独行法反対首都圏ネットワーク |
総合科学技術会議科学技術システム改革専門調査会
第14回2002.6.7 議事録(案)
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[「産学官連携プロジェクトまとめ案」についての議論]
○市川専門委員[東京工業大学名誉教授]「・・・日本の博士課程の学生が使
いものにならない理由は、研究室の中で研究労働力化していて、単なる研究の
量産というか、改善研究を手伝っているだけで、結果として博士というべきも
のが「狭士(セマシ)」になっていることに問題がある。・・・とくに心配なこ
とは、日本において教授等が産学官連携に熱心になると、この条文がもとになっ
て、博士課程の学生が動員されることが起こる。そうすると従来にもまして、
改善研究に巻き込まれていくことになって、少なくともブレークスルーを生む
ような研究テーマが提案できる能力をまったく涵養されなくなるのではないか
という気がする。・・・」
○三輪専門委員[独立行政法人農業技術研究機構理事長] 「・・・寄附講座
自体、全面的に否定するわけではないが、例えば私の独法の敷地の中にある農
薬会社の研究室ができるというようなイメージでとらえると、要するに産学官
連携と癒着というのは絶えず紙一重のところがある。・・・」
○青木専門委員[スタンフォード大学教授]「・・・経済学でも過去10 年間
ぐらい、インセンティブの理論が発展して、いろいろな契約や評価のときに、
マルチタスクというか、いろいろな任務があるときに特定の任務だけに比較的
高い点数をつけると、当然のことながらそこに努力が集中して、とても変な結
果が出てくる。数値では評価できないような、本来重要な任務がおろそかになっ
てしまう。社会主義企業が非効率的になって崩壊したのはまさにそういうとこ
ろにあるわけだから、今、産学官連携が重要な社会的な課題になっていて、集
中して議論されていることは結構なことだが、これが行き過ぎるとそういう問
題が出てくるので、すごく注意する必要がある。・・・」
○岸専門委員[独立行政法人物質・材料研究機構理事長]「それともう一つ、
やはり怖いのが、8ページの「産・学・官の役割分担」。これは全体が産学官
で、産学官をやる場合の役割分担だが、一番怖いのは「大学は産業界の需要を
意識しつつ」で、これがひとり歩きすると見ている。大学は、別に産業界の需
要を意識しないでやっても十分いいし、そういう研究の方がはるかにブレーク
スルーが多いのがわかっているが、ここにもう1行ぐらい、「産学官をやる人
にとっては」というようなことを入れないと、ここからこういう文章が出たと
いうのは必ずひとり歩きする。・・・」
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[「競争的資金制度改革プロジェクト中間まとめ案」についての議論]
○石井総合科学技術会議議員
「・・・間接的経費が、基盤的経費と競争的資金との間の関係をどう構築する
かという問題の中で、非常に大きな論点になってくるのだろうと思う。これも
これから増やしていくということを考えると、全体の国の予算の中で競争的資
金が伸びていく勢いというか、そのスピード、増加率のようなもののこれまで
の状況を考えてみると、そう多くのことは見込まれない。そうすると、間接的
経費を余りに増やすことは実質的に研究費の目減りを来すことになりかねない。
その辺のバランスを十分に考えておかないと大きな問題になるのではないか。」
「・・・・・・日本全体が基本的にパートタイマーを余り正規に位置づけてい
ない社会の中で、大学の先生全体をパートタイマー化できるのかという非常に
大きな問題がある。これは先ほど第一の問題として申し上げたこととの関係で、
研究と教育をいわは制度的に分けてやっているアメリカの割り切り方が日本に
持ち込めるのかという非常に根本的な問題がある。技術的にも例えば年金とか
社会保険との関係でそういう扱いをすることが、日本の社会システム全体がフ
ルタイム雇用が原則である中で、社会的正義に反するようなことを生みはしな
いかという危険は十分に考えておかなければならない。・・・」
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