連絡において各大学に周知したところである。
 
5 診療報酬請求
現行の診療報酬請求にかかる債権の取り扱いとしては、患者個人負担分と保険者等負担分に区分されており、前者に関しては、通常、診療行為後直ちに債権を発生させ、調査確認したうえ、徴収手続きを行い、窓口で収納を行うが、保険者等負担分に関しては、各月分を翌月10日までに社会保険診療報酬支払基金等に請求し、現実的・合理的な手法として、その審査結果に従って債権を発生させ、調査確認し、徴収手続きを行うこととしていた。
しかしながら、従来のこの手続きに従うと、平成16年2月、3月分の診療にかかる保険者等負担分等(返戻レセプトにかかる再請求予定分、公費負担医療にかかる請求保留分等)が、国の機関時代に債権を発生させ、調査確認できないこととなる。
一方、病院会計準則(昭和58年8月22日改正厚生省医務局長通知)によると、診療行為後又は月末をもって請求額が確定する扱いとされていることから、平成16年2月、3月分の診療にかかる保険者等負担分等についても、請求額及び請求予定額を債権として発生させるとともに、調査確認し、附属病院収入収納未済歳入額として整理し、国立大学法人に権利義務として承継する際には「医業未収金」として整理する方向で検討している。
なお、国立病院・療養所の独立行政法人化により設立が計画されている独立行政法人国立病院機構においても同様に承継すると聞いているところである。
しかし、この場合、法人設立時までに、債権金額の確定を行う必要があり、現在具体的な処理の手法について検討を行っているところである。
 
 

問54 法人の設立に伴い、関係機関等へ法的な届出が必要となると思われるが、先行法人 における届出及び時期の一覧等を教示願いたい。
 
 
(答)
 
国立大学が法人化された際に必要となる関係機関等への法的な届出の種類については、現在、調査中であるが、先行の独立行政法人である青年の家、少年自然の家、国立オリンピック記念青少年総合センターにおける関係機関等への法的な届出の例としては、別添3のとおりである。
 
 
 

問55 法人化後、直ちに履行すべき契約案件あるいは、政府調達契約などの大型契約に関 し、法人化前に行える契約手続きの範囲はどのようになるのか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 国の職員が入札公告等、国立大学法人(仮称)の契約に関する事務の一部を事前に行う必要がある場合には、国の職員には国立大学法人(仮称)の契約を締結する法的権限は無いこと及び入札が契約の申込みであり、開札による落札者の決定が契約の申込みに対する応諾と解され、開札による落札者の決定を行うと法的効果が発生することから、準備行為のため行えるのは入札公告から開札による落札者の決定の前までの間に限られる。
 
2 入札公告から開札による落札者の決定の前までは国が準備行為として行えるが、落札者の決定以降は国立大学法人(仮称)が自ら行う必要がある。
  このため、入札公告において、当該入札公告は、国立大学法人(仮称)設立に伴い、準備のため行うものであること及び落札者の決定以降は各大学が自らの判断により行うこととなることを入札公告等に明記する必要がある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問56 国立大学が法人化された場合、国家賠償法の適用は受けるのか。
 
 
(答)
 
1 国家賠償法は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつき他人に損害を与えた場合、又は公の営造物の設置・管理の瑕疵によって損害が生じた場合の、国又は公共団体の賠償責任について規定している。
 
2 独立行政法人については、「その職務を行うにつき、他人に損害を与えた場合、それが公権力の行使に際してであり国家賠償法第1条の要件に該当する場合は、同条が適用され」る(「独立行政法人制度の解説」第一法規)とされているとおり、同法に規定する要件に該当する場合は、同法が適用されると解されている。
 
3 国立大学法人(仮称)に対しては、国家賠償法が適用される方向で検討中であるが、適用されることとなった場合は、同法に基づく損害賠償費用は、各国立大学法人(仮称)が負担することとなる。
  なお、当該損害賠償費用を運営費交付金により国が措置するか否かについては、現在検討中である。
 
(参考)
○国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)抄
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。