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奈良市議会のようす・・・奈良教育大学のことで・・・
 . [he-forum 4410] 奈良市議会のようす・・・奈良教育大学のことで・・・ 
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奈良市議会のようす・・・奈良教育大学のことで・・・

 7月半ばに、奈良県議会による奈良教育大学存続意見書(6月28日採択)についてお知らせしましたが、今回は、同じ問題
についての奈良市議会のようすをお伝えします。
 6月17日の奈良市議会本会議で、中村あつ子議員(日本共産党)が奈良市教育長に質問し、教育長が答弁しています。傍
聴メモをもとに、山室がまとめ直しました。


『奈良教育大学の再編・統合問題』−−−奈良市会議議員・中村あつ子(日本共産党)
 奈良教育大学の再編・統合問題について、教育長に質問します。
 小泉内閣は、「構造改革」の一環として、昨年6月、「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)を打ち出しました。その内容は、
1.国立大学を再編・統合して大幅に削減する。
2.国立大学の制度を解体し、民間経営の手法で運営する「国立大学法人」にする。
3.競争原理を導入し、国公私立「トップ30」大学を重点育成する、というものです。
 これについては、以下の理由で学術・教育が台なしになると、国立大学協会も含め、教育界・マスコミ・地方自治体などから
批判と疑問の声が上がっています。
 第一に、経済的に「わりのあわない」大学がつぶれる。
 第二に、大学を政府の意に沿わせるために、大学の自治を根こそぎ奪う。
 第三に、地方の国立大学を無くしてしまう。とりわけ、教員養成の大学・学部が半分以上の県から無くなる。
 第四に、多くの大学が弱体化し、学費が高騰する。
というものです。
 結局のところ、研究・教育に果たす国の責任を最大限減らす、研究・教育を"利潤第一主義"に奉仕させる、というのが本質
ではないでしょうか。
 日本共産党は、国立大学の再編・統合に一律に反対するものではありませんが、教育・研究を充実させる見地に立って再
編・統合に合理的理由がある場合でも、学内合意を基礎にした大学間の自主的な話し合いと、地域の意見を尊重することを
前提に、「1県1国立大学」の原則は守って進めるべきと考えています。
 奈教大は、県内の国立大学で唯一男子が入学できる大学です。また、県内の小学校教員のおよそ3分の1が奈教大の卒業
生で、その割合はダントツに多いです。「その県の子ども達をその県の出身者が教え、育てる」というシステムが働いていま
す。
 また、地方に密着した教育問題を研究する場でもあります。
 奈教大は、一般成人向け公開講座として、奈良らしい、「地球・人類の財産『世界遺産』を知る」「奈良の自然と食文化」「古
文化財科学と文化財造形」などを開き、小学生対象でも、「米づくり体験学習」「夏の森を親子で楽しもう」を開設しています。自
主グループ主催の「公民館問題連続講座」の講師についても、奈教大教授からの紹介で幅広く高名な方を招くことができたと
聞いています。奈良女子大学には無い地質学の分野では、奈教大が奈良県の活断層などの研究をすすめています。附属中
学校の障害児学級は先進的な実践をすすめ、奈良県の障害児教育をリードしています。まさに地域の知的拠点です。
 さらに、教育行政面でも重要な役割を果していますし、学生・教職員によるアパート・下宿、食堂、文具屋などの利用は地域
経済にも貢献しています。
 文部科学省は、現段階(6.17)では、交通が発達していることを理由に、「奈教大は大阪教育大学に吸収・合併」の方針です。
 お隣の京都は大学が多く、学生の街・文化の街と評されています。大学が無くなっていくことは、奈良の品格にもかかわるこ
とではないでしょうか。
 そこで、教育長に2点お尋ねします。
 1点目、奈教大の重要な役割について、どのように認識されていますか?
 2点目、「奈良県にも総合大学を」「男子も入学できる国立大学を増やしてほしい」など、大学を充実させたいとする市民の願
いを国に要望するお考えはありませんか?
――― 質問、以上。

『奈良教育大学の重要な役割について』−−−奈良市教育長答弁
 文部科学省が、大学の構造改革なくして日本の発展と再生はないとの認識の下、国立大学の構造改革についての方針を
示しておりますことは承知しております。
 奈教大は、その前身であります奈良師範学校・奈良学芸大学の時代から、奈良県の教育を支えてきた教員養成機関であ
り、教育に関する様々な研究や地域に密着した特色のある教育を展開していく上で大きな役割を果してきたと認識しておりま
す。
 また、奈良市教育改革プログラム懇話会の委員をはじめ、県内で設置されております各種審議会や委員会の委員、奈良市
教育委員会が実施しております教職員研修講座の講師や大学院における現職教員の研修など、教職員の資質向上にも大き
な役割を担っていると考えております。
 このことをふまえ、奈良市・奈良県の教育の一つの核として存続を願いながら、今の大学改革の動向を見据えてまいりたい
と考えております。
 総合大学の誘致に関しては、県教育委員会とも調整しながらと、考えております。
――― 答弁、終了。

bbb