☆国立大の学長給与、格差撤廃へ
. [he-forum 4241] 読売新聞07/05
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『読売新聞』2002年7月5日付
国立大の学長給与、格差撤廃へ
文部科学省は5日までに、東京大から戦後の新設大まで、99の国立大学長
の報酬に大きな格差をつけている給与のランク付けを撤廃することを決めた。
2004年度からの国立大法人化に伴い、教職員身分の「非公務員型」への移
行が固まったためで、法人化後は各大学が独自に報酬を決める。
形式上は同じ国の付属機関ながら、実際は様々な面で差が付けられていた国
立大の人事・組織制度の一角が崩れることになる。大学活性化の象徴となるか、
それともさらなる格差増大を暗示するのか――。
給与のランク付けは、人事院規則にある「指定職俸給表」で行われている。
これは、国家公務員のうち、省庁幹部らの給与の算定基準で、区分は12ある。
うち、一般職公務員最高の「12号俸」に位置するのは、東京、京都の両大
学長のみで、官僚トップの事務次官より上。
次官や警察庁長官と同じ11号俸には、北海道、東北、名古屋、大阪、九州
のいわゆる旧帝大と筑波大が並ぶ。
以下、千葉大、一橋大などの10号、伝統のある地方大などの9号と続き、
「その他学長」は一般の局長級より1つだけ上の8号俸。支給額は、東京大学
長が月額約138万円、8号俸の学長が約111万円だ。
先月支給されたボーナスでは、東京大学長は317万円で、次官は311万
円。8号俸の大学長は250万円前後だったとみられる。
「給与差は旧帝大からの歴史を引きずったもの。大学人の間では、実際に
『格』が違うのだから当然、という考えと、実績に関係ない『差別』だとの考
え双方がある」と、文部科学省幹部は語る。
同省の検討会議が今年3月提示した国立大法人化の最終案は、国際競争力強
化などのため、全教職員の身分を公務員の兼職・兼業制限などに縛られない
「非公務員型」にすることを提唱。特に学長には、教育、運営両面での高い能
力が必要として外国人登用にも道を開き、報酬も年俸制など自由にした。国立
大学協会も4月、最終案を了承。現在、同省と同協会で、教職員の給与体系を
国の制度から外すための作業に着手している。
法人化後は、海外の著名な研究者を破格の報酬で学長に招へいすることも可
能で、地方国立大の中には「ノーベル賞級の学者をトップに活性化を」といっ
た構想もある。一方、「東大、京大は意地でも内部出身者を学長に据え続ける
だろう。その場合、そう急に増額出来ない」との見方も強く、「報酬逆転」が
遠くない将来生じる可能性もある。