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独行法反対首都圏ネットワーク

☆北大教職員組合の大会決議
 .   [he-forum 4328] 北大教職員組合の大会決議
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 神沼(北大)です。北大教職員組合は7月20日に開催された2002年度定期大会で
下記の文章を決議しましたので、ここにご案内します。



 大会決議

         国立大学の独法化と「構造改革」に反対し、
         雇用・労働条件と大学の自治を守ろう

一、通則法の枠組みを踏襲した最終報告
 周知のとおり文科省の調査検討会議は2002年3月26日に最終報告を公表した。つ
いで4月19日に開催された国大協臨時総会は多くの反対・慎重意見を封殺する形で
「会長談話」を採択し、最終報告を了承した。最終報告は明らかに独立行政法人通
則法の枠組みを踏襲し、大学に対する文科省の統制を格段に強めて大学の自治を全
面的に破壊しようとしている。また教職員の身分を非公務員型にして、働く者の権
利を奪おうとしている。

二、最終報告の内容を超えた大学政策の登場
 ところが2002年6月25日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基
本方針2002」(いわゆる「骨太の方針 第2弾」)は最終報告の内容を踏まえつつ
も、さらに大学の根幹を揺るがす政策を提示している。例えば大学の全教職員を競
争的環境下に置いて能力主義を徹底、2002年度から国立大学に民間の経営専門家を
採用、2003年度から国立大学に週20時間などの変形勤務形態の教官を任用して兼業
・起業を促進、あらゆる手段を使って産学共同を促進、外国の高等教育機関の対日
進出を促す、などがそれである。また、内閣府の総合規制改革会議は7月11日の会
合で、病院や大学などへの株式会社参入を2002年度内に検討する旨、決定した。こ
れは、従来の私立大学とは全く異なる形態の民営化導入である。
 ごく最近のこうした一連の動きを見ると、国立大学の独法化問題は、実は最終報
告の内容が到達点ではなくて単なる通過点に過ぎず、最終報告をはるかに超えて際
限のない行政改革と規制緩和、産学共同がさらに用意されていると見なければなら
ない。国立大学をめぐるそのような枠組みの発端になったのが、2001年6月11日の
経済財政諮問会議で示された「大学(国立大学)の構造改革の方針」である。「大
学の構造改革」の名のもとに大学をどこまで変質させようとしているのか、予断を
許さない状況である。

三、「大学の構造改革」に基づく国立大学再編の動き
 大学間の再編・統合、国立大学の独法化、「21世紀COEプログラム」などを主要
な柱とする「大学の構造改革」が強権的に実施され、国立大学は混乱状態に陥って
いる。なかでも大学間の再編・統合は特に教員養成系を標的にしているが、これは、
従来の一県一教員養成系大学・学部方式を理由らしい理由もなく否定する歴史的暴
挙である。
 この再編・統合の次に来るのが大規模大学内部の縮小再編であるのは明らかであ
り、その意味からも、全国立大学関係者はいま進められている大学間の再編・統合
に深い関心を寄せる必要がある。その際、すでに多くの地方議会や住民組織などが
大学間の再編・統合にあいついで反対の意思を表明し、そのため事態が必ずしも文
科省の思惑どおりに進んでいない状況は、大学問題に国民の注意を喚起することの
重要性をあらためて認識させてくれる。

四、大学における独法化の準備と構成員の知る権利
 さきの最終報告の公表と国大協総会での了承を経て、国立大学の独法化問題は新
たな段階に突入した。文科省は、2003年1月に開会される通常国会に国立大学の独
法化法案を上程するため、法案策定作業を急いでいる。各国立大学は独法化に伴う
あらゆる準備に公然と着手し、急ピッチでそれを進めている。文科省と国大協の独
法化路線推進に無批判に追随してきた北大でも準備作業が進められている。
 法案作成を含むすべての準備作業のうち、中期目標・中期計画のように各部局が
原案を作成する種類の作業はそれなりに公表されているが、大部分の作業は公表さ
れていない。そのため、雇用の継続問題や労働条件などについては学内に不安と不
満の声が渦巻いている。中期目標・中期計画の原案作成は事実上、文科省による大
学への強制であり、その内容も多くの重大な問題点を含んでいて、早くも独法化の
手続きに疑問の声があがっている。
 さきに述べたとおり独法化の方向とその内容は最終報告の段階に止まらず、「大
学の構造改革」の枠組みが指し示す、最終報告を遙かに越えた方向へとつき進む危
険性に満ちている。それだけに、独法化の準備状況に関する情報が大学のごく一部
の構成員によって独占されてはならない。情報が全面的に公開されて全構成員が必
要な情報を把握し、自らの価値判断に従って考え、大学の進むべき方向について意
見を述べることが重要である。いま何よりも全構成員の知る権利が保証されなけれ
ばならない。

五、国立大学の独法化と「構造改革」に反対し、雇用・労働条件と大学の自治を守
  ろう
 北大教職員組合は今後とも、独法化を含む「大学の構造改革」に反対する基本的
態度を堅持していくものである。「大学の構造改革」はわが国の大学における研究
と教育の姿を著しくゆがめ、結果的にその水準を大幅に低下せしめるであろう。ま
た大学の自治を破壊し、働く者の権利と自由を根こそぎ奪おうとしている。そのよ
うな基本性格を有する「大学の構造改革」に反対の態度を堅持するのは、労働組合
として当然の姿である。
 この姿勢を常に保持しつつ、現実に進行している独法化の準備にも対処していく
ことが重要である。教職員の雇用と労働条件を守るため、研究と教育の自由を守る
ため、そして大学の本来的目的を常に喚起するため、北大当局にあらゆる種類の情
報開示を求めていく。独法化と「大学の構造改革」に真に反対を貫く態度こそ、独
法化の準備と国会闘争の過程において労働条件などの重要な諸課題に真正面から取
り組み、働く者の権利を擁護していく原動力になると確信する。
 2002年度北大教職員組合定期大会は、独法化と「大学の構造改革」の危険性を国
民と道民に幅広く訴えながら、他方では全国の国立大学、公私立大学、国公労働者
などと連携しつつ、以上のような基本認識にたって今後とも力強く運動を継続して
いくことをここに決議する。

 2002年7月20日
                   2002年度北海道大学教職員組合定期大会