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☆社説 [公立大法人化]「地域の中で存在意義を問い直せ」
 . [he-forum 4409] 社説 [公立大法人化]「地域の中で存在意義を問い直せ」(読売新聞08/22) 
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社説 [公立大法人化]「地域の中で存在意義を問い直せ」
読売新聞ニュース速報


 激動する大学改革の中で、全国七十五の公立大学の存在意義が問われている。
 国立大が独立法人化し、競争原理を取り入れようとしているいま、公立大学も、設
置者の自治体と一体になって、再編・統合を含めた今後の在り方を検討する時だ。
 大学生の4%、約十一万人を抱える公立大はここ十年ほど新設が相次いだ。
 看護系の短大が一斉に四年制に衣替えしたことと、地域の人材確保を目指した自治
体が、情報系や社会福祉系の学部を競って設置したためだ。
 釧路公立大や青森公立大のように複数の自治体の連合によって出来た大学もあり、
大学設置が若者の地元離れを防ぐ助けにもなる、との判断もあった。
 国立大法人化の動きからやや遅れ、総務省が今月、公立大や公立病院を対象とする
「地方独立行政法人制度」導入の報告書をまとめ、法制化へ動き出した。
 公立大全体の二〇〇一年度予算は、二千七百七十五億円、学生一人当たり二百五十
万円で、その大半が設置者である自治体の負担だ。
 どの自治体も、厳しい財政事情の下で、いま以上に運営費を捻出(ねんしゅつ)で
きない。負担を抑える意味からも、法人化は避けて通れないが、それだけでは済まな
い。
 大阪府は今月、府立大、女子大、看護大の府立三大学を二〇〇五年度をめどに統合
し、「新生府立大学法人」(仮称)を発足させる計画を発表した。
 新大学は、生命環境科学、理、工、経済、人文社会、看護、総合リハビリテーショ
ンの七学部と大学院で構成し、バイオやナノテクノロジーなど、発展が期待される分
野で大阪の産業界を支える「知の創造拠点」とする。
 各分野をリードする高度専門職業人・研究者を養成し、地域社会へ積極的に貢献す
ることを目指すという。
 東京都も二〇〇五年度に都立大、科学技術、保健科学、短期の四大学を統合し、法
人化を目指すことを決めている。
 少子化に伴う学生数の減少を背景に、大学は、従来の国立、公立、私立という枠組
みを超えて多様化している。
 新しい形の大学も出来ている。環境問題や最新技術に効率よく取り組むため、自治
体が設立し学校法人が運営する「公設民営大学」の形を取った鳥取環境大や高知工科
大、アジア・太平洋諸国との連携の拠点とするため大分県が大学を誘致した立命館ア
ジア太平洋大などだ。
 公立大も、他の公立大との再編・統合や、国立大への移管統合、完全民営化などあ
らゆる可能性を視野に入れて改革に取り組まなければ、生き残れない。

[2002-08-22-09:03]