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独行法反対首都圏ネットワーク

☆山形大教育学部の存続求め「県民集会」
 . [he-forum 4352] 山形新聞07/29 
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『山形新聞』2002年7月29日付

山形大教育学部の存続求め「県民集会」


 文部科学省の意向を受けた南東北3大学間の再編協議に伴い、教員を計画養
成することを断念した山形大教育学部に強く反発する県内の教育関係者は28日、
山形市の県民会館で「山形大教育学部の存続を求める県民集会」を開き、地域
との十分な話し合いを要請する大会宣言を採択した。一貫して学部存続を主張
する高橋和雄知事は「県民が大学を支えていかなければならない。教育県であ
り、それなりの覚悟で支援していく」と述べ、あらためて強い決意を示した。

 県PTA連合会などが17日に集め始めた署名は、中間集計した26日までの10
日間で13万人を突破。集会の席上、仙道富士郎学長に手渡す予定だったが、
「諸般の事情」で学長が欠席したため、今週中に大学を訪れて提出する方針。

 高橋知事のほか山科朝雄県議会議長、吉村和夫山形市長が決意を表明。教育
学部の新たな姿を模索し、県の関係部局に試案作成を命じた高橋知事は「教育
学部をはじめ、山形大の各学部は地域の発展と子孫に大きな役割を果たす。わ
れわれの熱意で各学部を支えていこう」と呼び掛けた。

 大会宣言は▽教育学部は教育県の中核▽県独自の少人数学級編成事業の導入
で、教育学部の果たす役割は一層増している▽学部の特色は何か、地域との協
力関係の中で考える必要がある▽文部科学大臣と学長に署名簿を提出する―と
の内容で、満場の拍手で採択した。

 教育学部同窓会の石垣克之氏、少人数学級編成事業「さんさんプラン」の実
施校を代表して山形市立蔵王一小の大場恵子校長ら4人が意見を発表、それぞ
れの立場から教育学部存続の必要性を訴えた。

 文翔館の日野顕正館長が記念講演し、前身の師範学校創設から120年を超す
教育学部の歴史を振り返った。

 教員OBの有志で組織する県教育文化フォーラム(大谷駿雄会長)が主催、
県内の教育関係各種団体が共催として名を連ねた。主催者発表で、県内の教育
関係者ら約1500人が参加。鹿野道彦衆院議員と阿部正俊、岸宏一両参院議員が
来賓として出席し、国への働き掛けを約束した。

知事らの決意表明と意見発表

 高橋和雄知事 山形大教育学部の必要性については皆さんと同じ認識で、教
員養成課程を残していくことがぜひとも必要。地域の教育を考えると、教育学
部の将来は大学当局だけで決めていいという問題ではない。山形大は6学部あ
るが、シビアな経営が求められる独立行政法人化を控えており、県民が支えて
いかなくてはならない。教育県であり、それなりの覚悟で支援していく。

 山科朝雄県議会議長 優れた教員を県内で養成するということは、教育県の
根幹であり、教育学部の存在は極めて重要だ。6月定例会で意見書提出を決定
し、文部科学省に存続を強く求めてきた。これからも県民一丸となって訴えて
いく。

 吉村和夫山形市長 地域の実情に応じた教育を進めるため、教育学部の存在
は必要不可欠。地元の意向を十分に踏まえて結論を出すよう強く求める。付属
校と付属幼稚園の切り捨ては許せない。高橋知事は燃えている。ともに頑張り
たい。

 ▽石垣克之さん(山形大教育学部同窓会代表) 大変なことになった。5月
の教授会で、教育学部を廃止する決定が行われた。今から運動してもしょうが
ないとの考えが一部にあるが、文部科学省は地域との話し合いを重視する考え
で、一から出直す必要がある。

 教育学部は102人も教官がいながら、年間に10人足らずしか現役の学生を教
員として送り出していない。非常に心細い。

 大学は大胆に情報公開を進め、広く県民の声を聞いて教育学部の問題に立ち
向かってほしい。

 ▽大場恵子さん(山形市立蔵王一小校長) 県独自の少人数学級編成事業
「さんさんプラン」の導入で、38人の2クラスだった学年が26人の3クラスに再
編された。スタートから4カ月で、子どもと教師が変わった。プランはこれか
ら県内に定着し、大きく花開くと確信する。

 少人数学級のような学校改革の支えとして、山形大教育学部の存在は欠かせ
ない。学部と学校が連携を深め、「さんさんプラン」を成功に導くとともに、
全国に成果を発信していくべき時だ。

 ▽三條綾奈さん(県立山形西高2年) これからの時代は人間としての在り
方、一人ひとりの人格が問われる。数多くの先輩が地元教育界の発展と将来を
担う子どもたちのため山形大教育学部に進学し、教育関係の仕事に就いている。

 小さいころから教員を目指し、山形の教育のために少しでも役立ちたいと思っ
てきた。他県で教員の資格を取得することも可能だが、日本の教育界をリード
してきたこの山形で学ぶことはとても価値がある。ぜひ教育学部は存続させて
ほしい。

 ▽平清水公宣さん(山形大教育学部付属小PTA会長) 山形大教育学部の
再編・統合問題で、特に付属小低学年児童の保護者に動揺が広がっている。教
育学部教授会の決定は、社会と後世に対する責任放棄で、文部科学省の意向に
従っているとしか思えない。

 地域の風物詩や環境のことを知らない先生が郷土愛をはぐくむことができる
だろうか。エイズ、貧困、男女の不平等などは教育の不足が生み出した。文科
省の意向ではなく、山形大として再生の意志を持ってほしい。