☆山大教育学部問題、あす注目の3者懇談会
. 2002年8月26日 月曜日 山形新聞
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2002年8月26日月予備 山形新聞
山大教育学部問題、あす注目の3者懇談会
異例の県民集会や署名活動に発展した山形大教育学部の問題は、「教員の計画養成を断念する」という5月の教授会決定から3カ月
が経過した。直後から学部存続を求める世論が県内で高まり、高橋和雄知事が文部科学省に直接要望するなど、大学は予想を超える
反発に遭って姿勢を軟化、県との協調路線を模索し始めている。27日の山形大、県、山形市による三者懇談会の第3回会合で、今後の
方向性が明確になるのかどうか。教育学部再編の在り方に一石を投じた山形県内の動向を、全国の関係者が注視している。
「県と一致してやれる時は、(学部存続を目指し)文部科学省と交渉することになる」。23日の教育学部教授会で、石島庸男学部
長はこれまでの方針を転換し、県が作成中の試案を受け入れる余地があることを明らかにした。
学生は夏季休業中。静まり返った教育学部の一室で、教官の熱い視線が注がれる中、石島学長は「その際は、5月の教授会決定を棚
上げしてもらわなければならない場合もある」と続けた。大学が事に当たろうとする時は、学部の意思を非常に重んじる。教授会決
定を棚上げするとなれば、極めて異例の事態となる。
学部内で学生の教員採用率などの客観的な情勢を分析、教員の計画養成機能を断念した5月21日の教授会決定は、県内の各方面に大
きな衝撃を与えた。以来、石島学部長には多数の要望書、はがき、ファクスが舞い込んだ。
県議会が6月定例会の本会議で意見書提出を決定、2日後には高橋知事が文科省に出向いた。山形の熱意は全国的に教員養成学部の
再編を推進しようとしている国の考え方にも微妙な影響を与えた。
同省教育大学室の本間実室長は6日、取材に対し「一般的な話だが、(再編の受け皿になる)担当校が複数並び立つ場合もあり得
る」と強調。「担当校は宮城教育大か山形大か」で揺れる南東北に大きなインパクトを与えた。「国は二枚舌なのか、あるいは方針
を転換したのか」。山形大教育学部では、いろいろな憶測が乱れ飛んだ。
23日の教授会を前に、学部内である動きがあった。有志が他の一部教官に働き掛け、「5月の教授会決議を再検討する」という動議
を教授会に提出しようとした。緊急協議事項の際は10日前までに提出する必要があるといい、議題には上らなかったが、学部内で再
考を求める声が高まってきていることを示すエピソードだ。
県は27日の懇談会で▽初等中等教育の中核になる「大教養人」の育成▽学部4年、大学院研究科2年の計6年間の一貫教育導入▽学部
支援のための教育財団設置▽付属学校・園の存続―などを柱にした独自の試案を提示する。
大学がどのように受け止めるかが最大の焦点だが、仙道富士郎学長は今月上旬、集まった報道陣を前に「文科省は『地域とよく話
し合ってください』と言っており、すべてはその方向で動いていく。学内で新しい大学像を討議しており、県の試案が出てきたら検
討を加え、融合した形に持っていく」と述べ、試案を柔軟に受け入れる考えを示している。
2002年8月26日 月曜日
(報道部・古頭哲)