☆[おうみ白書]4国立大統合協議 競争力向上目指し
. [he-forum 4330] 毎日新聞滋賀版07/20
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『毎日新聞』滋賀版 2002年7月20日付
[おうみ白書]4国立大統合協議 競争力向上目指し
滋賀、京都府県境をまたぎ、滋賀大(彦根市)、滋賀医大(大津市)、京都
教育大(京都市伏見区)、京都工芸繊維大(同市左京区)の国立4大学による
再編・統合に向けた動きが進んでいる。今月3日には、4大学長が統合を前提
にした検討に入った。4大学による統合協議は全国でも初めて。大組織になる
ことで幅を広げ、より競争力をつけようという狙いだ。大学改革という激動の
時代を迎え、どのような大学像が描かれつつあるのだろうか。 【岡村恵子】
◆背景◆
こうした動きは、文部科学省が昨年6月に公表した「大学の構造改革の方針」
のなかで再編統合の推進などを打ち出したことで、全国に広がった。現在、神
戸大と神戸商船大など10組20大学が03年度の統合をめどに合意している。
また、再編統合とは別に、04年度には国立大が法人化する予定。申請して
選ばれた全国の大学院博士課程レベルの30程度の専攻には、国の補助金が付
くことにもなった。
一連の改革は、大学の国際競争力を高めるのが目的。「国際化の時代に、大
学の役割は重要」(文部科学省)といい、世界に通用、勝ちぬける研究レベル
に高めようというわけだ。
◆統合協議へ◆
県内では昨年8月、滋賀大と滋賀医大が協議会を発足。同11月に両大学で
の統合の中間まとめを行う一方で、京都工芸繊維大とも非公式で意見を交換。
今年に入り、滋賀大と京都教育大が意見交換を始め、2月には初めて4大学の
学長で統合を視野に入れた意見交換を行なった。
教員養成課程が重なる京都教育大と滋賀大教育学部は、教官を出し合うなど
双方で教員養成を担う考えだが、今後4大学で調整を重ねることになる。また、
キャンパスの機能分担など検討課題は多く、統合時期は未定。04年度には間
に合わず、各大学ごとに法人化することになりそうだ。
◆高まる期待◆
4大学の間には、「理工系が存続、発展するためには国、企業からも評価さ
れる高い研究レベルが必要」(京都工芸繊維大)という声や、「大きな組織に
なることで、いろいろな可能性が開ける」(京都教育大)と、再編統合に向け
た期待は高い。再生医療分野での京都工芸繊維大と滋賀医大との共同研究など
も想定でき、互いの研究の幅が広がることは確かだ。また、国際学術交流や産
学連携がよりスムーズに行なえるという声もある。
学生にとっては、専門のほかに琵琶湖、環境、生命科学など医学、理系、文
系にまたがる幅広い分野から選択することも可能になり、学問的なメリットは
大きい。他学部との学生、教官の交流による活性化も期待できる。
4つのキャンパスを持つことになるが、学生が移動するか、教官が移動する
かは未定。さらに、府県をまたぎ巨大化することで、地域との連携をどうする
のか、京都と滋賀の名前をどのように残すか、など検討課題は山積している。
4大学統合という全国初のケースだけに、新大学への注目度が高まることは
確実。地元に親しまれる、より高いレベルの大学になることを期待したい。