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独行法反対首都圏ネットワーク

☆3つのポイントについて意見,提案
 .  [he-forum 4310] 独法化は高等教育分野での「大政翼賛会」,ほか
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佐賀大学の豊島です.
せっかくの文通団ですから,情報交換だけでなく意見交換にもっと使ってはどうで
しょうか.3つのポイントについて意見,提案をします.

1.独法化は高等教育分野での「大政翼賛会」

 以前,「独法化はスーパー大管法」(1) という問題提起をしたことがありますが,
また次のような比喩も強力ではないかと思います.すなわち独法化とは高等教育分
野での「大政翼賛会」である,ということです.1940年に政党を解散して作られた
大政翼賛会は,「大東亜戦争」という「非常時」のために,国策をそれこそ効率よ
く遂行するために作られたものです.独法化も,グローバル競争という「非常時」
に際して「世界に伍していく」ための「新体制」ではないのか,ということです.
「中期目標」という,政府による大学への指令という世界に例のない制度であると
いう点でも,体制翼賛会は良いアナロジーであると思われます.当時,これが「新
體制」と呼ばれ,「古い頭には分からない」と言われたそうです.今日,「改革」
の言葉の大量流通と軌を一つにするものではないでしょうか.
 大政翼賛会には社会大衆党の河上丈太郎や浅沼稲次郎らも賛同し,むしろ反対者
の中に保守政治家の吉田茂らがいたことも教訓的です.また,政党政治家らの多く
もこれに「対応」して戦争中も「生き残」り,政治への影響力を保持し続けたこと
も同様に教訓的ではないでしょうか.そして数多くの国民は「生き残る」ことはで
きませんでした.
 大政翼賛会は結局は世界を敵に回しての無謀な戦争と破局への道をもたらした政
治的装置の一つでしたが,独法化はどのような破局をもたらすのでしょうか.
 いくら歴史の知識を持っていても,現在の事態と引き比べて「歴史は繰り返す」
という“定理”を破ることにつながる能力を持たなければ意味がありません.しか
も国立大学という知識人社会で起ころうとしている「繰り返し」ですから,なおさ
ら止めることは可能なはずです.

2.「対案がない」「時間がない」

 「対案はあるのか」というバーチャルな質問に金縛りにされて,堂々と独法化反
対を言い出せない,という心理状況が確かに存在します.かつて独法化反対を叫ん
でいた人,あるいは左翼や組合系と思われる人のあいだでさえもそうです.これは,
推進側の心理戦に見事にはまっている,ということ以外の何ものでもありません.
現状より悪くなる提案に対する「対案」は「現状維持」で十分なのであり(2) ,むし
ろ説明責任,「挙証責任」は提案する側にあります.しかし,なされている説明は
内容的にも,また首尾一貫性という点でも破綻しており,単に権力によって,権力
を用いて流通させられているので,なんとか「存在」できているに過ぎません.
 もちろん自分なりの改善案を持っているに越したことはありませんが,大学管理
者はともかく,一般の教職員にまで,何か首尾一貫した「対案」を要求するという
のはどう考えても異常です.
 「反対運動する時間的余裕がない」という人もいるかも知れませんが,そのよう
な忙しい人は時間を使ってもらうは必要は全くありません.単にあらゆる場で「反
対だ」と公言するだけで十分なのです.そして独法化準備なる作業にも加わらない
ことです.これによってもさらに時間は節約できます.(反対運動する時間はない
が独法化準備に関わる時間はある,ということはないはずです.)つまり,時間が
あるかどうかではなく,単に自分の信じることを言い続ける勇気があるかどうか,
ということだけです.われわれの世代は「学問の自由」をただ消費するだけでいい,
などということはないはずです.

3.ユネスコへの意見具申

 ユネスコが,自ら出した宣言などの実効性に無関心であるはずはありません.意
見聴取にどのような制度が取られているにせよ,ユネスコは各国からの情報や意見
に当然関心を示すはずです.その際,個人よりも公的な団体のそれがより注目され
やすいこともあきらかです.独法化は多くの点でユネスコの諸宣言に反しているの
ですから,多くの人がこの状況をユネスコに報告すべきです.とりわけ,全大教が
報告や意見を出す責任があると思います.
 個人や任意団体でなく,ほぼ唯一の労働組合の連合体であれば,向こうも無視す
るわけにはいかないでしょうか.また,申し立てをしたという事実,それを国内で
宣伝することだけでも大きな意味があります.かつて外国の新聞に(おそらく大き
な経費をかけて)広告を出したのですから,それが単発で終わったのでは「国際化」
の活動に首尾一貫性がないということになるとも思います.

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(1) http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/sprdaikanho.html
(2) 今日の大学をめぐる問題のポイントが「国立大学」という制度にあるのではない
ことは,たとえば最近の医学部をめぐる事件でも明かでしょう.古くからの,そし
て今日もあまり改善の兆しがみられない医学部の封建的体質は,何も国立大学とい
う制度のためではありません.

840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部  豊島耕一
toyo@cc.saga-u.ac.jp
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