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『河北新報』2002年10月3日付
大学間競争激化も 東北の関係者 新たな序列化警戒
文部科学省が2日公表した21世紀COEプログラム。「世界最高水準の研
究教育」という看板を懸けて応募した東北の各大学は、五つの分野ごとの選考
結果に悲喜こもごもの表情を見せた。COEプログラムが動き出したことで大
学間競争の激化は必至。「新たな格差が生まれるのではないか」と、危機感を
募らせる声も挙がった。
東北では、東北大を除いて唯一、生命科学分野で食い込んだ秋田大。三浦亮
学長は「大学の大きな旗印として掲げるにふさわしい」と手放しで喜んだ。秋
田大のプロジェクトリーダーの稲垣暢也大学院医学研究科教授は「旧帝大が独
占するのではないかという懸念もあったが、地方大の中ではいい仕事をしてい
るという自信はあった」と述べ、「今後、一つでも大きな発見ができれば」と
抱負を語った。
「正直言ってほっとした」。化学・材料科学分野で採択された東北大の井上
明久金属材料研究所長は安どの表情。論文引用件数ランキングの材料科学分野
で世界1位を誇る東北大にとって、COEに採択されるのは当然との雰囲気が
あったといい、「これで、世界に認知される資格を得た」と強調する。
ただ、大学全体の採択件数を見ると東北大は5件にとどまり、東大、京大
(いずれも11件)など、ライバルに水をあけられた形だ。「採択されるため
の情報を躍起になって集めるなど、迫力が足りなかった」(馬渡尚憲副学長)
との反省も聞かれる。
創立5年目の挑戦が話題を呼んだ岩手県立大は選考から漏れた。塚本哲人副
学長は「準備が整わなかったのが不採択の一因」と肩を落とす。弘前、岩手、
山形の3国立大もランキング入りを逃した。弘前大は「何もしないで黙ってい
れば大学間格差が広がっていくだけ。来年度は医学系分野の募集があるので、
今から準備を進めたい」(神田健策副学長)と危機感を募らせる。
博士課程を持たない福島大は応募資格がなかった。臼井嘉一学長は「地方の
大学を個性豊かに発展させる視点から見て、問題が残る」と不満を漏らす。大
学の新たな序列化を警戒し、「教育重視や地方貢献といった地方の大学の特徴
を伸ばすような施策、配慮を期待したい」と訴える。
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