問1 法人化後の概算要求はどのように行われることとなるのか。
 
 
(答)
 
1 法人化後の概算要求については、法人化の趣旨を踏まえ、「学問の府としての特性を踏まえた大学の自主性・自律性を尊重するとともに、各大学における運営上の裁量を拡大していく」(新しい「国立大学法人」像について)との観点から、中期目標・中期計画の範囲内で、可能な限り各大学の主体的判断を尊重しつつ行われるべきものと考えている。
 
2 概算要求に当たっては、各大学及び文部科学省において、それぞれ次のような作業を行うこととなると思われる。なお、各大学毎に法人化される結果として、概算要求時点で、原則として収入、支出双方の全ての経費について大学毎に額を確定して要求する必要があることに留意する必要がある。
 
  各大学:
   @学内における要求事項の検討
   A必要に応じて文部科学省担当課への事前説明
   B文部科学省から提示された「概算要求の取扱い」を踏まえ、各大学の要求事項の精査    と収入・支出を勘案した予算要求資料の作成
   C文部科学省への概算要求書の提出と説明
 
  文部科学省:
   @大学からの個別案件について、各担当課で説明を聴取
   A各大学に対して「概算要求の取扱い」として、提出書類の様式、重点事項、各種要求    単価及び特別奨励経費等のメニュー等を提示
   B各大学から提出された概算要求書に基づき、省として説明を聴取
   C政府内の概算要求基準を踏まえ、各大学の要求額を決定し財務省へ提出
 
3 平成16年度概算要求に係るスケジュールについての詳細は検討中であるが、提出書類の 様式等の素案は、本年末を目途に提示したいと考えている。
 
 
 

問2 各大学の要求事項と中期計画の関係はどのように考えればよいか。
 
 
(答)
 
1 中期計画に記載する事項等はなお検討中であるが、基本的には、各大学からの要求は、 中期計画の想定の範囲内であることが求められる。なお、必要に応じ、中期計画の変更を併 せて申請し、変更後の中期計画の想定の範囲内での要求を行うことも考えられる。
 
2 なお、各大学の概算要求事項が全て予算措置されるものではないことに留意する必要があ る。
 
 
 

問3 中期計画終了後の評価結果の資源配分への反映はどのように行われるのか。
 
 
(答)
 
1 評価結果の資源配分への反映については、大学評価・学位授与機構が実施する教育評価及び研究評価を踏まえ、最終的に国立大学評価委員会(仮称)が大学の運営全体に対して総合的な評価を実施する予定としており、その結果を基に、次期中期計画における運営費交付金の算定へ反映させることとしている。
 
2 なお、具体的な反映方法等については、国立大学評価委員会(仮称)の発足後、鋭意検討 してまいりたい。
 
 
 

問4 各大学から文部科学省への概算要求のプロセス等において、大学側の負担軽減は図ら  れることとなるのか。
 
 
(答)
 
1 文部科学省と各大学との具体的な概算要求プロセスについては検討中であるが、例えば、  @新たな財政需要を伴わない組織の再編など一定のものについては、各大学の自主的な判   断の下に、柔軟に行えるようにする
  A標準運営費交付金については、各大学共通のルールに基づき、機械的に算定する
  B文部科学省の対応窓口の集約化を図り、説明回数等を軽減する
  C提出資料等をさらに精選する
 など、各大学の負担を軽減する方向で検討を進めてまいりたい。
 
2 なお、概算要求以外でも、決算関係の月別報告や各種調書の提出は求めないことになるた め、これらの業務にかかる負担は大幅に軽減されることになる。
 
 
 

問5 大学からは新規事項をどの程度要求できるのか。
 
 
(答)
 
1 法人化後の国立大学については、中期計画の想定の範囲内で、各大学の自主的な判断で教 育研究組織の再編等を柔軟に行えることとなるが、運営費交付金等の増額を伴うような新規 事項については、現下の厳しい国の財政状況を勘案すれば、必ずしも容易ではない状況が予 想される。
 
2 平成16年度概算要求については、今後文部科学省で提示予定の「概算要求の取扱い」に おいてさらに詳細を示すこととしているが、従来に比べ様々な作業が前倒しになることもあ るので、新規事項を検討中の大学は、文部科学省担当課に極力早めにご相談願いたい。

問6 教育研究組織は各大学の判断で自由に再編できると解してよいか。
 
 
(答)
 
 各大学の教育研究組織については、中期計画の想定の範囲内で、法令で規定される事項や学生定員に係る事項など一定のものを除き、原則として各大学の自主的な判断で再編しうることとなる。
 ただし、これは運営費交付金等の措置を当然に伴うものではない。
 
 
 

問7 法人化に伴って新たに各大学が負担することとなる経費にはどのようなものがあるの  か。また、それらは予算上どこまで措置されるのか。
 
 
(答)
 
1 法人化に伴い、新たに各大学が負担することになると考えられる経費としては、
  @労働者災害補償保険料
  A雇用保険料
  B法定監査人費用
  C銀行振込手数料
 などがある。
  また、この他にも、火災保険等の損害保険料、医療事故に備えた保険料など、状況により 必要となるものも考えられる。
 
2 これらの経費について、文部科学省としても可能な限り平成16年度の概算要求に反映させることとしているが、特に、各種保険料のうち、労災保険や雇用保険など義務的に加入の必要性が生じるものについては、基本的に運営費交付金の算定上勘案されるべきものであると考えている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問8 従来の定員削減計画の取扱いはどうなるのか。
 
 
(答)
 
1 法人化後は、平成13年度以降5年間の定員削減計画(いわゆる第10次定員削減計画)の削減の対象からは外れることとなる。
 
2 しかしながら、適切な大学運営の観点から、各大学が自らの判断と責任において、厳しい 人員(人件費)の管理を求められていくことは当然のことである。
 
3 なお、中期計画終了後の国立大学評価委員会(仮称)における各大学の業績に対する評価に際し、例えば、給与等の人件費総額が適切に管理されているか等が対象となることはあり得ると考えている。
 
 
 

問9 従来、文部科学省で各大学への配分を決めずに要求し、予算成立後各大学の申請等に  基づき配分していた政策的な経費は法人化後どのように扱われることになるのか。
 
 
(答)
 
1 法人化後においては、各大学毎に概算要求し予算が確定するため、いわゆる追加配分とい う概念は存在しない。
 
2 このため、従来、予算成立後において配分していた政策的経費については、原則として 予め文部科学省からメニューを提示し、8月末までの間に文部科学省において各大学からの 申請に基づき審査等を行って、当該大学の概算要求に反映することになると考えている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問10 どのような事項が概算要求対象事項となるのか。
 
 
(答)
 
1 概算要求については、各大学毎に、いわゆる既定経費を含む収入・支出予算の一切につい て行うこととなる。
 
2 その際、積算内訳は各大学で作成するが、特殊要因や個別の要求事項については、さらに 所要の説明資料等を求めることとなる。
 
3 「特殊要因や個別の要求事項」の具体例としては、
  @新たな財政需要を伴う組織の整備(学部・研究科、附属病院、附置研究所等)
  A文部科学省からメニューを示した政策的な経費(特別奨励経費)
  B特別設備費
  C変動性を有する事業費(移転費、土地建物借料等)
  D収入関連経費(収入見積を含む)
 などが考えられる。
 
 
 

問11 標準運営費交付金と特定運営費交付金それぞれの定義如何。
 
 
(答)
 
 標準運営費交付金は、国立大学に対する運営費交付金のうち、学生数等客観的な指標に基づく各大学に共通の算定方式により算出された標準的な収入・支出額の差をもって算出された額、特定運営費交付金は、客観的な指標によることが困難な特定の教育研究施設の運営や事業の実施に当たっての収入・支出額の差をもって算出された額である。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問12 学内での配分は交付金積算に全くとらわれないで行えるものと解してよいか。
 
 
(答)
 
 運営費交付金は使途を特定しないいわゆる「渡切費」であり、学内における配分や執行については、基本的に運営費交付金の積算にとらわれず各大学の判断で行えるものである。
 
 
 

問13 人件費及び物件費は運営費交付金積算上分かれているのか。
 
 
(答)
 
1 運営費交付金の算定においては、各事業費毎に人件費、物件費を区分することとしている。
 
2 なお、運営費交付金は使途を特定しないいわゆる「渡切費」であり、学内における配分や 執行については、基本的に運営費交付金の積算にとらわれず各大学の判断で行えるものであ る。
 
 
 

問14 運営費交付金の人件費として積算されるものは、現在の、いわゆる定員内職員にかか  るもののみか。
 
 
(答)
 
1 運営費交付金における人件費については、原則として、現在の国立学校特別会計において 人件費として所要の経費が措置されている者について積算することとしている。
 
2 即ち、現在のいわゆる定員内職員の人件費に加え、従来から人件費を措置してきた外国人 教師や非常勤講師の手当等についても、別途人件費として積算することとしている。
 
3 一方、日々雇用職員等の賃金については、これまでも各大学の判断により物件費から支出 されてきたことから、当面、運営費交付金の算定に当たっては人件費としての積算は考えて いない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問15 移行措置または激変緩和措置は考えられているのか。その際考慮されるのは平成14  年度の各大学の決算額と解してよいか。
 
 
(答)
 
1 先行独立行政法人の財政措置に当っては、「中央省庁等改革の推進に関する方針」におい て、「移行時の予算措置に当っては、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえ、当 該事務及び事業が確実に実施されるように、十分に配慮するものとする。」とされており、 国立大学の法人化に当っても、本趣旨を踏まえ、各大学の運営に支障を来たすことのないよ う予算措置する方向で検討している。
 
2 なお、平成16年度の交付金算定に当っては、平成14年度の決算額を基本としながら、 平成15年度予算の反映や直近の自己収入の収納状況などを勘案することとしている。
 
 
 

問16 交付金算定に必要な各種員数、単価、係数等は文部科学省から示されるのか。
 
 
(答)
 
 各大学から文部科学省に対し次年度の要求を行う際に必要な各種員数、単価、係数等については、予め文部科学省から提示することとしている。
 
 
 

問17 学部及び研究科における学生入学定員の増減は、どのような基準の下に認可されるの  か。
 
 
(答)
 
1 学生入学定員の増減の認可は、最終的には個別の判断とならざるを得ないが、その際に 考慮されるべき事項のうち主なものを例示すれば次のとおりである。
  @大学全体の学部又は研究科の学生収容定員の増加を伴うものか否か。
  A各学部等の目的や求められている社会的要請を十分反映した入学定員、収容定員となっ   ているか否か。
  B予算(施設費関係を含む)の増加を伴うものか否か。伴う場合にどの程度増加が見込まれ   るのか。
  C学内の関連組織等との有機的な連携が図られているものか否か。
  D大学設置基準等の関連法令の趣旨に沿ったものであるか否か。 等
 
2 なお、国立大学における学生入学定員については、今後中央教育審議会で審議される予定 である高等教育計画(グランドデザイン)とも密接に関連する課題であり、同審議会における 審議を踏まえながら、慎重かつ柔軟に検討すべきものと考えている。
 

問18 学生入学定員の減は直ちに教員数の減につながるのか。
 
 
(答)
 
1 標準運営費交付金を算定するに当たっての標準教員数は、原則として学生収容定員に対し て積算することとしている。したがって、単純に学生入学定員を減じた場合、学生収容定員 も減じることとなるため標準教員数が減少することとなる。
 
2 しかしながら、例えば学生入学定員を減じたことによる学生収容定員の減分を3年次編入 学定員として措置し、学生収容定員として増減が生じないようにした場合等、直ちに標準教 員数の減にはつながらない場合も考えられる。
 
3 さらに、別途、標準教員数の減少とあわせ、合理的な理由に基づき、特定運営費交付金の 算定に反映される教員増を新たに要求すること等もあり得ると考えている。
 
 
 

問19 15年度までに措置された組織に係る学年進行分は措置されると考えてよいか。
 
 
(答)
 
 いわゆる学年進行による教職員の整備を伴う組織で、15年度までにその設置が認められたものの16年度以降の教職員に係る経費は、引き続き措置する方向で財務省と協議して参りたい。
 
 
 

問20 いわゆる時限施設はどのように扱われるのか。
 
 
(答)
 
1 法人化後の教育研究施設については、各大学の判断と責任のもとに、随時設置改廃を行う ことが可能となる。
 
2 現在時限が付されている研究施設の扱いについては検討中であるが、創設の際の趣旨を尊重し、所期の目的の達成を第一に考えていただく必要があるものと考える。
 
3 なお、中期計画終了時の各大学の評価に際し、各種の教育研究施設についても基本的には 対象となるものと考えている。
 
 
 
 
 

問21 施設メンテナンス費用は運営費交付金の算定上積算されることになるのか。
 
 
(答)
 
1 施設のメンテナンスについては、教育研究活動の重要な基盤である施設を長期にわたり良 好な状況で維持し、また、実験室等を使用する学生や研究者の安全の確保等の観点からも必 要不可欠であると考えている。
 
2 このことから、施設の点検保守、修繕、運転監視等を対象とした施設維持保全費を運営費 交付金の算定上勘案することを検討してまいりたい。
 
 
 
 
 
 
 
 

問22 施設整備の要求について法人化後は、現行システムが如何様に変化することとなるか  教示願いたい(・実施計画案協議のシステム・基準面積の考え方・年度計画等作成の際  に必要な各種単価等)。また、施設整備費の各大学法人への措置方法について法人化後  に変化があるのか、あればどのようなスキームになるのか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 「中央省庁等改革の推進に関する方針」(平成11年4月、閣議決定)において、「独立行政法人の施設費等に係る経費であって、国の予算において公債発行対象経費であるものについては、運営費交付金とは別に措置する。」とされており、これに基づき、国立大学法人(仮称)の施設整備に要する経費は、先行独立行政法人と同様に、運営費交付金とは別に施設費補助金で措置することとして検討を行っている。
 
2 各大学からの施設整備の要求については、先行独立行政法人の取り扱い等を踏まえ、教育研究等に関する事項を達成する上で必要な施設整備に関する計画を、中期計画に掲げることとし、その計画を踏まえた各大学の概算要求を、毎年度受ける予定である。なお、一大学一法人という形態となることから、8月末の文部科学省から財務省への概算要求の時点で、各大学毎に要求額が確定していることとなる点に留意する必要がある。
 
3 各大学の施設費補助金の要求額の算定にあたっては、面積・単価等について、補助金算定上の一定の基準により積算することとするが、この基準は、基本的に現行の基準、「国立学校施設実態調査実施要領の面積基準」及び「工事単価」を使用する予定である。なお、このうち面積基準については、各大学の自主的な判断による柔軟かつ機動的な組織編成に対応するため、現行基準の弾力化等を検討することとしている。
 
4 支出負担行為実施計画については、現在の施設整備費予算が一括計上されているために財務大臣の承認対象経費となっているものであり、法人化後の施設整備費予算が1法人毎の個別予算となれば対象外となると考えられるが、予算の計上方法等も含め、今後の財政当局との協議により決定されることとなる。
 
5 なお、国立大学法人(仮称)の施設整備は、施設費補助金をもって基本的な財源とするが、財源の多様化や安定的な施設整備、自主性・自律性の向上等の観点から、長期借入金や土地の処分収入その他の自己収入をもって整備することを可能とする予定である。
 
6 また、災害復旧に要する経費については、施設災害復旧費補助金で措置する方向で検討し ているところである。その際、災害の範囲及び復旧費の算出方法等は、現行の災害復旧制度 に準じたものを用いることを想定している。
  なお、施設災害復旧費補助金は、暴風、洪水等の災害による被害について原形復旧を原則 として措置するものであり、予め予測が困難なことから、中期計画の対象とせず、文部科学 省に一括して予算を置き、必要に応じて措置することが適当と考えている。
 
 
 
 
 
 
 
 

問23 「国立大学等施設緊急整備5か年計画」は何らかの変更があるのか。
 
 
(答)
 
1 第2期科学技術基本計画を受け策定した「国立大学等施設緊急整備5か年計画」は、世界 水準の教育研究成果の確保を目指し、計画期間の平成13年から平成17年までの5か年間 において、老朽化・狭隘化した国立大学等の施設の重点的・計画的整備を図ることとしたも のであり、法人化後においても、国立大学の果たす使命や機能の重要性は変わるものではな く、むしろ従来以上に強く求められるものであることから、本計画を変更することなく、引 き続き着実に実施することとなると考えている。
 
2 なお、国立大学が法人化した場合、最初の中期計画期間は、平成16年度から平成21年 度までの6年間となるが、5か年計画は平成17年度までであることから、本計画期間終了 後においても、文部科学省としての政策目標を明らかにし、整備方針を立案することを検討 してまいりたい。
 
 
 

問24 財政融資資金からの附属病院施設整備に対する長期借入れは従来どおり行われると考  えてよいか。
 
 
(答)
 
1 法人化後の施設整備の事業規模を想定すれば、附属病院の施設整備に要する財源として、 長期借入金は当面必須のものと認識している。
 
2 現在のところ明らかではないが、法人化後も引続き財政融資資金からの借入れが受けられるよう、財務省と鋭意協議を行っているところであり、併せて長期借入れが可能となるような制度設計を検討しているところである。
 
3 いずれにせよ、法人化後は、個々の大学が国立学校財務センターを活用して構築するシステム(以下「共同機関」という。)から借入れを行うこととなるが、当然のことながら、借入を行うにあたっては各大学毎に償還確実性が担保されることが前提であることから、今後の各大学の運営に当たっては従来以上に経営的な視点が重要になってくることに十分留意する必要がある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問25 施設費の要求に当たって、財源(国からの補助金、長期借入金、等)を特定する必要   があるのか。
 
 
(答)
 
1 施設費の財源については、国からの補助金を基本としつつ、財源の多様性を図る観点から、 処分収入や借入金についても検討しているところである。
 
2 長期借入金により整備するものとしては、附属病院の施設整備や移転統合による施設整備 を考えており、これらに該当するものものについては、各大学は長期借入金を財源として要 求することになると考えている。
 
 
 

問26 施設整備の執行に必要な各種経費(附帯事務費等)の措置について教示願いたい。ま  た、各種法的手続きの変化に伴い、建築基準法に基づく確認申請・各種検査に係る新た  な費用負担が生じると考えられるが、その取り扱いについて教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 施設整備に伴い必要となる事務費(附帯事務費)については、施設費補助金に含めて措置することとしており、その内容、積算方法等については、現在、検討中である。
 
2 また、ご指摘の建築基準法に基づく確認申請・各種検査(工事完了検査等)等に係る費用の扱いについては、各大学が負担することとなるが、国からの財源措置については、現在検討中である。
 
 
 

問27 先行の独立行政法人同様、中期計画期間中の予算(人件費の見積もりを含む)、収支計  画、資金計画等を作成することとなるのか。
 
 
(答)
 
 国立大学法人(仮称)の中期目標・計画における記載事項等は現在検討中であるが、中期計画期間中における予算の見積もりや収支計画、資金計画については、先行の独立行政法人の例にならえば、中期計画に記載し文部科学大臣の認可を受けることになると考えている。
 
 
 
 
 
 
 

問28 先行の独立行政法人の例では、毎年度総事業費に対して1%の業務の効率化減が図ら  れていると聞いている。毎年度の事業にも大きく影響することから、国立大学法人にも  適用されるか否か教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 先行の独立行政法人における業務の効率化については、各法人の中期目標・計画において、 業務運営の効率化に関する事項として、国において実施されている行政コストの効率化を踏 まえ、中期目標の期間中、毎事業年度につき原則として1%のコスト節減を図るとされてい るところである。
 
2 国立大学法人(仮称)に対する運営費交付金の算定基準については、各種係数の在り方も含 めて検討中であるが、各大学に対する運営費交付金の額は、一般的には各大学の中期目標・ 計画との関係や事務事業の性格、内容に応じ個別に判断すべきものであると考えている。
 
3 なお、いずれにせよ、各大学は、自らの判断と責任のもと、運営の合理化、効率化に努め ることが重要である。
 
 
 

問29 中期目標を達成するための中期計画において、予算・資金・収支計画を定めて主務大  臣の認可を受けることとなった場合、この認可を受けた予算に対し、いわゆる内示とい  うような行為はあるのか。あるとすればいつ、どの様になされることになるのか。
 
 
(答)
 
1 先行の独立行政法人の例にならえば、中期計画においてその期間における予算・資金・収支計画を定めて主務大臣の認可を受けることになるが、これらの計画はあくまで中期計画策定時点における見積もりであり、期間中の予算については毎年度の予算編成において決定されるものである。
 
2 換言すれば、中期計画は必ずしも計画期間中の予算を保障するものではなく、したがって 特に「内示」といった行為は考えていない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問30 年度ごとの運営費交付金は、一年分をまとめて交付されるのか、あるいは一定期間毎  に振り分けて交付されるのか。
 
 
(答)
 
1 国立大学法人(仮称)の事業年度に係る運営費交付金については、各大学毎に予算をもって 決定されることに鑑み、事務負担の軽減を図る観点から、交付決定の手続きは行わず、各大 学からの請求によって資金を支出する方向で検討している。
 
2 資金の支出に当っては、各大学から年度当初に資金計画の提出を求め、それを基に支払計 画を策定し、各四半期毎にその範囲における請求に基づき支出することを考えている。
 
3 なお、文部科学省所管の先行の独立行政法人についても、同様の扱いとなっているところ である。
 
 
 

問31 運営費交付金は、退職給付引当金の計上を含め具体的にどの様に取り扱えばよいのか。 また、退職者の増などによる年度途中における増額は認められるのか。 
 
 
(答)
 
1 退職手当については、定年退職者に係るもの及び自己都合退職者等に係るものそれぞれに ついて、各大学において適正な見積もりを行い、当該年度の運営費交付金において措置する こととなる。
 
2 退職給付の引当金については、国が措置する水準までの退職手当は運営費交付金において 措置する方向で検討しており、その分に係る引当金は必要としない。
  ただし、自己収入の増収分において雇用する者や外部資金を活用して雇用する者など、運 営費交付金により退職給付が措置されない者に係る退職手当については、相当額の引当金を 用意する必要がある。
 
3 退職者の増などによる年度途中における運営費交付金の増額については、法人化後の予算が各大学毎に設定されることとなる予定であるため、基本的には認められないこととなる。この場合の不足額については一時借入金で対応する等の方策が考えられる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問32 自己努力により剰余金を生じた場合は、予め中期計画において認められた用途に充て  ることは可能であるが、その剰余金の用途について制約があるのか。また、剰余金の判  定基準はどのようになるのか、使用時期について制限があるのか教示願いたい。
 
 
(答)
 
1 経営努力の認定を受けた剰余金の使途については、中期計画において認可された使途の範囲であれば、特段の制約を受けることなく使用可能である。
(先行独立行政法人の例)
○大学入試センター
「センター試験の充実・改善、質の向上」
○放射線医学総合研究所
「放医研の決算において剰余金が発生した時は、重点研究開発業務への充当、職員教育・福利厚生の充実、業務の情報化、放医研の行う広報の充実に充てる。」
○国立美術館
「決算において剰余金が発生した時は、次の購入等に充てる。
1 美術作品の購入・修理
2 調査研究、出版事業の充実
3 企画展等の追加実施
4 入館者サービス、情報提供の質的向上、老朽化対応のための設備の充実」
 
2 「経営努力」については、原則として自己収入の増加及び運営費交付金の節約に起因して生じたもので合理的な理由があるものについては、その認定があるのではないかと考えられる。例えば、附属病院において予定以上の収益があり、又は、一定の経費を節約した場合で、それに起因して剰余金が生じた場合には、経営努力の認定が可能ではないかと考える。
 
 
3 剰余金の使用時期については、文部科学大臣の認可を得て、中期計画期間をまたいで使用することも可能と考える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問33 雇用保険,労災保険の事業主負担について,次の点について教示願いたい。
    @ 財源は運営費交付金で措置されるか。
    A 現行通り非加入とすることはできないのか。できないとした場合、雇用保険制     度と同じ趣旨で設けられている国家公務員共済組合法等の適用についても見直し     を行う必要があるのではないか。

 
 
(答)
 
1 国立大学法人に対する雇用保険、労災保険を適用除外とすることについては、法人の負担軽減の観点から制度官庁と検討中である。しかしながら、次のような事情を考慮する必要もある。
 (1) 民間の場合、労働者を使用する事業は原則として全て雇用保険、労災保険の適用対象となっているのみならず、先行独立行政法人においても「非公務員型」の独立行政法人は全て適用対象となっていること。
 (2) 現在、国として学校法人に対し、雇用保険、労災保険に加入すべきであるとしてその加入促進に努めているところでもあること。
 (3) 国立大学は国の施策により法人化するものであり、同じく国の施策として実施されている雇用保険事業等の適用を免れることで各方面からの批判を受けることも懸念されること。
 
2 雇用保険及び労災保険の事業主負担分については,義務的経費として,運営費交付金の算定に反映させるべきであると考えている。
 
3 両保険とも、以下の理由により、加入しないとすることは困難であるとともに、現行の国家公務員共済組合法等の見直しは不要であると考えている。
 
 (1)雇用保険関係
雇用保険法における適用事業は、労働者が雇用される事業とされている(雇用保険法第5条)。従って、原則としてすべての民間被用者を対象とした制度である。
適用除外については、同法第6条の各号に規定されているとおりである。なお、同第4号の規定による厚生労働省令には、公務員型の独立行政法人(特定独立行政法人)などが定められているが、これらが適用対象外とされているのは、法若しくは条例レベルで、法の要請している要件を満たしているからである。一方、国立大学法人(仮称)については、根拠法において特段の措置は予定していない。(参考参照)
さらに、国立大学は、国の政策により法人化するものであり、同じく国の施策として実施する雇用保険事業の適用を免れることは各方面から批判を受けるのではないかと考えられる。
また、雇用保険法は労働者の失業や雇用の継続が困難となる場合や、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受ける場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに求職活動を容易にすることを目的としているのに対して、国家公務員共済組合法は、国家公務員等の病気、負傷、出産、休業、災害、退職、障害若しくは死亡等に関して適切な給付を行うことを主な目的としており、雇用保険法と国家公務員共済組合法は同趣旨で設けられているものではない。
なお、雇用保険法が予定している雇用保険事業の中で、育児休業給付と介護休業給付については、国家公務員共済組合法に同様の給付等を内容とするものがあるが、これらの給付については、雇用保険法の規定による給付を受けることができるときは支給しないこととされている。
いずれにしても、雇用保険法の柱となる失業給付については同様の給付を内容とする事業はなく、国家公務員共済組合法の適用について見直しの必要はない。
   (注)
    雇用保険の保険給付内容は、失業等給付と雇用3事業とに大別。
    失業等給付 @失業した場合の求職者給付
          A再就職の際にお祝い金を出すことで就職を促進する就職促進給付
          B教育訓練を受けた場合に一定限度額までを国が援助する教育訓練給付
          C雇用の継続が困難となる場合に支給する雇用継続給付
    雇用3事業 @雇用安定事業
          A能力開発事業
          B雇用福祉事業の雇用対策の助成金などの給付事業
 
 
(2)労災保険関係
労働者災害補償保険法における適用事業は、労働者を使用する事業とされている(労災保険法第3条)。また、国の直営事業、官公署の事業及び船員保険法による被保険者には適用されない(同法第3条第2項)。従って、国立大学が国の機関でなくなることによって、職員は国家公務員災害補償法が適用されなくなるが、法人の職員となると同時に労働者災害補償保険法が適用になる。
また、労災保険法が予定している保険給付内容について、国家公務員共済組合制度における給付内容とは同趣旨のものがあり、併給調整等が行われるが、この併給調整は現在も行われている国家公務員災害補償法の給付と共済給付の併給調整と同様のものであり、見直しの必要はない。
 
 
(参 考)
○雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)抄
(適用事業)
第五条 この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。
2 (略)
 
(適用除外)
第六条 次の各号に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一〜三 (略)
四 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
 
○雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)抄
(法第六条第四号 の厚生労働省令で定める者)
第四条 法第六条第四号 の厚生労働省令で定める者は、次のとおりとする。
一 国又は独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第二項 に規定する特定独立行政法人(以下「特定独立行政法人」という。)の事業に雇用される者(国家公務員退職手当法 (昭和二十八年法律第百八十二号)第二条第一項 に規定する常時勤務に服することを要する国家公務員以外の者であつて、同条第二項 の規定により職員とみなされないものを除く。)
二〜三 (略)
2 (略)
 
 

問34 新入生の授業料については、現行では前年度に徴収できるとなっているが、法人化   前16年3月に徴収した授業料歳入は、法人化後の自己収入となり得ないのか、それと  も、運営費交付金に換算のうえ交付されることとなるのか。
   また、休学等による学生納付金の不納欠損分についても、運営費交付金への反映があ  るのか教示願いたい。

 
 
(答)
 
1 授業料については、国立学校における授業料その他の費用に関する省令の一部改正省令(平成2年文部省令第28号)により、平成3年度入学者に係る授業料から、入学を許可するときに徴収することができることとされたところである。
  また、その場合の徴収手続は、随時の収入として領収した日の属する年度、すなわち入学を許可した年度の歳入として取り扱うこととなっているところである。
 
2 このことから、平成16年度入学者に係る授業料については、入学許可時に徴収可能であるため、従前通り領収した日の属する年度、すなわち、平成15年度の国立学校特別会計の歳入として取り扱うこととなる。
 
3 平成16年度運営費交付金において、この、いわゆる授業料前倒し相当額をどのように処理するかについては、以下のような状況を前提に、財務諸表上の問題も含め文部科学省において検討を行っているところである。
@ 現在、財務省と折衝中の平成15年度国立学校特別会計の概算要求においても、授業料の前倒し分については、従前どおり平成15年度歳入として計上されており、また、その見合いの歳出予算も計上されていること
A 平成17年度以降も、当面、この制度は維持される方向であること
 
4 なお、休学等による学生納付金の不納欠損分については、休学学生に係る経費も不用となることなどを考えれば、運営費交付金への反映を考慮することは適切ではないのではないかと考える。