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大学の評価―成否はやり方次第だ
 . [he-forum 4383] (朝日新聞08/07
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大学の評価―成否はやり方次第だ
朝日新聞ニュース速報

 すべての大学は、国が認めた第三者評価機関の評価を受けなければならない。そんな
答申を中央教育審議会がまとめた。
 大学や学部、学科をつくる際の規制は緩和する。そのかわり、実際の教育研究や組織
の運営について、評価機関が○×や5段階などの判定をして結果を公表する、という内
容だ。
 入り口は緩め、中身をチェックするやり方は、理にかなっている。そのチェックも、
現在多くの大学がやっている自己点検や自己評価では信頼性に欠ける。第三者による評
価が欠かせまい。学生や親たちも、偏差値や就職実績だけでなく、教育研究の質に関し
た情報を求めている。
 総じて中教審の考えに賛成だ。問題は、果たしてきちんとした評価ができるか、であ
る。
 日本の大学評価は歴史が浅い。評価機関としては、国立大を対象にする大学評価・学
位授与機構や国公私立を横断する大学基準協会などがあるが、経験や実績という点では
まだまだ不十分だ。
 今回も、答申に沿ってどんな評価機関が、だれの手で生まれるかは未知数である。私
学団体や予備校などが手を挙げる構えを見せているが、たとえば私学団体が自らの加盟
校に不利な判定を出すのは難しいのではないか。「お手盛り」型では、大学自身の評価
と似たり寄ったりになる。
 評価の信頼性のかぎを握るのは情報公開であろう。「○○大学はAランク」といった
結果だけでなく、評価手法や経過、集めたデータもできるだけ公開してもらいたい。評
価する側も評価される。そんな仕組みをつくる必要がある。
 もちろん、一番しっかりしなければならないのは当の大学である。自主性が大事、外
からの評価に翻弄(ほんろう)されたくないと考えるなら、自ら質の向上を図る気概と
責任感がほしい。
 大学側は評価機関の中から、少なくとも一つを選んで評価を受ける。機関を認証する
文部科学省にも注文をつけたい。
 評価機関がどんな物差しを使うかなど、評価の仕方まで細かく口をはさむべきではな
い。それでは国の間接的な評価と同じになってしまう。せっかく入り口の規制を緩める
のなら、個性豊かな大学をつくるには、多様な物差しが要るという考えに立つことだ。
 米国は大学評価に長い経験をもつ。大学別や専門分野別の協会があり、権威ある協会
は、その会員になることが、そのまま「質」の証明になっている。評価機関づくりには
、海外の例も参考になろう。
 教員や学生が国境を超えて移動し、大学もインターネットを通じて学位を出す時代だ
。日本の大学を見る世界の目はより厳しくなる。いいかげんな評価をすれば、当の大学
にとどまらず、日本の教育自体の信用を下げることを忘れるべきではない。
[2002-08-07-00:13]