独行法情報速報 |
No.18 |
将来構想II』、WG、中期目標・計画 |
2002.7.17 独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/
7.18評議会は『将来構想II』を承認せず、部局・センターでの
議論を継続すべきである
7月9日の将来構想検討委員会に未定稿の形で提出された『千葉大学の将来構想II』が、部局・センター等での議論も経ないまま、18日の評議会で承認されようとしている。
【開示1】『千葉大学の将来構想II』(02.7.8未定稿)目次
はじめに
1.全学的改革
1)教育・研究組織の再編
2)研究・教育環境の重点的整備
(1) 研究・教育センターの新設
@ フロンティアメディカル工学研究開発センター(仮称)
A 環境健康都市園芸フィールド科学センター(仮称)
B社会精神医学教育研究センター(仮称)
(2) 競争的な研究開発システムの創出
(3) 学内評価システムの構築
(4) 地域研究機関との連携
(5) 国際的な連携及び交流活動
3)運営の改善
(1) 民間的発想の経営手法の導入
(2) 地域との連携
(3) 情報基盤の充実とその利活用
(4) 学内附属施設の効率化・活性化
2.部局並びにセンターの現状と展望
おわりに
【分析1】目的・性格の異なった文書の集合体、議論未成熟な『千葉大学の将来構想II』
1.『将来構想II』(7.8未定稿)は、現状では、学長見解=「はじめに」、学長私案=1.1)、概算要求=1. 2)(1)、将来計画検討特別委員会(以下、特別委)議論=1.2)(2) 〜(5)及び3)、各部局提出文書=2、という性質と討議状況の異なった文書の集合体である。
2.「学長見解」(はじめに)は、大学院、学部の位置づけにおいて千葉大学の将来を示すものであるにもかかわらず、内容上の議論は、特別委においてもなされたとは言いがたい。また、「学長私案」とされる「新しい教官集団システム」「教員システム」については、本『速報』12(02.1.11)で指摘したように、教育と研究の機械的分離、自治の基礎組織解体へと繋がる危険がある。さらに、教員システムは「現在、各部局から選ばれた代表者による委員会(教員組織検討委員会:引用者注)が設置され、鋭意検討中である」(p.4)とあるが、同委員会が久しく休業中であることは周知の事実である。
3.1. 2)(1)に示された3センター概算要求は当該部局から出されたものであるが、特別委で議論されたことはない。施設の「再編・統合を視野に入れ」(1.3)(4))ることが謳われ、「この(『将来構想II』:引用者注)実現にむけては、….当然のことながらスクラップ、合理化、効率化を伴わなければ不可能」(おわりに)といっているのであるから、当該部局からの概算要求というだけでは済まないのである。
4.3と同様の問題は、各部局、各センターから出された「現状と展望」(2)に関しても発生する。提出された方針のなかには、当該部局・センターの現定員では実現が困難なものも見受けられる。
【開示2】7月8日センター長懇談会開催
学長、3副学長、事務局長と各センター長が出席。学長は、「予算的に大変厳しい。毎年1%程度の経費削減があるが、千葉大学にあてはめると、例えていえば、少なくない教員を削減するに等しい規模での変化と理解して欲しい。来年までに大学がどの様にセンターを運営していくのか?センターがどの様に効率化、活性化するのかが問われている。あと1,2回この会を開きたい。みなさんの意見を聞きたい。」と挨拶された。各センターからの発言とともに、「千葉大学のセンター問題に関してトータルプランが無いと困ると思われるので、それを示して欲しい」旨、要請があった。次回は、7月22日。
【提言1】7.18評議会では『将来構想II』を承認すべきではない
1.通常よりも遅れて開催3日前に配布された評議会議題には、「千葉大学の将来構想II—大学改革—について」と示されている。しかし、未定稿は将来計画検討委員会メンバー(部局長)に提示されたのみで、全評議員に7.18評議会資料として手交されていない。しかも、評議会直前に将来計画検討委員会を急遽開催して「定稿」を作成するという。一体どうやって各部局、各センターで議論できるのであろうか。民主主義的手続きから見ても、7.18評議会で承認されるべきではない。
2.分析1で明らかなように、『千葉大学の将来構想II』(02.7.8未定稿)の正確な位置は、目的・性格の異なった諸文書の集合体ではあるものの、今後の討論の出発点を提供するものであるということである。従って、7.18評議会では、全教職員にこの未定稿版(あるいは7.18定稿)を開示して本格的な議論を開始すべきである。幸い、【開示2】で示したように、『千葉大学の将来構想II』が1つの出発点となって、センター長間での議論が開始された。このような議論とそのなかでの方針作りこそ必要なのである。
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WG「骨子的な素案」のすみやかな公開を
本センターでは、6月27日付で5つの大学法人化検討WGの各委員長宛に質問状(【開示3】)を送ったところ回答が送られてきた(【開示4】)。
【開示3】質問事項
1.ワーキンググループ各委員の名簿が部局長会議に示された5月7日から既に2ヶ月近くが経過しています。
(1)この間開催された会議について、日時、出席者(代理を含む)、議題、用いられた資料、議論ならびに確認内容等を御提示下さい。
(2)会議以外の活動内容がございましたら御提示下さい。
2.今後の活動内容についてスケジュールも含めて御提示下さい。
3.ワーキンググループの活動状況の公開と報告は、とりわけ重視されるべきことがらと思われますが、この点につき、今後はどのような措置をとられる予定か、ご提示ください。
【開示4】回答全文(日付はいずれも7月12日)
大学法人化検討WG組織業務委員会は、草刈英榮(副学長),宮崎隆次(法経)、福田康一郎(医)、宮崎清(工)の4名の委員により構成され、これまで5回の検討会議を開催し、文部科学省の調査検討会議の「最終報告」や学内外の参考資料及び学内状況等について研究・検討を行なってきました。WGでの検討結果は、骨子的な素案として将来計画検討委員会に報告され、同委員会での議論を経て評議会に提出されるものと思っておりますので、その結果をご覧下さい。
大学法人化検討WG組織業務委員会委員長 草刈英榮
大学法人化検討WG人事制度委員会は、多賀谷一照(副学長)、野田公俊(医)、鈴木庸夫(法経)、藤井俊夫(教育)の4名の委員により構成され、これまで5回の検討会議を開催し、文部科学省の調査検討会議の「最終報告」や学内外の参考資料及び学内状況等について研究・検討を行なってきました。
WGでの検討結果は、骨子的な素案として将来計画検討委員会に報告し、同委員会での議論を経て評議会に提出されるものと思います。
大学法人化検討WG人事制度委員会委員長 多賀谷一照
大学法人化検討WG 目標・評価委員会は,五十嵐一衛(副学長),藤澤英昭(教育),柿原和夫(法経),金子克美(理),徳久剛史(医),高村民雄(リ)の6名の委員により,これまで3回の会議を開催し,文部科学省の調査検討会議の「最終報告」及び同目標評価委員会の「国立大学法人(仮称)における中期目標・中期計画の記載事項例」等について本学の状況に照らしつつ,検討を行なってきました。
WGでの検討結果は,骨子的な素案として将来計画検討委員会に報告し,同委員会での議論を経て,評議会に提出されるものと思います。
大学法人化検討WG目標評価委員会委員長 五十嵐 一衛
大学法人化検討ワーキンググループ財務委員会は、委員長法経学部長 松田忠三、委員工学部教授 服部豪夫、同法経学部教授遠藤美光、同法経学部助教授 大塚成男 の4名の委員により構成され、これまで4回の検討会議を開催しました。平成14年3月に報告された「新しい「国立大学法人」像について」や平成14年5月に策定された「国立大学会計基準及び注解(試案)」等を資料として、検討を行い、なお継続中であります。
委員会での検討結果は、素案として将来計画検討委員会に報告し、同委員会での議論を経て評議会に提出されるものと思います。
大学法人化検討ワーキンググループ財務委員会委員長 松田忠三
大学法人化検討WG病院組織運営委員会は、伊藤晴夫病院長、税所宏光副病院長、平澤博之副病院長、藤澤武彦副病院長、一瀬正治副病院長の5名の委員に「国立大学病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改革について(提言)」等について検討を行なっています。
大学法人化検討WG病院組織運営委員会での検討結果は、骨子的な素案として将来計画検討委員会に報告されることになりますので、その結果をご覧ください。
大学法人化検討WG病院組織運営委員会委員長 千葉大学医学部附属病院長 伊藤晴夫
【分析2】
1.5つの回答はほとんど同じ形式であり、各WGがその内容をいかにして教職員に伝えるかということに腐心していないのは甚だ残念である。教職員から託された重責を全うしようとしているのだろうかという疑念さえ抱いてしまう。率直に言って失望の念を禁じえない回答である。
2.我々の質問事項は極めて標準的であり、国大協の各委員会に限らずおよそ組織体であるならば必ず議事録等で示されるものである。ところが、いずれの回答も質問事項の大半に答えていない。具体的には、会議の日時、出席者(代理を含む)、議題、議論ならびに確認内容、会議以外の活動内容、スケジュール、活動状況の公開方法についてである。
3.回答にはいずれも「骨子的な素案として将来計画検討委員会に報告するので、それを見て欲しい」旨書かれている。しかし、実質的な作業のためにWGが組織されたのであるから、WGの段階で途中経過を適時公開し、広く教職員の意見を聞かねば、WGの意味が薄れるのではないか。
4.さらに重大なことは、骨子的な素案を部局・センター等で十分議論する態度が表明されていないことである。こうした議論の保証は、これらのWG発足を承認した5月7日の部局長会議で明確に確認されていたのである。
【提言2】
独法化にどう立ち向かうか、今、極めて重要な時期である。文科省文書等の受動的検討ではなく、千葉大学の現実に立脚した積極的な対案の提示こそ、WGの大きな任務であろう。そのためには全学の英知の結集が不可欠である。従ってWGは、急ぎ次の2つを行なうべきである。まず第1に、検討状況と骨子的素案の公開を行なう。第2に、その素案を部局・センター等が検討できる時間を保証する。
一方、各部局・センターは、大学執行部や独法化検討WGまかせではなく、それぞれの当該委員会・WGで議論をすすめるとともに、部局の枠を超えて相互に協力しあう態勢を急いで作り上げる必要があろう。
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【問題提起】中期目標・中期計画作成問題にどう立ち向かうか
独法化に伴う最大の問題の1つが、文科相による中期目標・中期計画の認可であることは周知のことである。にもかかわらず、今や千葉大学に限らずほとんどの大学でこの中期目標・中期計画案作成作業が、あたかも“進めざるを得ない”かのような状況になっている。そうした状況下で、各大学執行部、部局執行部の方々が抱いている深い悩みを我々は共有するものである。しかし、共有するが故に、現在我々が陥りつつある迷路に対して、敢えて警告を発する必要があると考える。
1.法が国会で成立もしておらず、法案自体が姿を見せてさえもいない段階で、実質的な法の先取りを行うのは、異常である。この異常事態を異常と認識できなくなっては、誤った迷路に迷い込む。我々は正常な感覚を取り戻さなくてはならない。
2.従って、現在進められようとしている受動的な準備作業は一旦中止し、仕切り直しをしなければならない。その上で、文科省が企図している国立大学法人法制定の有無に関わらず、千葉大学の現状をしっかりと分析し、そこで解決すべき問題を挙げて、千葉大学としての自己変革努力目標と計画を構築する作業を行なうのである。現状分析なき安直な数値目標案作成作業に堕することは、厳に戒めることが重要である。
3.上記2つの点からして、文科省の調査検討会議が作成した「記載事項例」を無批判的に受け入れ、部局・センター記載事項を列挙する『中期目標・中期計画(WG基礎資料)』(大学法人化検討WG目標評価委員会(02.6.6))のような手法からの脱却は急務である。しかも、原理的検討もないまま中期計画案に、管理運営方法改変や教員任期制等の事項が掲載されるのは、極めて危険である。
4.先行独立行政法人では、1%効率化(=経費削減)1%増収を盛り込まない限り、中期目標・中期計画案が受理されなかったといわれている。同意できない事項については全国の大学と連携して策定を拒否する準備をしておく必要がある。
5.目標や計画作成作業に手を染めてみて、これらが大学の教育や研究の質的向上にとって何の役にも立たない無駄な作業であることは遍く実感されている。中期目標や中期計画という発想そのものが大学の営為とは無縁なものであることは改めて明らかになりつつある。しかも、これを文部科学大臣が策定し、認可し、これに基づき評価され、次の予算が決まる。我々はこれに縛られるのである。そうであれば、この迷路から抜け出す最良の方法は、独法化路線そのものから離脱することではないか。
原点に立ち戻って、独法化そのものを拒否する、従って大学法人法制定にはっきりと反対する勇気を持つことが、今こそ求められているのである。