11・16〜17「国立大学法人化との闘いについての検討討論会」と

「集中学習検討会:国立大学法人と労使関係・労働条件について」に参加を!

200210月 全大教関東甲信越地区協議会

 

調査検討会議の最終報告に基づく国立大学法人の法案作成を進めている文科省は、自分たちの思惑とおりに事が進まず、準備が遅れています。

財務省などから「国が設置者というのは問題だ」、「中期計画の6年間の財政措置をすることはむずかしい」などという指摘がされています。また、就業規則などのモデルも文科省としてつくることは労働法上問題だという指摘もされたようです。このように文科省の無知、政策能力のなさが浮き彫りになっています。

国立大学法人化を粉砕するために私たちはどう闘うべきかーその方向性を検討する会議を全大教関東、国公関東ブロック、独行法反対首都圏ネットの共催で下記のとおり開催します。

 

法人化後の労使関係・労働条件については周到な準備と取組みが決定的に重要であります。未知の労使関係であるがゆえにしっかりとした実践的知識をもち、態勢づくりと具体的取組みを早急に展開しなければなりません。

そこで第一弾として、集中した学習会を行います。講義を聴き、その講義内容についての実践的検討を行います。今回は知識の習得が第一義の目的です。第二弾は「職場要求の実現―どうしても譲れない要求はなにか」「定員外職員をはじめとした全員の雇用を継承させるためには・・」「就業規則、労使協定にどう対応するか」「労働協約はどうやって結ぶか」「過半数代表者はどうやって選出するか」など実践的課題での検討討論会を来春に開催する予定です。

 

 

名称:「国立大学法人化との闘いについて」の検討討論会
日時:2002年11月1日(土)10時30分〜12時15分
場所:国公労連会議室(西新橋1-17-14リバティ14 地図はここをクリック
共催:全大教関東、国公関東ブロック、独行法反対首都圏ネット

 

名称:集中学習検討会:「国立大学法人と労使関係・労働条件」について

日時:2002年11月16日(土)13時〜17日(日)16時

場所:国公労連会議室 地図はここをクリック

主催:全大教関東

講義:深谷 信夫茨城大教授(労働法)
※ 講義レジメ(別途)を参照ください。

日程:第1日目

講義と検討(13時〜18時)

交流懇親会(18時〜20時)

   第2日目
講義と検討(930分〜16時 ※昼休み1時間)

参加申込・事前質問受付:講義でふれてほしい内容や疑問、みんなで検討してほしい事柄等について事前にお知らせ下されば、講義・検討に組み入れます。メールでのアドレスまで連絡ください

 <tousyoku@u.email.ne.jp > (東大職員組合)

 

講義内容 取り上げるべき論点と内容

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はじめに

 

1 設置形態問題と労使関係問題の区別と関連

 設置形態問題と労使関係問題は、密接に関係しているが、異なる二つの課題である。この区別をつけることがすべての出発点である。

 

2 通則法における特定独立行政法人と非特定独立行政法人

 非特定独立行政法人化による変化の内容を正確に認識することが重要である。特定独立行政法人の過大評価と非特定独立行政法人の過小評価は間違っている。

 

3 労働基本権回復闘争における設置形態変更問題の位置

 労働基本権回復闘争の流れのなかで、非特定独立行政法人化は位置づけられなければならない。そもそも労働三権・労働基本権とはなにか。

 

4 労働基準法の適用対象者と労働組合への加入資格の区別

 大学教職員のだれが労働法の適用対象者となるのか、労働基準法が適用される労働者と、労組法上の労働組合に加入できる労働者とは異なることを正確に認識しなければならない。

 

5 労基法の事業場単位原則の意義

 労使関係は法人単位で形成され、労働条件は事業場単位で規律される。大学における事業場概念を確定することが、労働条件規制の出発点である。

 

6 労働条件決定の仕組み

 労働条件を規律する労働法と就業規則と労働協約と労働契約という四つの規範の相互の関係を正確に理解しなければならない。

 

7 労使協定方式・過半数代表者制度の意義

 労働基準法は労働条件規制の実施を、労働者の過半数代表者と使用者との労使協定の締結に委ねている。労働組合は労使協定締結方式を有効に活用しなければならない。

 

8 団体交渉と労働協約の区別

 誠実交渉義務と労働協約締結を混同してはならない。使用者は労働組合と誠実に団体交渉をしなければならないが、労働組合の要求をのんで労働協約を締結する義務はない。

 

9 法人への雇用の承継

 最終報告は、職員の雇用の承継を個別法の附則で規定するとするが、このことに法律上の根拠はなく、今後の政治過程の展開のなかでの政治交渉に委ねられている。雇用の保障を実現することが、全国レベルでも、各大学レベルでも、最大の課題である。

 

10 労基法と非常勤職員の雇用保障

 労基法では認められない非常勤職員制度(有期雇用制度)が現状の国立大学で濫用されている。非常勤職員の雇用問題について、労基法に照らして適法な制度をどう設計し、どのように規制し、雇用の打ち切りでなく、雇用の継続を実現するのか。

 

11 大学教員の任期制

 大学教員の任期に関する法律制度はどうなるのか

 任期制を認めるのか認めないのか

 

12 大学教職員の労働時間制度

 大学の教員と職員の労働実態にあわせて、労働時間制度は構想されるべきである。労働基準法が提供する労働時間制度のどれを選択するのか検討しなければならない。

 

13 労基法とサ−ビス残業

 労基法は、不払い労働を刑事罰をもって禁止している。現状のサ−ビス残業を一掃して、残業に対する正当な支払いを請求する権利を行使しなければならない。

 

14 休憩・休日

  最低付与日数は、現行人事院規則の内容を就業規則で確認することが重要である。

 休憩時間付与の原則と休日振替制度とを就業規則において明確にすべきである。

 

15 年次有給休暇

 労基法上の計画年休制度を活用して、長期休暇と完全消化を実現しなければならない。

 

16 労基法と賃金規制

 労基法は、賃金の支払方法について規制している。どのような取り組みが必要になるのか、検討しなければならない。

 

17 賞与・退職金

 労基法上は、賞与支給と退職金支払いは労使間で決定される任意的な制度(あってもなくてもいい制度)である。発生が予測される法律問題を解決する仕組みを、就業規則に規定させなくてはならない。

 

18 大学教職員の人事・賃金制度

 文部科学省による「わたり人事制度」による「わたり職員」を廃止し、希望のある働きがいのある人事制度をどのように構想するのか。公平・公正・平等な人事制度とは。

 能力主義・成果主義をどう考えるか、客観的な合理性があり、社会的な相当性をもった評価制度をつくりあげることはできるのか。

 大学事務組織のアウトソ−シングをどう考えるか、非正規雇用労働者の導入をどう考えるか。

 教員と職員の賃金格差に合理性はあるのか、職員の昇給制度に問題はないのか、

 教育・研究・校務という教員の職務内容を反映した賃金制度を構想すべきではないのか

 教員と職員で定年年齢に格差をつけることに合理性はあるのか。定年制をどう構想するのか。

 

19 人事異動の法律問題

 人事異動は個別労働者の個別的同意を原則とする、という制度内容を就業規則において明確にすべきである。

 

20 解雇と退職

 解雇をめぐる法律問題を理解して、就業規則において解雇と退職をめぐる制度を明確にすべきである。

 解雇をめぐる法律問題の主な内容は、@解雇規制の概要、A解雇権濫用法理、B整理解雇、C退職と退職勧奨、D有期契約の更新拒否、である。

 

21 2004年4月1日の位置

 この日、使用者は、就業規則と労使協定を作成届け出し、諸制度を整備し、労働者一人一人に労働契約書を交付し、適法な労働条件制度を実施しなければならない。

 

22 少数労働組合の位置と機能

 過半数を組織できない労働組合が、どのようにして労働条件規制にイニシアチブを発揮するのか、その法律的手段を知ることが重要である。

 

おわりに