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大学の質を第三者機関評価
 . [he-forum 4375] 読売新聞08/05 
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大学の質を第三者機関評価
読売新聞ニュース速報

 文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(中教審、鳥居泰彦会長)は5日、大学改
革に関する3つの答申を遠山文科相に提出した。中心となる「大学の質の保証」では、
設置時などの規制を緩和する一方、第三者による評価を義務付け、法令違反には段階
的是正措置を可能にするよう求めた。
 事前規制から事後チェック体制へ移行して大学の自律的な運営を促し、競争的環境
の中で世界に通用する大学を育成する狙いがある。ほかに高度専門職を育成する「専
門職大学院」の設置、2004年度に開設予定の法科大学院(日本版ロースクール)
の設置基準についても答申された。
 「大学の質」答申は、現在学科レベルも認可対象にしている規制を「教育研究の質
を確保するため不可欠なもの」に限定。例えば、工学部内の情報関連学科を独立させ、
「情報工学部」にするケースなど、扱う「学位」に変更がなければ届け出制で良いと
した。
 都市部での大学設置、社会需要が少ない分野の学部開設などの規制も、原則撤廃す
るとした。今後、認可が必要となるのは、大学や大学院、短大自体の設置や、新たな
種類の学位を授与する学部設置などになる。
 答申はまた、すべての大学が、国が一定の質を認めた第三者評価機関(認証評価機
関)による評価を受けることを義務付けるとした。機関は複数を想定し、「大学評価・
学位授与機構」などが候補に上がっている。
 さらに、違法状態の大学には、国が「改善勧告」「改善命令」「学部の認可取り消
し」といった段階的な措置が取れるように提言した。特に私立大に対しては、大学自
体の「閉鎖命令」など極端な権限しかなく、認可後の是正機能が乏しいとの指摘があっ
た。
 専門職大学院は、通常「研究」を必須としている大学院と異なり、高度な職業人養
成に特化した授業履修だけで修了を認めるもの。分野は法曹など国家資格関連、経営
管理、公共政策などを想定し、法科大学院以外は1年での修了も可能としている。
 法科大学院の設置基準は、受験者全員に「適性試験」を課すことなど今年4月の中
間報告を大筋で踏襲したが、教育内容に対し、従前の法学部教育の延長になるのでは、
との危機感が強いとして、関係者に自覚を促す文章を盛り込んだ。
 文科省は、秋の臨時国会に学校教育法など関係法の改正案を提出、大学設置基準な
ども大幅に見直す。
       ◇
 中央教育審議会の大学に関する三つの答申の骨子は次の通り。
 「質の保証に係る新たなシステムの構築」について
 【設置認可緩和】国の認可は、大学学部、大学院研究科等について行うことを原則
とし、学位の種類・分野を変更しない範囲の組織改編は届け出制とする▽首都圏、近
畿圏の新設を含む大学、学部の設置審査の抑制方針は基本的に撤廃する
 【第三者評価制度】大学の教育研究活動を、国の認証を受けた機関(認証評価機関)
が定期的に評価し公表。大学は自ら改善する
 【法令違反是正】国による改善勧告、変更(是正)命令、特定組織の認可取り消し
を可能とする
 「大学院における高度専門職業人養成について」
 【専門職大学院の創設】研究を目的とせず、高度で専門的な職業能力の養成を担う
専門職学位課程を創設する▽国家資格関連のほか、高度な専門職業能力を有する人材
養成が必要とされる分野で設置を期待▽修業年限は2年が基本だが、分野により1年
も認める
 「法科大学院の設置基準等について」
 【設置基準関係】修了年数を3年以上とし法学既修者は1年以下を短縮▽法学部以
外の出身者、社会人を一定割合以上入学させる▽全志願者に「適性試験」を義務付け、
法学既修者は法律科目試験を実施▽専任教員の2割以上は実務家教員▽厳格な成績評
価及び修了認定を行う▽継続的な第三者の適格認定を受ける。
 【その他】複数の大学で設置する連合大学院も可能▽奨学金、教育ローン、授業料
援助制度などを検討

[2002-08-05-20:18]