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独行法反対首都圏ネットワーク

「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解(試案)に関する資料
 . 2002,7,2 独行法反対首都圏ネット事務局
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「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解(試案)に関する資料

 

「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解(試案)に関する資料を紹介します。

これは、スキャナーで読み取って作成したので、校正もれ、ミスなどがあろうかと思いますが、参考資料としてご活用いただければ幸いです。

なお、文中にあるページ数は原本のページ数です。ここでは、1行の次数と1ページの行数を増やしています。また、Web版では、2重取り消し線が単線になってしまいました。

 

2002年7月3日 独行法反対首都圏ネット事務局

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

平成14523

各国立大学事務局長殿

文部科学省大臣官房会計課総務班

 

「「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解」(試案)について(照会)

 

文部科学省においては、国立大学の法人化後に適用する会計基準(以下「基準及び注解」という。)について、外部有識者による「「国立大学法人」会計基準等検討会議」を設置し検討を行って参りましたが、今般、当該検討会議において、基準及び注解の試案が策定されました。

つきましては、基準及び注解の試案についての意見及び質疑等を、下記の要領にて作成のうえ御提出願います。なお、検討に際しましては、事務局のみならず、全学的な意見の集約に努めるようお願い致します。

また、国立大学協会及び目本公認会計士協会にも同様に照会していることを申し添えます。

1.作成調書

「「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準症解」(試案)に係る意見及び質疑(別紙様式)

2.提出期限等

提出期限1平成1465()午後5時必着

提出方法:電子メール添付ファイル

 

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 (参考1)

「「国立大学法人」会計墓準及び「国立大学法人」会言十基準注解」(試案)について(補足説明)

 

1.「「国立夫学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解」(試案)の位置付け「「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解」(試案)(以下「基準及び注解」(試案)という。)は、「独立行政法人会計墓準」及び「独立行政法人会計基準注解」(独立行政法人会計基準研究会平成12216)を基礎に、大学の特性を踏まえ必要な加筆修正を行ったもの。

その位置付けは、国立大学法人がその会計を処理するに当たっての行為基準であるとともに、会計監査人における監査基準であって、国立大学法人の会計に関する認織、測定、表示及び開示の基準を定めるものである。

2.「「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解」(試案)等の今後の取扱い

 基準及び注解(試案)は、関係機関等の意見等を踏まえ、検討会議において必要な修正を行い、基準及び注解()として公表の予定。

また、特に関係機関等の質疑を踏まえ、検討会議において実務上の留意点に係る質疑応答集(以下「Q&A()という。)を検討・策定し、上配()と同時に公表の予定。

3.今後のスケジュール

・平成1465() 基準及び注解(試案)に係る意見び質疑 提出期限

・平成148月中    基準及び注解()及びQ&A()の公表

・平成15年度中     基準及び注解の制定

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(参考2)

「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解(試案)における主な修正の観点

 

会計基準の修正の観点

国立大学法人における

(1)教育・研究の実施等を主たる業務内容

(2)学生納付金や附属病院収入等の固有の収入

(3)法人問での競争的環境の醸成の要請

等の特性を踏まえて、「独立行政法人会計基準」及び「独立行敏法人会計基準注解」を加筆修正。

 

会計基準上の具体的な取扱い()

上記(1)から(3)は、「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解(試案)に、具体的に以下のように反映。

(1)教育・研突の実施等を主たる業務内容

@一定の企画立案機能

<1>真実性の原則について(P1)

<6>資本取引・損益取引区分の原則について(P3)

A収益化の進行基準に、原則として期間進行基準を採用

⇒「第73 運営費交付金等の会計処理」(P36)

B教育・研究に特徴的な資産の取扱い

<16>図書の評価方法について(P11)

<17>少額重要財産の評価方法について(P11)

<18>美術品・収蔵品の評価方法について(P11)

 

(2)学生納付金や附属病院収入等の固有の収入

@授業料の負債計上

⇒〈注40>運営費費交付金等の会計処理について(P36)

A自己収入によリ生じた利益剰余金に係る取扱いの特例

⇒「基準50 資本の表示項目」(p19)

<35>資産見合剰余金について(P30)

<45>減価償却の会計処理について(P39)

 

(3)法人間での競争的環境の醸成の要請

@セグメント情報の開示区分の原則統一化

<24>セグメント情報の開示について(p14)

Aたな卸資産等の評価方法の原則統一化

⇒「第30 たな卸資産の評価酔価方法」(P12)

<21>たな卸資産の貸借対照表価額について(P13)

「第31有価証券の評価方法」(P14)

 

 

 (別紙様式)

「「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解」(試案)に係る意見及び覧疑

(O枚目/x枚中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

条 号

意見及び質疑          (部局等名)

 

第8.3

 

(質疑) ○○債について、発行差金が生じた場合の取扱いはどうするのか。

(△△大)

 

13

(意見) (5)商品とあるが、国立大学の業務が教育・研究であることを勘案すると適当な名称とは考えられず、また(2)未収入金が規定されている二とから削除すべきと思料。(△△大)

(代案)(5)商品」削除。(△△夫)

(質疑) (8)原料及び材耕とは何を想定しているのか。(△△夫)

・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

作成要領

1、「条号」欄には、「第1」「第2.1<1><1>2」等と記入すること。

2、「意見及び質疑」欄には、編案の都含上、一件毎に、文頭に括弧書きで「(意見)」「(対案)」「(質疑)」、文末に括弧書きで「(北大)」「(医科歯科)」「(北陸先端)」等と都局等名の略称を記入すること。意見及び質疑については、なるべく箇条書きとし、簡潔明瞭に記入すること。

3、意見については、可能な限り、併せて「く代案」」のご提示を願いたい。

4、質疑については、基準及び注解(試案)が直接言及していないものであっても,会計実務に関する具体的な取扱いに係るものであれぱ挙げられたい、

5、本様式については、A4縦とし、MS/WORDにより作成すること。字の大きさは10,5ポイント、字体はMSゴシックによること。

以上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東大での説明会の内容

2002年5月29日に宮島副学長(経済学部教授)が「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解(試案)について説明した内容です。(独行法反対首都圏ネット事務局)

<報告内容>

         今回の会計基準及び基準注解(試案)は、ガイドラインの最初のものであり、細かい詰めはQ&Aでつめることになろう。

各部局から細かい質問、移行時の質問も合せて出してほしい。

         国立大学法人は運営交付金、施設費が国から配当されることになる。

  国立大学法人は収益を求めず、独立採算を目的としていないので、財務諸表は経営状態を表すことで費目の投入、財務状態がどうなっているか納税者に開示することが大事である。

ただし、付属病院は収益や借入れがあり企業的内容を含んでいるので例外の扱いになろう。

         現在の会計制度は予算が単年度原則主義であるが、国立大学法人では年度繰越ができることになる。

         国立大学法人の中期計画(6年間)では運営費、授業料は負債に計上し、収益、費用として認識されていくことになる。

負債をストックと見なせば、収益、費用はフローとみなすことになる。いかにダムにストックしていたものがフローとして認識していくかが大事である。
そういう意味では、ストックは貸借対照表としてとらえ、フローは損益計算書としてとらえてほしい。
いかに費用が投入されているか、財務状況がどうなっているかわかることが大事である。

         図書、美術品、立木、椅子、机等の評価額をどう評価するかでは、簡便な方法をとることになろう。

         第1章一般原則では、真実性原則では、国立大学法人は教育・研究に係るということが重要である。

         重要性の原則では、重要性の乏しいもの、小額のものは簡便な方法をとってもいいことになっている。しかし一方では、会計情報の比較可能性の確保という点からは統一を強制されるものでもある。

         資本取引・損益取引区分の原則では、資本取引を明瞭に区分する。
6年間経った時に、フローのレベルで収益が出た時は資本に振替えていく。

         有形固定資産の評価では、(5)工具、器具及び備品、(6)図書、(7)小額重要財産、(8)美術品、収蔵品(標本を含む)は簡便な方法を考えている。
たとえば、机・」椅子の備品類は取得価格と現在価格を加味して1円とか2円で評価することもありえることである。

         引当金の制度は、現在放送大学にはあるが、将来のために退職給与をあらかじめ運営交付金で手当てされるが、それ以外の財源(外部資金)で雇用した人の退職給与は大学独自で手当てしていくことになる。

         貸借対照表に記載する資産の評価は、取得価格を載せることになる。

         償却済の有形固定資産は、除去されるまで残存価格または備忘価格を載せる。

         図書は取得価格を載せる。

         リース資産、PFIはまだ詰めきっていない状況です。

         たな卸資産は、薬剤、大量に購入した文房具・印刷物が対象になるだろう。評価額は残額と仕入額の合計額を残数量と仕入数の合計数量で割って平均原価を求め、これを払出単価としていく。

         セグメント情報の開示は、国立大学法人にとっては最も重要と考えている。
東京大学としては大学1つとして開示できるが、東京大学を構成している各部局もセグメント情報を開示していくことになる。これがセグメント情報の開示です。
その場合、収入を二重に計算されることがないよう二重計算の排除に気をつなければならない。

         資産見合剰余金は、付属病院収入等により建物等を建れば固有資産に見合うもので、利益剰余金として区分して表示する。

         キャシュ・フロー計算書は、現金の出たり入ったりするのを示すものです。

         国立大学法人固有の会計処理では、運営交付金はまず流動資産に入れてから収益化することになる。

 以上

「国立大学法人」会計基準及び「国立大学法人」会計基準注解(試案)

 

(注・独立行政法人は国立大学法人に置換えている。その他は、削除は==追加は _)

1章一般原則

1真実性の原則

国立大学法人の会計は、国立大学法人の財政状態及び運営状況に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。(1)

<1>真実性の原則について

.国立大学法人は教育・研究に係る国の事務及び兼業の実施主体であって、その業務の実施に関して負託された経済資源に関する情報を負託主体である国民に開示する責任を負っており、説明責任の観点から、その財政状態及び運営状況を明らかにし、適切に情報開示を行うことが要請される。

2.国立大学法人の業務運営については、その自律性及び自発性の発揮の観点から、国による事前統制から事後チェックヘの移行がその特徴であるが、適切に事後チェヅクを行うためには、業績評価が適正に行わなければならない。

3.このような説明責任の観点及び業績の適正評価の観点から、国立大学法人の会計は、その財政状態及び運営状況に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

 

2正規の簿記の原則

1.国立大学法人の会計は、国立大学法人の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について、複式簿記により体系的に記録し、正確な会計帳簿を作成しなければならない。(2)

2.会計帳簿は、国立大学法人の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について、網羅的かつ検証可能な形で作成されなければならない。

3.国立大学法人の財務諸表は、正確な会計帳簿に基づき作成し、相互に整合性を有するものでなければならない。(3)

<2>複式簿記について

国立大学法人においては、その財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について捕捉しうる合理的な会計処理及び記録の仕組として、複式簿記を導入するものとする。

<3>行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書の整合性について

1.行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書は、国立大学法人の財務諸表を構成する書類の一つであり、基本的には正確な会計帳簿に基づき作成されるべきものである。

−1−

 

2.しかし、行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書には、その性格上一定の仮定計算に基づく機会費用を含むことから、会計帳簿によらないで作成される部分が存することに留意する必要がある。その場合には、当該部分の作成根拠等を注記等により開示しなければならない。

 

3明瞭性の原則

国立大学法人の会計は、財務諸表によって、国民その他の利害関係者に対し必要な会計情報を明瞭に表示し、国立大学法人の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。(4)

 

<4>明瞭性の原則について

1.国民の需要にじた効率的な行政サービス教育・研究の提供を実するために創設された国立大学法人においては、その行政サービス教育・研究の提供のために負託された経済資源に関する会計情報を負託主体である国民を始めとする利害関係者に対し報告する責任を負っている。

2.国民その他の利害関係者にわかりやすい形で適切に情報開示するため、国立大学法人の財務諸表は明瞭に表示されなければならない。

 

4重要性の原則

1.国立大学法人の会計は、国民その他の利害関係者の国立大学法人の状況に関する判断を誤らせないようにするため、取引及び事象の金額的側面及び質的側面の両面からの重要性を勘案して、適切な記録、計算及び表示を行わなければならない。

2.質的側面の考慮においては、国立大学法人の会計の見地からの判断に加え、国立大学法人の公共的性格に基づく判断も加味して行わなければならない。

3.重要性の乏しいものについては、本来の方法によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則及び明瞭性の原則に従った処理として認められる。(5)

 

<5>重要性の原則について

1.公共的な性格を有する国立大学法人の会計は、国立大学法人会計基準に定めるところに従った会計処理及び表示が求められるものである。

2.ただし、国立大学法人の会計が目的とするところは、国立大学法人の財政状態及び運営状況を明らかにし、国民その他の利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあることから、重要性の乏しいものについては、本来の会計処理によらないで合理的な範囲で他の簡便な方法によることも、正規の簿記の原則に従った処理として認められる。

一方で国立大学法人は、多数の法人が同種の業務を行うため、当該法人間における会計情報の比較可能'性の確保を強く要請されることから、一定の事項については個々に判断するのではなく統一的な取扱いをする必要があることに留意する必要がある。

3.重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用され、本来の財務諾表の表示方法によらないで合理的な範囲で他の簡便な方法によることも、明瞭性の原則に従った表示として認められる。

2

 

5資本取引・損益取引区分の原則

国立大学法人の会計においては、資本取引と損益取引とを明瞭に区別しなければならない。(6)

 

<6>資本取引・損益取引区分の原則について

1.公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としない国立大学法人においては、第一に、経営成績ではなく運営状況を明らかにするために損益計算を行うこととしている。この観点からその運営状況を適正に示すため、国立大学法人が中期計画に沿って通常の運営を行った場合、運営費交付金等の財源措置が行われる事業についてはその範囲において損益が均衡するように損益計算の仕組みが構築されることとなる。なお、国立大学法人が行う事業には、その実施に収入が伴うものがあるが、こ

うした事業の中には、経営成績も加味した運営状況の開示が必要となるものもある。また、政策の企画立案主体としての国との関係において、国立大学法人の独自判断では意思決定が完結しないような行為に起因する支出など国立大学法人の業績を評価する手段としての損益計算に含めることが合理的ではない支出は、国立大学法人の損益計算には含まいないものとする。

2.また、国立大学法人においては、第二に、国立大学法人通則(平成11○○年法律第103○○号。以下「通則法人法」という。)44○○条にいう利益又は損失を確定するために損益計算を行うこととしている。

3.このように国立大学法人においては、その財政状態及び運営状況を適正に示すという観点及び並びに通則法人法第44○○条にいう利益又は損失の確定を適切に行うという観点から、その会計において、資本取引と損益取引とを明瞭に区別しなければならない。

 

6継続性の原則

国立大学法人の会計においては、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。(7)

 

<7>継続性の原則について

1.国立大学法人はその公共的な性格から適切に情報開示を行わなければならず、さらに、多数の法人が同種の業務を行うため、当該法人間における会計情報の比較可能性の確保を強く要請されることから、その会計処理の原則及び手続に関する選択性は原則として排除される。

2.しかしながら、一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められる場合は皆無とはいえない。そのような場合においてまた、国立大学法人が選択した会計処理の原則又は手続を継続して適用しないときは、同一の会計事実について異なる計算結果が算出されることになる。その結果、財務諾表の期間比較を困難ならしめ、国立大学法人の財政状態及び運営状況に関する国民その他の利害関係者の判断を誤らしめるおそれがある。したがって、いったん採用した会計処理の原則及び手続

3

 

は、正当な理由により変更を行う場合を除き、財務諾表を作成する各事業年度を通じて継続して適用しなければならない。

3.正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に変更を加えたときは、これを財務諾表に注記しなければならない。

4.財務諸表の表示方法について変更を加えたときは、これを財務諸表に注記しなければならない。

 

7保守主義の原則

1.国立大学法人の会計は、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行わなければならない。

2.国立大学法人の会計は、過度に保守的な会計処理を行うことにより、国立大学法人の財政状態及び運営状況の真実な報告をゆがめてはならない。

 

2章 概念

8 資産の定義

1.国立大学法人の資産とは、過去の取引又は事象の結果として国立大学法人が支配する資源であって、それによりサービスの提供教育・研究の実施能力又は将来の経済的便益が期待されるものをいう。

2.資産は、流動資産及び固定資産及び流動資産に分類される。

3.国立大学法人においては、原則てとして繰延資産を計上してはならない。(8)

 

<8> 繰延資産について

国立大学法人においては、企業会計原則に基づく繰延資産の計上要因たる行為は想定され難い。また、研究開発費等を資産として貸借対照表に計上することは適当でないとする「研究開発費等に係る会計基準」や、国立大学法人に対する所要の財源措置が毎事業年度とられることを勘案すると、国立大学法人においては繰延資産を計上することは適当ではなく、支出した当該事業年度の費用として処理すべきものである。

 

109 固定資産

固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及びその他の資産に分類される。(9) 

 

<9> 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について

1.国立大学法人の通常業務により発生した受取手形、未収入金、前渡金、未払金、前受金等の債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更生債権及びこれに準ずる債権で、貸借対照表目の翌目から起して一年以内(以下この章において「一年以内」という。)に回収されないことが明らかなものは、固定資産たるその他の資産に属するものとする。

2、借入金、差入保証金、当該国立大学法人の通常の業務以外によって発生した未収金、

4

 

未払金等の債権及び債務で、一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年を超えて到来するものは、その他の資産又は固定負債に属するものとする。

3.現金及び預金は、原則として、流動資産に属するが、預金については、一年以内に期限が到来するものは、流動資産に属するものとし、期限が一年を超えて到来するものは、その他の資産に属するものとする。

4.有価証券のうち、証券市場において流通するもので、短期的資金運用のために一時的に所有するものは、流動資産に属するものとする。

5.製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、国立大学法人がその業務目的を達成するために所有し、かつ、その加工若しくは売却を予定しない財貨は、固定資産に属するものとする。

6.なお、固定資産のうち残存耐用年数が一年以下となったものも流動資産とせず固定資産に含ませ、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。

1110 有形固定資産

次に掲げる資産(ただし、(1)から(7)(10)までに掲げる資産については、国立大学法人の通常の業務活動の用に供するものに限る。)は、有形固定資産に属するものとする。

(7)(1) 土地

(1)(2) 建物及び付属設備

(2)(3) 構築物(土地に定着する土木設備又は工作物をいう。以下同じ。)

(3)(4) 機械及び装置並びにその他の付属設備

(6)(5) 工具、器具及び備品。ただし、耐用年数一年以上のものに限乱

(6) 図書

(7) 少額重要財産(国立大学法人の性質上基本的に重要なもので、教育・研究の遂行上常時相当多額に保有していることが必要とされる資産をいう。以下同じ。)

(8) 美術品・収蔵品(標本を含む。以下同じ。)

(4)(9) 船舶及び水上運搬具

(5)(10) 車両その他の陸上運搬具

(8)(11) 建設仮勘定((1)から(4)号に掲げる資産で通常の業務活動の用に供するものを建設した場合における支出及び当該建設の目的のために充当した材料をいう。

以下同じ。)

(9)(12) その他の有形資産で流動資産に属しないもの

1211 無形固定資産

特許権、借地権、地上権、商標権、実用新案権、意匠権、鉱業権、漁業権、ソフトウェア、その他これらに準ずる資産は、無形固定資産に属するものとする。

1312 その他の資産

5

 

その他流動資産、有形固定資産又は無形固定資産に属するもの以外の長期資産は、その他の資産に属するものとする。

 

913 流動資産

次に掲げる資産は、流動資産に属するものとする。(9)

(1) 現金及び預金。ただし、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内(以下この章において「一年以内」という。」)に期限の到来しない預金を除く。

(4)(2) 売掛金未収入(国立大学法人の通常の業務活動において発生した未収入金をいう。ただし、破産債権、更生債権その他これらに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものを除く。以下同じ。)

(3) 受取手形(国立大学法人の通常の業務活動において発生した手形債権をいう。ただし、破産債権、更生債権その他これらに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものを除く。以下同じ。)

(2)(4) 市場性のある有価証券で一時的所有のもの

(9)(5) 商品

(5)(6) 製品、副産物及び作業くず

(6)(7) 半製品

(7)(8) 原料及び材料(購入部分品を含む。)

(8)(9) 仕掛品及び半成工事

(10) 消耗品・や耗工具・器具及び備品その他の貯蔵品で相当価額以上のもの

(11) 前渡金(原材料、商品等の購入のための前渡金をいう。ただし、破産債権、更生債権その他これらに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものを除く。以下同じ。)

(12) 前払費用で一年以内に費用となるべきもの(10)

(13) 未収収益で一年以内に対価の支払を受けるべきもの(10)

(14) その他の資産で一年以内に現金化できると認められるもの

 

<10> 経過勘定項目について

1. 前払費用

(1) 前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払わいた対価をいう。

(2) したがって、前払費用として対価を支払った国立大学法人においては、いまだ提供されていない役務の提供を受けるという経済的便益が期待されるものであるため、前払費用は資産に属するものとする。

2. 前受収益

(1) 前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。

(2) したがって、前受収益として対価の支払を受けた国立大学法人においては、いまだ提供していない役務の提供をしなければならず、経済的便益の減少を生じさせるものであるため、前受収益は負債に属するものとする。

6

 

3. 未払費用

(1) 未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。

(2) したがって、既に提供された役務に対していまだ対価の支払を終えていない国立大学法人においては、その対価の支払を行わなければならず、経済的便益の減少を生じさせるものであるため、未払費用は負債に属するものとする。

4. 未収収益

(1) 未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。

(2)          したがって、既に提供した役務に対していまだ対価の支払を受けていない国立大学法人においては、その対価の支払を受けるという経済的隼益が期待されるものであるため、資産に属するものとする。

(3)           

14 負債の定義

1. 国立大学法人の負債とは、過去の取引又は事象に起因する現在の義務であって、その履行が国立大学法人に対して、将来、サービスの提供教育・研究の実施又は経済的便益の減少を生じさせるものをいう。

2. 負債は法律上の債務に限定されるものではない。

3. 負債は、流動負債及び固定負債及び流動負債に分類される。

 

15 固定負債

次に掲げる負債は、固定負債に属するものとする。(9)

(3)(1) 資産見返負債(中期計画の想定の範囲内で、運営費交付金、当該年度に係る授業料又は寄附金により寄附者の意図に従い若しくは国立大学法人があらかじめ特定した使途に従い償却資産を取得した場合に計上される負債をいう。以下同じ。)

(4)(2) 預り寄附金債務で一年以内に使用されないと認められるもの。(流動負債に属するものを除く。)

(3) 前受受託研究費等(受託研究費及び共同研究費を受領した場合に計上される負債をいう。以下同じ。)で一年以内に使用されないと認められるもの。

(4)前受受託事業費等(受託事業費及び共同事業費を受領した場合に計上される負債をいう。以下同じ。)で一年以内に使用されないと認められるもの。

(5)共同機関債務負担金(国立学校特別会計から共同機関が承継した借入金の償還のための共同機関への拠出債務をいう。以下同じ。)

(7) ○○債給付

(1)(8)  退職手当給付に係る引当金

(2)(9) 退職手当給付に係る引当金及び資産に係る引当金以外の引当金であって、一年以内に使用されないと認められるもの

(10) 長期未払金

(6)(11) その他の負債で流動負債に属しないもの

7

 

16 流動負債

次に掲げる負債は、流動負債に属するものとする。(9)

(1) 運営費交付金債務

(2) 授業料債務(当該年度に係る授業料及び前受金に係る授業料相当額を振替えたもの。以下同じ。)

(2)(3) 預り施設費

(3)(4) 預り寄附金債務。ただし、固定負債に属するものを除く。

(5) 前受受託研究費等。ただし、固定負債に属するものを除く。

(6) 前受受託事業費等。ただし、固定負債に属するものを除く。

(6)(7) 前受金(受注工事、受注品等に対する前受金をいう。以下同じ。)(年度開始前に受領した当該年度に係る授業料等。以下同じ。)

(8) 預り研究費補助金等。(研究に係る補助金を受領した場合に計上される負債をいう以下同じ。)

(8)(9) 独立行政法人の通常の業務活動に関連して発生する未払金又は預り金で一般の取引慣行として発生後短期間に支払われるもの預り金(上記(3)及び(8)を除く。以下

同じ。)

(4)(10) 短期借入金

(5)(11) 未払金(国立大学法人の通常の業務活動に基づいて発生した未払金をいう。(以下同じ。)

(10)(12) 前受蚊益で一年以内に収益となるべきもの(10)

(9)(13) 未払費用で一年以内に対価の支払をすべきもの(10)

(14) 未払消費税等

(7)(15) 引当金(資産に係る引当金及び固定負債に属する引当金を除く。)

(11)(16) その他の負債で一年以内に支払又は返済されると認められるもの

 

17 引当金

1. 将来の支出の増加又は将来の収入の減少であつて、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当該金額を引当金として負債に計上するとともに、当期の負担に帰すべき金額を費用に計上する。ただし、引当金のうち資産に係る引当金の場合は、資産の控除項目として計上する。

2. 法令、中期計画等に照らして客観的に財源が措置されていると明らかに見込まれる将来の支出については、引当金を計上しない。

3. 発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金は計上することができない。

 

18 資本の定義

1、 国立大学法人の資本とは、国立大学法人の業務を確実に実施するために与えらいた財産的基礎及びその業務に関連し発生した剰余金から構成されるものであって、資産から

8

負債を控除した額に相当するものをいう。

2. 資本は、資本金、資本剰余金及び利益剰余金に分類される。

 

19 資本金等

1. 資本金とは、国立大学法人に対する出資を財源とする払込資本に相当する。

2. 資本剰余金とは、資本金及び利益剰余金以外の資本であって、贈与資本及び評価替資本が含まれる。(11)

3. 利益剰余金とは、国立大学法人の業務に関連し発生した剰余金であって、稼得資本に相当する。

 

<11>資本剰余金を計上する場合について

1. 国立大学法人が固定資産を取得した場合において、取得原資拠出者の意図や取得資産の内容等を勘案し、国立大学法人の財産的基礎を構成すると認められる場合には、相当額を資本剰余金として計上する。

2. 具体的には、以下のような場合が想定される。

(1) 国または共同機関からの施設費により非償却資産又は「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産を取得した場合(2) 中期計画に定める「剰余金の使途」として固定資産を取得した場合

(3)         中期計画の想定の範囲内で、運営費交付金により非償却資産を取得した場合

(4)         (4) 中期計画の想定の範囲内で、授業料債務により非償却資産を取得した場合

(4)(5) 中期計画の想定の範囲内で、寄附金により、寄附者の意図に従い又は国立大学法人があらかじめ特定した使途に従い、非償却資産を取得した場合

3 なお、上記2(3)から(4)(5)の場合において償却資産を取得した場合には・相当額を資産見返負債として計上する。その際、取得原資が、運営費交付金及び当該年度に係る授業料の場合は、資産見返運営費交付金等とする。

 

20 費用の定義

国立大学法人の費用とは、サービスの提供教育・研究の実施、財貨の引渡又は生産その他の国立大学法人の業務に関連し、その資産の減少又は負債の増加(又は両者の組合せ)をもたらす経済的便益の減少であって、国立大学法人の財産的基礎を減少させる資本取引によってもたらされるものを除くものをいう。(12)

 

<12> 国立大学法人の費用の定義から除られる事例について

資本取引として国立大学法人の費用から除外されるものの例は、以下のとおり。

(1)「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産の減価償却相当額

(2) 上記(1)の償却資産の売却、交換又は除去等に直接起因する資産の減少又は負債の増加(又は両者の組合せ)

21 .収益の定義

9

 

国立大学法人の収益とは、サービスの提供教育・研究の実施、財貨の引渡又は生産その他の国立大学法人の業務に関連し、その資産の増加又は負債の減少(又は両者の組合せ)をもたらす経済的便益の増加であって、国立大学法人の財産的基礎を増加させる資本取引によってもたらされるものを除くものをいう。(13)

 

<13> 国立大学法人の収益の定義から除られる事例について

資本取引として国立大学法人の収益から除外されるものの例として、「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産の売却、交換又は除去等に直接起因する資産の増加又は負債の減少(又は両者の組合せ)がある。

 

22 キャッシュ・フロー計算書の資金

国立大学法人のキャッシュ・フロー計算書が対象とする資金の範囲は、手元現金、要求払預金とする。(14)(15)

 

<14> 貸借対照表との関連性について

キャッシュ・フロー計算書の現金資金の期末残高と貸借対照表上の科目との関連性については注記することとする。

 

<15> 要求払預金にっいて

要求払預金には、例えぱ、当座預金、普通預金、通知預金及びこれらの預金に相当する郵便貯金が含まれる。

 

23 行政サービス国立大学法人業務実施コストの定義

国立大学法人の行政サービス国立大学法人業務実施コストとは、国立大学法人の業務運営に関して、国民の負担に帰せられるコストをいう。

 

24 行政サービス国立大学法人業務実施コスト項目

次に掲げるコストは、行政サービス国立大学法人業務実施コストに属するものとする。

(1) 国立大学法人の損益計算上の費用から運営費交付金に基づく収益以外の収益を控除した額

(2)「第77特定の償却資産に係る減価の会計処理」を行うこととされた償却資産の減価償却相当額

(3)「第78退職手当給付係る会計処理」により、引当金を計上しないこととされた場合の退職手当給付増加見積額
(4)
 国の資産を利用することから生ずる機会費用

ア 国有資産の無償使用から生ずる機会費用

イ 政府出資等から生ずる機会費用

10

 

3章 認識及び測定

 

25 取得原価主義

貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。

 

26 無償取得資産の評価原則

譲与、贈与その他無償で取得した資産については、公正な評価額をもって取得原価とする。

 

2927 有形固定資産の評価方法

1. 有形固定資産については、その取得原価から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。

2. 有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含める。

3. 政府からの現物出資として受入れた固定資産については、個別法人○○条の現物出資の根拠規定に基づき評価委員が決定した価額を取得価額とする。

4. 償却済の有形固定資産は、除却されるまで残存価額又は備忘価額で記載する。(16)(17)(18)

 

<16> 図書の評価方法について

図書(印刷その他の方法により複製した文書又は図画、又は電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識できない方法により文字、映像、音を記録した物品としての管理が可能な物。以下同じ。)は国立大学法人にとって、教育・研究の基礎となるものであることから、雑誌やパンフいット等教育・研究上一時的な意義しか有さないものを除き、有形固定資産として取得原価をもって貸借対照表価額とする。

なお、図書は個々により使用の実態が大きく異なること及び比較的少額かつ大量にあることから、図書を除却する際に費用として認識することとし、使用期間中における減価償却は行わないこととする。

 

<17> 少額重要財産の評価方法について

少額重要財産については、取得価額の多寡に関わらず物品として計上することとするなお、除却処理を耐用年数経過時に行う等の取扱いを認める。

 

<18> 美術品・収蔵品の評価方法について

美術品・収蔵品については、原則として取得原価によることとする。なお、美術品・収蔵品については原価償却は行なわないこととする。

 

3028 無形固定資産の評価方法

11

 

無形固定資産については、当該資産の取得のために支出した金額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。(1719)

 

<1719> ソフトウェアについて

1. ソフトウェア(コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等をいう。以下同じ。)を用いて外部に業務処理等のサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合には、適正な原価を集計した上、当該ソフトウェアの制作に要した費用に相当する額を無形固定資産として計上しなければならない。

2. 国立大学法人内利用のソフトウェアについては、完成品を購入した場合のように、その利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、当該ソフトウェアの取得に要した費用に相当する額を無形固定資産として計上しなければならない。

3. 機械装置等に組み込まれているソフトウェアについては、当該機械装置等に含めて処理する。

 

3129 リース資産の会計処理

リース取引に係る会計基準については、リース取引をファイナンス・リース取引とオペいティング・リース取引の二種類に分け、ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行い、オペいティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行い、かつ、リース期間の中途において当該契約を解除することができるオペいティング・リース取引を除き、次に掲げる事項を財務諸表に注記する。(1820)

(1) 貸借対照表目後一年以内のリース期間に係る未経過リース料

(2) 貸借対照表目後一年を超えるリース期間に係る未経過リース料

 

<1820> リース資産の表示方法にっいて

1. ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借り手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的便益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負債することとなるリース取引をいう。オペいティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいう。

2.           国立大学法人におけるファイナンス・リース取引の会計基準については、国立大学法人が公共性等共通の性格を持ち、一の統一した制度の下に存在するものであって、その比較可能性を考慮した場合、企業会計原則では認めらいている「通常の賃貸借取引に係る方法に準じた」会計処理を選択的に認めることは適切ではないことから、通常の売買取引に係る方法に準じた処理を行うものとする。

 

2730 たな卸資産の評価方法

12

 

1. 製品、半製品、原材料、仕掛品、商品等のたな卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算し、これに原則として個別法、先入先出法、または平均原価移動平均等のうちあらかじめ定めた方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。(1621)

2. ただし、時価が取得原価よりも下落した場合には時価をもって貸借対照表価額としなければならない。

3. なお、たな卸資産の評価方法は毎事業年度継続して適用しなければならず、みだりに変更してはならない。

 

<1621> たな卸資産の貸借対照表価額について

製品、半製品、原材料、仕掛品、商品等のたな卸資産の貸借対照表価額の算定のための方法である移動平均法しては、単価の異なる仕入れが行われる毎に、当該仕入直前の残高(金額)と当該仕入額との合計額を、残高数量と当該仕入数量の合計数量で割って平均原価を求め、これを順次、その後の払出単価とする方法次のようなものが認められるである。ただし、重要性の乏しいものについては、最終仕入原価法によることも認められる。

(1)      個別法 たな卸資産の取得原価を異にするに従い区別して記録し、その個

々の実際原価によって期末たな卸資産の原価を算定する方法

(2)     先入先出 最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末たな卸品

は最も新しく取得されたものからなるものとみして期末たな卸品

の価格を算定する方法
(3)
 平均原価法 取得したたな卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって

期末たな卸品の価格を算定する方法、平均原価は、総平均法又は移

動平均により算出する。

 

2831 有価証券の評価方法

有価証券については、原則として購入代価に手数料等の付随費用を加算し、これに平均原価移動平均法等の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、取引所の相場のある有価証券については、時価が取得原価よりも下落した場合には時価をもって貸借対照表価額としなければならない。(22)(23)

 

<22> 余裕金の運用に係る有価証券の評価方法について

(1) 国立大学法人においては、法人法○○条により、元本の償還及び利息の支払いについて保証される有価証券しか取得できないため、時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券の存在は予定されない。

(2) 満期まで保有することを目的としていると認められる国債その他の債券については時価が算定できるものであっても、満期まで保有することによる価格変動のリスクを認める必要がないことから、原則として、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とすることとする。

満期まで保有することを目的としていると認められない国債その他の債券で、取引

13

 

所の相場のあるものについては、時価が取得原価より下落した場合には時価をもって貸借対照表価額とすることとする。

 

<23> 他の法人への出資に係る有価証券の評価方法について

他の法人への出資額については、時価の変動を財務活動の成果とは捉えないという考え方に基づき、取得原価をもって貸借対照表価額とするが、取引所の相場のある場合で、時価が取得原価よりも下落した場合には時価、取引所の相場がない場合で、実質価額が取得原価よりも下落した場合は、実質価額をもって貸借対照表価額とすることとする。

 

32 費用配分の原則

1. 資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。

2. 有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法によってその取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、定額法によってその取得原価を各事業年度に配分しなければならない。

 

33 発生主義の原則

1. 国立大学法人に発生したすべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。

2. なお、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。

 

4章 財務諸表の体系

 

34 財務諸表の体系

国立大学法人の財務諸表の体系は、次のとおりである。

(1) 貸借対照表

(2) 損益計算書

(3) キャッシュ・フロー計算書

(4) 利益の処分又は損失の処理に関する書類

(5) 行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書

(5)         附属明細書

 

35 セグメント情報の開示

1. 国立大学法人における開示すべきセグメント情報は、当該法人の事業業務内容等に応じた適切な区分に基づくセグメント情報とする。

2. 開示すべき情報は、事業業務収益、事業業務損益及び当該セグメントに属する総資産額とする。(1924)

14

 

<1924> セグメント情報の開示について

1.国立大学法人においても、その業務の内容が多岐にわたる場合、説明責任の観点から、その業務ごとのセグメントに係る財務情報を開示する必要がある。

.セグメントの区分については、一律かつ統一的に設定することは逆にその意味を失わせることにもなりかねないため、運営費交付金に基づく収益以外の収益の性質や複数の業務を統合した法人における業務の区分を参考にしつつ、各国立大学法人において個々に定めていくこととする。

ただし、比較可能性の確保の観点から、一定のセグメント情報については、全ての国立大学法人において共通に開示する必要がある。

 

36 貸借対照表の作成目的

貸借対照表は、国立大学法人の財政状態を明らかにするため、貸借対照表目におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、国民その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。

 

37 損益計算書の作成目的

1. 損益計算書は、国立大学法人の運営状況を明らかにするため、一会計期間に属する国立大学法人のすべての費用とこれに対応するすべての収益とを記載して当期純利益を表示しなければならない。

2. 損益計算書は、通則法人法第44○○条にいう利益又は損失を確定するため、当期純利益に必要な項自を加減して、当期総利益を表示しなければならない。

 

38 キャッシュ・フロー計算書の作成目的

キャッシュ・フロー計算書は、国立大学法人の一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を報告するため、キャッシュ・フローを一定の活動区分別に表示しなければならない。(2025)

 

<2025> キャッシュ・フロー計算書の位置付けについて

キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示するものであり、貸借対照表及び損益計算書と同様に国立大学法人の活動の全体を対象とする重要な情報を提供するものである。このようなキャッシュ・フロー計算書の重要性にかんがみ、企業会計及び独立行政法人会計においては既に平成114月1日以降に開始する事業年度からキャッシュ・フロー計算書が財務諸表の一つに位置付けられているところである。国立大学法人においても、キャッシュ・フローの状況についての情報を提供することの重要性に変わりはないため、キャッシュ・フロー計算書を通則法人法第38○○条第1項の「主務省令で定める書類」として、財務諸表を構成する書類に位置付け、主務大臣の承認、一般の閲覧や同法第39○○条に基づく会計監査人の監査の対象とすべきである。

 

39 利益の処分又は損失の処理に関する書類の作成目的

15

 

利益の処分又は損失の処理に関する書類は、国立大学法人の当期未処分利益の処分又は当期未処理損失の処理の内容を明らかにするために作成しなければならない。

 

40 行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書の作成目的

行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書は、一会計期間に属する国立大学法人の業務運営に関し、行政サービス国立大学法人業務実施コストに係る情報を一元的に集約して表示する。(2126)

 

<2126)>' 行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書について

1.  行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書は、国立大学法人の業務運営に関して国民が負担するコストを集約し、情報開示の徹底を図り、納税者である国民の行政サービス国立大学法における業務に対する評価・判断に資するための書類である。国立大学法人の損益計算書は法人の運営状況を表示する書類であり、ここに計上される損益は、法人の業績を示す損益であって必ずしも納税者にとっての負担とは一致しない。例えば、運営費交付金収益が増えると、国立大学法人の損益にはプラスにはたらくが、納税者の負担は逆に増加する。また、損益計算を通じない場合の減価償却相当額、引当金を計上しない場合の退職手当給付増加見積額、国有財産や国の出資等を利用することから生じる機会費用など、国立大学法人の損益計算書等には計上されないが、広い意味で最終的に国民の負担に帰すべきコストも存在する。行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書は、これらのコストを集約表示する書類である。

2. なお、表示すべき行政サービス国立大学法人業務実施コストには、政府内の企画立案部門の費用等までは含まないものとし、「第24行政サービス国立大学法人業務実施コスト項目」で示した項目に限定する。

3.  行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書は、独立行政法人における行政サービス業務コスト計算書と同一の位置付けを有する国立大学法人独自の計算書類であり、国立大学法人の財務諸表の一つに位置付けられるものとする。

 

5章 貸借対照表

 

41 表示区分

貸借対照表は、資産の部、負債の部及び資本の部の三区分に分かち、更に資産の部を流動固定資産及び固定流動資産に、負債の部を流動固定資産及び固定流動負債に区分しなければならない。

 

42 資産、負債、=及び資本の記載の基準

資産、負債及び資本は、適切な区分、配列、分類及び評価の基準に従って記載しなければならない。

 

43 総額主義の原則

16

 

資産、負債及び資本は、総額によって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は資本の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。

 

44 資産と負債・資本の均衡

貸借対照表の資産の合計金額は、負債と資本の合計金額に一致しなければならない。

 

45 配列

資産及び負債の項目の配列は、この基準に定めるもののほか、流動固定性配列法によるものとする。

 

46 貸借対照表科目の分類

1. 資産、負債及び資本の各科目は、一定の基準に従って明瞭に分類しなければならない。

2. 資産は、流動掴定資産に属する資産及び固定流動資産に属する資産に分類しなければならない。

3. 負債は、流動固定資産に属する資産及び固定流動資産に属する資産に分類しなければならない。

4. 資本は、資本金に属するもの、資本剰余金に属するもの及び利益剰余金に属するものに分類しなければならない。

 

47 資産の表示項目

21. 有形固定資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。

(7)(1) 土地

(1)(2) 建物(その付属設備を含む。以下同じ。)

(2)(3) 構築物

(3)(4) 機械及び装置(その付属設備を含む。以下同じ。)

(6)(5) 工具、器具及び備品

(6)  図書

(7)  美術品・収蔵品

(4)(8) 船舶(水上運搬具を含む。以下同じ。)

(5)(9) 車両その他の陸上運搬具

(8)(10) 建設仮勘定

(9)(11) その他

 

32. 無形固定資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。

(1) 特許権

(2) 借地権(地上権を含む。)

17

 

(3 )商標権

(4 )実用新案権

(5) 意匠権

(6) 鉱業権

(7) 漁業権

(8) ソフトウェア

(9) その他

 

43. その他の資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。

(1) 投資有価証券

(2) 出資金

(3)     その他

 

44. 流動資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。

(1) 現金及び預金

(1)(2) 売掛金未収入金

(3) 受取手形

(2)(4) 有価証券

(5) たな卸資産(「第013流動資産」(5)から(10)までに掲げる資産をいう。以下同じ。)

(6) 前渡金

(7) 前払費用

(8) 未収収益

(9) その他

5.- 未収入金その他の債権に対する貸倒引当金は、原則として、その債権が属する科目ごとに債権金額又は取得金額から控除する形式で記載する。

    

48 減価償却累計額の表示方法

1.有形固定資産に対する減価償却累計額は、その資産が属する科目ごとに取得原価から控除する形式で記載する。(2227)

2.無形固定資産については、減価償却累計額を控除した未償却残高を記載する。  

 

<2227> 減価償却累計額について

減価償却累計額とは、減価償却費と損益外減価償却相当額との累計額をいう。

49 負債の表示項目

18

 

21. 固定負債に属する負債は、次に掲げる項目の区分に従い、当該負債を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。

(1) 資産見返負債

(2) 長期預芋寄附金債務

(3) 長期前受受託研究費等

(4) 長期前受受託事業費等

(5) 共同機関債務負担金

(3)(6) 長期借入金

(7) ○○債

(4)(8) 引当金

(7)(9) 長期未払金

(5)(10)その他

 

12. 流動負債に属する負債は、次に掲げる項目の区分に従い、当該負債を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。

(1) 運営費交付金債務

(2) 授業料債務

(2)(3) 預り施設費

(3)(4) 寄附金債務

(6)(5) 前受受託研究費等

(6) 前受受託事業費等

(8)(7) 前受金

(9)(8) 預り金

(4)(9) 短期借入金

(5) 買掛金

(6)(10) 未払金

(10)(11) 前受収益

(7)(12) 未払費用

(13) 未払消費税等

(11)(14) 引当金

(12)(15) その他

50 資本の表示項目

1. 資本金は、政府出資金とそれ以外の者からの出資金(出資者等により適切な名称を付することを要する。)とに区分して表示しなければならない。

2. 資本剰余金は、資本剰余金の総額を表示するとともに、「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産について、損益外減価償却相当額の累計額を損益外減価償却累計額として控除して表示しなければならない。

19

 

3.利益剰余金は、通則法人法第44○○条第1項に基づく積立金(以下「積立金」という。)個別法人法において定められている場合における前中期目標期間繰越積立金、通則法人法第44○○条第3項により中期計画で定める使途に充てるために、使途ごとに適当な名称を付した積立金(以下r目的積立金)という。)、国立大学法人が附属病院収入等(運営費交付金収益、検定料収入、入学金収入、授業料収入、受託研究等収入、受託事業等収入及び寄附金収入を除く収入。以下同じ。)により取得した固定資産に見合いのもの(以下「資産見合剰余金」という。)及び当期未処分利益に区分して表示する。なお、当期未処分利益の内訳として、当期総利益を表示するものとする。

 

51 貸借対照表の様式

貸借対照表の標準的な様式は、次のとおりとする。

 

貸借対照表

(平成○○年331)

資産の部

I固定資産

1  有形固定資産

土地                xxx

建物          xxx

減価償却累計額    xxx   xxx

構築物         xxx

減価償却累計額    xxx   xxx

機械装置        xxx 

減価償却累計額    xxx   xxx

工具器具備品      xxx

減価償却累計額    xxx   xxx

図書                xxx

美術品・収蔵品          xxx

船舶                xxx

減価償却累計額    xxx   xxx

車両運搬具       xxx

減価償却累計額    xxx   xxx

建設仮勘定             xxx

・・・              xxx

有形固定資産合計         xxx 

  

無形固定資産

特許権                xxx

20

 

借地権                  xxx

商標権                  xxx

実用新案権                xxx

意匠権                  xxx

鉱業権                  xxx

漁業権                  xxx 

ソフトウエア               xxx

・・・                  xxx

無形固定資産合計            xxx

 

3      その他の資産

投資有価証券               xxx

出資金                  xxx

 ・・・                 xxx 

その他の資産合計             xxx

固定資産合計              xxx

資産合計                      xxx

 

U 流動資産

現金及び預金                xxx

未収学生納付金収入   xxx

徴収不能引当金    xxx

未収附属病院収入    xxx

徴収不能引当金    xxx

受取手形        xxx

貸倒引当金      xxx

有価証券                  xxx

たな卸資産                 xxx

前渡金                   xxx

前払費用                  xxx

未収収益                  xxx

 ・・・                  xxx

流動資産合計                     xxx 

負債の部

I 固定負債

資産見返負債

資産見返運営費交付金等         xxx

資産見返寄附金             xxx

・・・                 xxx

21

 

長期寄附金債務               xxx

長期前受受託研究費等            xxx

長期前受受託事業費等            xxx

共同機関債務負担金             xxx

長期借入金                 xxx

○○債

引当金

退職給付引当金      xxx

追加退職給付引当金    xxx

・・・          xxx     xxx

        長期未払金                 xxx

        ・・・                   xxx

固定負債合計                     xxx

 負債合計                      xxx

U 流動負債

運営費交付金債務              xxx

授業料債務                 xxx

預り施設費                 xxx

寄附金債務                 xxx

前受受託研究費等              xxx

前受受託事業費等              xxx

前受金                   xxx

預り金                   xxx

短期借入金                 xxx

未払金                   xxx

前受収益                  xxx

未払費用                  xxx

未払消費税等                xxx

引当金                   xxx

・・・                   xxx

流動負債合計                      xxx

 

資本の部

I 資本金

政府出資金                 xxx

資本金合計                       xxx

 

II 資本剰余金

資本剰余金                 xxx

22

 

損益外原価償却累計額(一)         ―xxx

資本剰余金合計                     xxx

III 利益剰余金(又は繰越欠損金)

前中期目標期間繰越積立金

資産見合剰余金

()積立金

積立金

当期未処分利益

(又は当期末処理損失)

(うち当期総利益(又は当期総損

)XXX)

利益剰余金(又は繰越                    xxx

欠損金)合計

資本合計                        xxx

負債資本合計                     xxx

 

6章  損益計算書

 

52 表示区分、

損益計算書には、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。

 

53 総額主義の原則

費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。

 

54 費用収益対応の原則

費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各費用項目とそれに関連する収益項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。

 

55 損益計算書科目の分類

1. 経常損益計算の区分は、当該国立大学法人の業務活動から生じた費用及び収益を記載して、経常利益を計算する。

2. 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、固定資産売却損益、災害損失等の臨時損益を記載し、当期純利益を計算する。(注芋宇28)

3. 純損益計算の結果を受けて、目的積立金取崩額等を記載し、当期総利益を計算する。

 

<2328> 臨時損益項目について

23

 

臨時損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができる。

 

56 費用の表示項目

業務費及び一般管理費については、これらを構成する費用の内容に応じて区分し、それぞれにその内容を表す適切な名称を付して表示するものとする。

 

57 収益の表示項目

1. 運営費交付金収益及び当該年度に係る授業料収入は、「第73運営費交付金の会計処理」による会計処理を行った結果、当期の収益として認識された額を表示する。

2. 手数料入学金収入、検定料収入売上高附属病院収入、受託研究等収入、受託事業等収入等については、実現主義の原則に従い、サービス提供又は商品等の販売教育研究等の実施によって実現したもののみをそれぞれ適切な名称を付して表示する。

3. 寄附金収は、「第75寄附金の会計処理」による会計処理を行った結果、当期の収益として認識された額を表示する。

 

58 損益計算書の様式

損益計算書の標準的な様式は、次のとおりとする。

損益計算書

(平成○○年41目〜平成○○年331)

経常費用

業務費

教育経費

・・・               xxx

 ・・・               xxx

    ・・・               xxx   xxx

研究経費

・・・               xxx

・・・               xxx

・・・               xxx   xxx

診療経費

・・・               xxx
    ・・・               xxx

減価償却費              xxx

 ・・・              xxx   xxx

    (何)受託研究費                xxx

何)受託事業費                xxx

 ・・・                    xxx

 

24

 

・・・               xxx   xxx

一般管理費

 ・・・       xxx

 ・・・       xxx

 ・・・               xxx

減価償却費              xxx

 ・・・               xxx   xxx

財務費用                xxx

支払利息               xxx   xxx

雑損                        xxx

経常費用合計                        xxx

 

経常収益

運営費交付金収益                  xxx

授業料収入                     xxx

入学金収入                     xxx

検定料収入                     xxx

附属病院収入                    xxx

受託研究等収入                   xxx

受託事業等収入                   xxx

寄附金収込                    xxx

財務収益

受取利息               xxx

有価証券利息             xxx

・・・                xxx   xxx

雑益

財産貸付料収入             xxx

()入場料収入            xxx

物品受贈益              xxx

・・・                xxx   xxx

経常収益合計

経常利益                        xxx

臨時損失

固定資産除却損                    xxx

災害損失                       xxx

・・・                        xxx   xxx

`臨時利益

固定資産売却益                    xxx

25

 

   ・・・                       xxx  xxx

当期純利益                            xxx

目的積立金取崩額                         xxx

当期総利益                            xxx

 

7章 キャッシュ・フロー言十算書

59 表示区分

1. キャッシュ・フロー計算書には、業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの区分を設けなければならない。(2429)

2. 業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載する。(2630)

3. 投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得及び売却、投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記載する。(2631)

4. 財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、資金の調達及び返済によるキャヅシュ・フローを記載する。(2732)

5. 国庫納付に係るキャッシュ・フローは、業務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。

6. 利息に係るキャッシュ・フローにっいては、受取利息、及び受取配当金は投資活動によるキャッシュ・フローの区分に記載し、支払利息はともに業務財務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。(2833)

 

<2429〉キャッシュ・フロー計算書の表示区分について

1. キャッシュ・フロー計算書においては、一会計期間におけるキャッシュ・フローを業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの三つに区分して表示することとする。

2. 業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、国立大学法人の通常の業務の実施に係る資金の状態を表すため、サービスの提供等教育・研究の実施による収入、原材料、商品又はサービスの購入による支出等、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載することとする。

3. 国立大学法人に対して国から交付される運営費交付金については、法人がその業務を行うことを前提に、そのための財源として交付される資金であり、損益計算においても法人の業務の遂行によって最終的に収益計上されるものであるので、その収入額を業務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示することとする。

4. なお、サービスの提供等教育・研究の実施により取得した手形の割引による収入等、業務活動に係る債権・債務から生ずるキャッシュ・フローは、業務活動によるキャッシ

26

 

ユ・フローの区分に表示することとする。

5. 投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得など、将来に向けた運営基盤の確立のために行われる投資活動に係る資金の状態を表すため、固定資産の取得及び売却、投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記載することとする。

6. 国立大学法人に対して国又は共同機関から交付される施設費については、その収入額を投資活動によるキャッシュ・フローの区分に表示することとする。

7. 財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、増減資による資金の収入・支出、債券の発行・償還及び借入・返済による収入・支出等、資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローを記載することとする。

8. 国立大学法人の場合、通則法人法第47○○条で余裕金の運用先を安全資産に限るなどってはいるが本来実施すべき業務以外の資産運用等によって収益を上げることは期待されていない上、出資や長期借入れも原則として禁止されている。したがって、固定資産の取得以外の投資活動や財務活動をより厳格に補足しなければならない必要性は低い考えられる。このため外部資金による資産運用等により利息収入等を見込めることから、利息の表示区分としては、損益の算定に含まれる受取利息及び受取配当金は投資活動によるキャッシュ・フローの区分に記載し、支払利息はすべて業務財務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する方法に限定することとする。

 

<2530> 業務活動によるキャッシュ・フローの区分について

業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。

(1) 原材料、商品又はサービスの購入による支出

(2) 人件費支出(教職員及び役員に対する報酬の支出)

(3) その他の業務支出

(4) 運営費交付金収入

(5) 授業料収入、入学金収入、検定料収入手数料附属病院収入、受託研究等収入、受託事業等収入などサービスの提供など教育・研究の実施による収入に掲げるものを

除く。

(6) 寄附金収入

(7) 利息及び配当金の受取額

(8) 利息の受取額

(9)(7) 国庫納付金支出

 

<263>投資活動によるキヤツシュ・フローの区分について

投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。

(1 )有価証券の取得による支出

2530 (2)有 価証券の売却による収入

(3) 有形固定資産の取得による支出

27

 

(4) 有形固定資産及び無形固定資産の売却による収入

(5) 施設費による収入

(6) 施設費の精算による返還金の支出

(7) 共同機関への拠出による支出

(8) 金銭出資による支出

(9) 利息及び配当金の受取額

 

〈注2732>財務活動によるキャッシュ・フローの区分について

財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。

(1) 短辮唐入金の返済による支出

(2) 短期措入持による収入

(3) 金銭出資の受入による収入

(4)     利息の支払額

 

<2732> 利息の表示について

利息の受取額及び支払額は、総額で表示するものとする。

 

60 表示方法

1. 業務活動によるキャッシュ・フローは、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示する方法により表示しなければならない。

2. 投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローは、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示しなければならない。

3. 資金に係る換算差額は、他と区別して表示する。

61キャッシュ・フロー計算書の様式

キャッシュ・フロー計算書の標準的な様式は、次のとおりとする。

 

キャッシュ・フロー計算書

(平成○○年41目〜平成○○年331)

 

I   業務活動によるキャッシュ・フロー

原材料、商品又はサービスの購入による支出              −xxx

人件費支出                       −xxx

その他の業務支出                    −xxx

運営費交付金収入                     xxx

授業料収入                        xxx

入学金収入                        xxx

検定料収入                        xxx

附属病院収入                       xxx

28


受託研究等収入                        XXX

受託事業等収入                        XXX

・・・・・・・・                       XXX

寄附金収入                          XXX

小計                           XXX

国庫納付金の支払額                     XXX

業務活動によるキャッシュ・フロー                XXX

 

II 投資活動によるキャッシュ・フロー

有価証券の取得による支出                  一XXX

有価証券の売却による収入丈                  XXX

有形固定資産の取得による支出                一XXX

有形固定資産及び無形固定資産の売却による収入         XXX

施設費による収入                       XXX

施設費の精算による返還金の支出               一XXX

共同機関への拠出による支出                 一XXX

金銭出資による支出                     一XXX

・・・・・・・・                        XXX

小計                          XXX

利息及び配当金の受取額                    XXX

投資活動によるキャッシュ・フロー                XXX

 

III 財務活動によるキャッシュ・フロー

借入金の返済による支出                   一XXX

借入持による収入                       XXX

金銭出資の受入による収入                   XXX

・・・・・・・・・・                     XXX

小計                           X.XX

利息の支払額                        XXX

財務活動によるキャッシュ・フロー                XXX

               

IV 資金に係る換算差額                      XXX

V 資金増加額                          XXX

VI 資金期首残高                         XXX

VII 資金期末残高                         XXX

 

62 注記事項

キャッシュ・フロー計算書については、次の事項を注記しなければならない。

(1) 資金の期末残高の貸借対照表科目別の内訳

29

 

(2) 重要な非資金取引(2033)

(3) 各表示区分の記載内容を変更した場合に}ま、その内容

 

<203> 重要な非資金取引について

キャッシュ・フロー計算書に注記すべき重要な非資金取引には、例えば、次のようなものがある。

(1) 現物出資の受入による資産の取得

(2 )資産の交換

(3) ファイナンス・リースによる資産の取得

(5)     PFIによる資産の取得

 

8章 利益の処分又は損失の処理に関する書類

 

63 表示区分

. 利益の処分に関する書類は、当期未処分利益と利益処分額に分けて表示しなければならない。中期目標の期間の最後の事業年度においては、積立金振替額も加えて表示しなければならない。

2. 損失の処理に関する書類は、当期未処理損失、損失処理額及び次期繰越欠損金に分けて表示しなければならない。

 

64 利益の処分に関する書類の科目

1. 当期未処分利益は、前期繰越欠損金が存在するときは、当期総利益から前期繰越欠損金の額を差し引いて表示しなければならない。

2. 利益処分額の区分には、資産見合剰余金、積立金及び目的積立金を内容ごとに表示するものとする。(35)

 

〈注35> 資産見合剰余金について

当該期において、中期計画の想定の範囲内で当期未処分利益に相当する固定資産の取得がなされた場合、当期未処分利益のうち経営努カの認定を受けた額を限度として、当該固定資産の取得相当額を資産見合剰余金へ処分し、残余が生じた場合には、目的積立金へ処分することとする。資産見合剰余金は、利益剰余金に計上する。

 

65 損失の処理に関する書類の科目

1. 当期未処理損失は、前期繰越欠損金が存在し、当期総損失を生じた場合は当期総損失に前期繰越欠損金を加えて表示し、前期繰越欠損金が存在し、その額よりも小さい当期総利益を生じた場合は、前期繰越欠損金から当期総利益を差し引いて表示しなければならない・。

2. 損失処理額の区分には、当期未処理損失をうめるための各積立金の取崩額を積立金ごとに表示しなければならない。

30

 

3. 各積立金を取り崩しても当期未処理損失がうまらないときは、その額は繰越欠損金として整理しなければならない。

 

66 通則法人法第44○○条第3項による承認の額

利益の処分に関する書類において、目的積立金として整理しようとするときは、「独立行政法人化通則法人法第44○○条第3項により主務文部科学大臣の承認をうけた額」(承認前にあつては「国立大学法人法第44○○条第3項により主務文部科学大臣の承認を受けようとする額」)としてその総額を表示しなければならない。(参考) 

 

<参考> 経営努カ認定の考え方について

1. 利益の処分に関する書類における「独立行政法人通則法人法第44○○条第3項により主務文部科学大臣の承認を受けた額」(承認前にあっては「44○○条第3項により主務文部科学大臣の承認を受けようとする額」)は、国立大学法人の当該事業年度における経営努カにより生じたとされる額である。

2. 上記1の額の処分先としては、国立大学法人自体の動機付け確保の観点から決定することとなるが、国立大学法人の公共性等の性質により、その処分内容についてはいかなるものであっても主務大臣の承認さえ得られれば認められるというものではなく、合理的な使途でなければならない。

3. 「独立行政法人法第44○○条第3項により主務文部科学大臣の承認を受けた額」が、国立大学法人の経営努カにより生じたものであることについては、業務運営の財源を運営費交付金に依存する独立行政法人にあっては、国立大学法人が自らその根拠を示すものとする。

4. 具体的には、以下の考え方によるものとする。

(1) 運営費交付金に基づく収益以外の収益から生じた利益については、経営努カにより生じたものとする。

(2) 運営費交付金に基づく収益から生じた利益については、中期計画(年度計画)の記載内容に照らして、運営費交付金により本来行うべき業務を効率的に行ったために費用が減少した場合には、その結果発生したものについては、原則として経営努カによるものとする。ただし、運営費交付金により本来来行うべき業務を行わなかったために費用が減少したことと認められる場合には、経営努カによらないものとする。

(3)その他国立大学法人において経営努力によることを立証しt場合は、経営努力により生じたものとする。

 

67 利益の処分に関する書類及び損失の処理に関する書類の様式

利益の処分に関する書類及び損失の処理に関する書類の標準的な様式は、次のとおりとする。

 

利益の処分に関する書類

(平成○○年○月○目)

31

 

I   当期未処分利益                            XXX

当期総利益                     XXX

前期繰越欠損金              XXX

 

U  利益処分額        

資産見合剰余金                   XXX

積立金                       XXX

国立大学法人法第○○条第○項により

主務大臣の承認を受けた額

    ・・・・             XXX

    ・・・・             XXX

    ・・・・             XXX    XXX      XXX

 

損失の処理に関する書類

(平成○○年○月○目)

 

I 当期未処理損失                               XXX

当期総損失                 XXX

(当期総利益)                      ( XXX)    

前期繰越欠損金               XXX

 

II 損失処理額

()積立金取崩額        XXX

・・・・・          XXX

積立金取崩額          XXX                  XXX

 

III 次期繰越欠損金                               XXX

 

第9章                行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書

 

68 表示区分

1.  行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書は、コストの発生原因ごとに、業務費用・損益外減価償却相当額、引当外退職手当給付増加見積額、機会費用に区分して表示しなければならない。

2. 業務費用は、損益計算書における費用相当額を計上し、更にこれより運営費交付金に基づく収益以外の収益を差し引いて業務費用を計上する。

3. 機会費用は、国有財産の無償使用から生ずるものと、政府出資等から生ずるものとを区別して表示する。

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69 行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書の様式

行政サービス実施コスト計算書の標準的な棲式は、次のとおりとする。

 

行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書

(平成○○年41目〜平成○○年331)

 

I 業務費用                                    XXX

損益計算書上の費用

業務費

一般管理費                     XXX

財務費用                      XXX    XXX

(控除)

(何)手数料受業料収入           一XXX

入学料収入                一XXX

検定料収入                一XXX

(何)入場料附属病院収入          一XXX

受託研究等収入              一XXX

受託事業等収入              一XXX   XXX

寄附金収入                一XXX

・・・                  XXX

 

U I損益外減価償却相当額                              XXX

 

V 引当外退職手当給付増加見積額                          XXX

 

W 機会費用

国有財産無償使用の機会費用         XXX

政府出資等の機会費用            XXX             XXX

 

V 行政サービス国立大学法人業務実施コスト

 

70 注記事項

行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書には、次の事項を注記しなければならない。

(1)     国有財産無償使用の機会費用があるときは、その計算方法

(2)     (2)政府出資等の機会費用があるときは、計算に使用した利率(3036)

(3)      

<3036> 機会費用計算の注記について

機会費用の計算に当たっては、一定の仮定計算を行うものとする。国有財産を無償使用している場合については、例えば近隣の地代や賃貸料などを参考に機会費用計算を行

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い、その計算方法を注記する。政府出資等の蝉師は、資本剰余金相当額も含めた政府出資等の純額に一定の利率を乗じて計算する。一定利率については、国債の利回り等を参考にしつつ、簡明な数値を用いることとし、行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書に注記する。

 

第10章        附属明細書及び注記

 

71 附属明細書

国立大学法人は、貸借対照表及び損益計算書等の内容を補足するため、次の事項を明らかにした附属明細書を作成しなければならない。

(1) 固定資産の取得及び処分並びに原価償却費(「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」による会計処理)による損益外減価償却相当額も含む。)の明細

(2) たな卸資産の明細

(3) 無償使用国有財産の明細

(4) PFIの明細

(3)(5) 有価証券の明細

(6) 出資金の明細

(7) 借入金の明細

(8) ○○債の明細

(9) 引当金明細書

()(10) 資本金及び資本剰余金の明細及び増減

(5)(11) 積立金の取崩しの明細

(6)(12)運 営費交付金債務及び運営費交付金収益の明細

(7)(13) 役員及び職員の給与費の明細

(8)(14) 開示すべきセグメント情報

(15) 寄附金の明細

(16) 受託研究の明細

(17) 共同研究の明細

(18) 受託事業等の明細

(9)(19) 上記以外の主な資産、負債、費用及び収益の明紬

 

72 注記

1. 国立大学法人の財務諸表には、重要な会計方針、重要な債務負担行為、その作成日までに発生した重要な後発事象、固有の表示科目の内容その他国立大学法人の状況を適切に開示するために必要な会計情報を注記しなければならない。

2. 重要な会計方針に係る注記事項は、まとめて記載するものとする。その他の注記事項についても、重要な会計方針の注記の次に記載することができる。(3137) (. 3238) (3338) (40)

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〈注3137> 附属明細書及び注記における開示について

国立大学法人の財務諸表は、広く国民にとってわかりやすい形で会計楕報を開示するものでなければならないが、一方で、各種専門家にとって高度な分析に耐えられるような詳細な情報が含まれていなければならない。このため、貸借対照表や損益計算書等はいたずらに複雑なものとならないように留意しつつ、詳細な情報を附属明細書及び注記によって、開示していくものとする。

 

〈注3238> 重要な会計方針の開示について

1. 会計方針とは、国立大学法人が財務諸表の作成に当たって、その会計情報を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。

2. 会計方針の例としては次のようなものがある。

(1) 運営費交付金収益の計上基準

(2) 減価償却の会計処理方法

(3) 退職手当給付に係る引当金及び見積額の計上基準

(4) たな卸資産の評価基準及び評価方法

(5) 行政サービス国立大学法人業務実施コスト計算書における機会費用の計上方法

3. なお・重要な会計方針を変更した場合には、次の各号に掲げる事項を前項による記載の次に記載しなければならない。

(1) 会計処理の原則又は手続を変更した場合には、その旨、変更の理由及び当該変更が財務諸表に与えている影響の内容

(2) 表示方法を変更した場合には、その内容

 

〈注3339> 重要な後発事象の開示について

1. 財務諸表には、その作成日までに発生した重要な後発事象を注記しなけばならない。後発事象とは、貸借対照表日以降に発生した事象で、次期以降の財政状態及び運営状況に影響を及ぼすものをいう。重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該国立大学法人の将来の財政状態や運営状況を理解するための補足情報として有用である。

2. 重要な後発事象の例としては、次のようなものがある。

(1) 主要な業務の改廃

(2) 中期計画の変更

(3) 国からの予算措置の重大な変更

(4)火 災、出水等による重大な損害の発生

 

11章 国立大学法人固有の会計処理

 

73 運営費交付金の会計処理

1.           国立大学法人が運営費交付金を受領したときは、相当額を運営費交付金債務として整理するものとする。運営交付金債務は、流動負債に属するものとする。また、当該年

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度に係る授業料を受領したときは授業料債務として、運営交付金債務同様に整理する。

2. 運営費交付金債務及び授業料債務は中期目標の期問中は原則として業務の進行が期間の進行に対するものとして収益化を行うものとする。なお、他の方法により収益化することがより適当であると認められる場合には、当該方法により収益化することができる。

3. 運営費交付金債務は、次の中期目標の期問に繰り越すことはできず、中期目標の期間の最後の事業年度の期末処理において、これを全額収益に振り替えなければならない。

4. 国立大学法人が固定資産を取得した際、その取得額のうち運営費交付金又は授業料に対応する額については、次のように処理するものとする。

(1) 取得固定資産が運営費交付金又は当該年度に係る授業料により支出されたと合理的に特定できる場合においては、

ア 当該資産が非償却資産であって、その取得が中期計画の想定の範囲内であるときに限り、その金額を運営費交付金債務又は授業料債務から資本剰余金に振り替える。

イ 当該資産が非償却資産であって上記アに該当しないとき及び当該資産が償却資産であるときは、その金額を運営費交付金債務又は授業料債務から別の負債項目である資産見返運営費交付金笠に振り替える。償却資産の場合は毎事業年度、減価償却相当額を取り崩して、資産見返運営費交付金戻入として収益に振り替える。

(2) 取得固定資産が運営費交付金又は当該年度に係る授業料により支出されたと合理的に特定できない場合においては、相当とする金額を運営費交付金債務又は授業料債務から収益に振り替える。(3440)

 

<3440> 運営費交付金の会計処理について

1. 運営費交付金は国立大学法人に対して国から負託された業務の財源であり、交付金の交付をもって直ちに収益と認識することは適当でぽない。したがって、交付された運営費交付金は相当額を運営費交付金債務として負債に計上し、業務の進行に応じて収益化を行うものとする。授業料については、学生から負託された教育の経済資源であり、一定の負債性が認められることから、会計処理上運営費交付金と同様の取扱いをする。

2. 運営費交付金及び授業料の収益化については、具体的には以下のような考え方によることとする。

(1) 国立大学法人における教育・研究という業務の実施に関しては、一般に進行度の客観的な測定が困難であるため、中期計画及びこれを具体化する年度計画等において、一定の業務等と運営金交付金との対応関係が明らかにされている場合には、当該業務等の達成度に応じて、財源として予定されていた運営費交付金債務の収益化を進行させることができる。例えば、一定のプロジェクトの実施や退職手当の支払いについて、交付金財源との対応関係が明らかにされている場合等がこれに該当する。

(4)     上記の場合において、業務の実施と運営費交付金及び授業料財源とが期間的に対応している場合にはものとして、一定の期間の経過を業務の進行とみなし、運営費交付金及び授業料債務を収益化することができを原則とする。例えば、管理部門の活動

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等がこれに該当する。

(3)(2)上記(1)(2)のような業務と交付金との対応関係がしめさない場合には、運営費交付金債務は、業務のための支出額を限度として収益化するものとする。

この場合に別途使途が特定されない教育・研究について、運営費交付金及び授業料に基づく収益以外の収益により行うことが考えられるが、この場合には、運営費交付金債務残高及び授業料債務残高と当該収益とで財源を按分して支出されたものとみなす等の適切な処理を行い、運営費交付金及び授業料の収益化を行うものとする。

(4)(3) 運営費交付金が既に実施された業務の財源を補てんするために交付されたことが明らかといえる場合においては、交付時において収益計上することとする。

3. 中期目標の期間の終了時点においては、期問中に交付された運営費交付金を精算するものとする。このため、中期目標の期間の最後の事業年度においては、当該事業年度の残高は、別途、精算のための収益化を行うものとする。

4.、運営費交付金の収益化に関する会計方針については、適切な開示を行わなければならない。

54. 資産見返運営費交付金を計上している固定資産を売却、交換又は除去した場合には、これを全額収益に振り替えることとする。

 

74 施設費の会計処理

1. 国立大学法人が国又は共同機関から施設費を受領したときは、相当額を預り施設費として整理するものとする。預り施設費は、流動負債に属するものとする。預り施設費は、拠出者毎に区分して表示する。

2.           施設費によって固定資産を取得した場合は、当該資産が非償却資産であるとき又は当該資産の減価償却について「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」に定める処理が行われることとされたときは、当該固定資産の取得費に相当する額を、預り施設費から資本剰余金に振り替えなければならない。(3541)

3.            

<3541> 施設費を財源に固定資産を取得した場合の会計処理について

1. 国立大学法人における施設費は、国又は共同機関から拠出された対象資産の購入取得を行うまでは、その使途が特定された財源として、預り施設費として負債に整理す。

2. 施設費を財源とする償却資産については、通常、「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」にしたがって減価償却の処理を行うことが想定される。そのような場合には・当該資産の購入取得において、預り施設費を資本剰余金に振り替えることとし、国立大学法人の財産的基礎を構成するものとする。資本剰余金は、「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」の規定により、減価償却の進行に応じて実質的に減価していくこととなる。

 

75 寄附金の会計処理

1. 国立大学法人が受領した寄附金については、寄附者がその使途を特定した場合又は寄附者が使途を特定していなくとも国立大学法人が使用に先立ってあらかじめ計画的に使

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途を特定した場合において、寄附金を受領した時、点では預り寄附金として負債に計上し、当該使途に充てるための費用が発生した時点で当該費用に相当する額を預り寄附金から収益に振り替えなければならない。(3642)

2. 当該寄附金によって固定資産を取得した場合は、次のように処理するものとする。

(1) 当該資産が非償却資産であって、その取得が中期計画の想定の範囲内であるときに限り、その金額を預り寄附金から資本剰余金に振り替える。

(2) 当該資産が非償却資産であって、上記(1)に該当しないとき及び当該資産が償却資産であるときは、その金額を預り部付金から別の負債項目である資産見返寄附金に振り替える。償却資産の場合は毎事業年度、原価償却相当額を取り崩して、資産見返寄附金戻入として収益に振り替える。(3743)

4.           寄附者若しくは国立大学法人のいずいかにおいてもあらかじめ使途を特定したと認められない場合には・当該寄附金に相当する額を受領した期の収益として計上する。

 

<3642> 寄附金の負債計上について

国立大学法人においては、その性格上、様々な趣旨の寄附金を受けることが想定される。寄附金は、寄附者が国立大学法人の業務の実施を財産的に支援する目的で出えんするものであるが、寄附者があらかじめその使途を特定したり、あるいは国立大学法人の側で使途を示して計画的に管理支出することが想定され、国立大学法人が通常はこれを何らかの特定の事業のための支出に計画的に充てなければならないという責務を負っているものと考えられる。このため、受領した寄附金の会計的な性格として、あらかじめ使途が特定されて管理されてい寄付金に関しては、その未使用額と同額の負債の存在を認め、受領した期の終了後も引き続き国立大学法人に留保することとしている。これは、中期計画期間の終了時においても同様であり、運営費交付金とは異なり、精算のための収益化は不要である。

 

<3743> 寄附金を財源として固定資産を取得した場合の会計処理について

1. 国立大学法人が使途を特定した寄附金によって非償却資産を取得した場合においては、これが中期計画の想定の範囲内である場合には、国立大学法人の財産的基礎を構成するものと考えられることから、資本剰余金に振り替えるものとする。

2. 資産見返寄附金を計上している固定資産を売却、交換又は除去した場合は、これを全額収益に振り替えることとする。

 

76 サービス教育・研究提供実施等による収益の会計処理

国立大学法人がそのサービス教育・研究提供実施に伴いにより得た収入については、これを実現主義の原則に従い、各期の収益として計上する。(注3844

 

〈注3844> 国からの委託費の扱いについて

国立大学法人に対して国から支出された委託費については、国立大学法人のサービス教育・研究の提供等の対価に該当するものであるので、他の主体からの受託収入と同様の会計処理を行う。ただし、国からの受託による収益と他の主体からの受託による収益

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とは区別して表示しなければならない。

 

77 特定の償却資産の減価に係る会計処理

国立大学法人が保有する償却資産のうち、その減価に対応すべき収益の獲得が予定されないものとして特定された資産については、当該資産の減価償却相当額は、損益計算上の費用には計上せず、資本剰余金を減額することとする。(3945)

 

〈注3945> 減価償却の会計処理について

1. 国立大学法人が固定資産を取得するに当たっては、国は、国有財産の現物出資あるいは施設費の交付等を行うことができるものとされている。ところで、多くの国立大学法人は業務運営の財源を主に運営費交付金に依存することになるが、このような資産の減価部分にっいては通常は運営費交付金の算定対象とはならず、また、運営費交付金に基づく収益以外の収益によって充当することも必ずしも予定されていない。更に資産の更新に当たっては、出資者たる国により改めて必要な措置が講じられることになるものと

想定される。このような場合においては、減価償却に相当する額は、むしろ実質的には資本の価値の減少と考えるべきであることから、損益計算上の費用には計上せず、国立大学法人の資本剰余金を直接に減額することによって処理するものとする。この取扱いは、取得時までに別途特定された資産に限り行うものとする。

2. このような資産に係る減価償却相当額は、各期間に対応させるべき収益が存在するものではなく、また、国立大学法人の運営責任という観点からも、その範囲外にあると考えることができる。これを損益計算上の費用としてとらえることは、国立大学法人の運営状況の測定を誤らせることとなり、通則法人44○○条を適用する上での計算方法として適当ではない。

3. 貸借対照表の資本剰余金の区分においては、「第77特定の償却資産の減価に係る会計処理」の規定に基づく損益外減価償却相当額の累計額を表示しなければならない。この累計額は、国立大学法人の実質的な財産的基礎の減少の程度を表示し、当該資産の更新に係る情報提供の機能を果たすこととなる。

4. 附属病院における一定の償却資産に係る減価償却については、当該減価に対応すべき附属病院収入の獲得が予定されていると考えられるため、当該収入をもって充当することが適当と考える。よって、附属病院における上記資産の減価償却相当額は、損益計算上の費用に計上し、それ以外については損益外減価償却を行うこととする。

 

78 退職手当給付に係る会計処理

1. 退職手当給付相当額のうち、運営費交付金に基づく収益以外の収益によってその支払財源が手当されることが予定されている部分については、退職手当給付に係る引当金を計上する。

2. 退職手当給付に充てるべき財源措置が行われることが、例えば中期計画等で明らかに.されている場合には、それに相当する部分の退職手当給付に係る引当金は計上しない。

なお、その場合は運営費交付金から充当されるべき退職手当給付の見積額を貸借対照表の注記において表示し、その事業年度の増加額は行政サービス国立大学法人業務実施コ

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スト計算書に表示する。

3. 国立大学法人が中期計画等で想定した運営を行わなかったことにより将来の追加的な退職金債務が発生した場合には、当期において負担すべき追加的費用を追加退職手当給付引当金に繰り入れ、貸借対照表の固定負債の部に表示するものとする。なお、その場合に当該年度中に追加的な退職手当給付が支給されている場合には、当該追加分を当期の損益に反映させるものとする。

4. 上記1,3の引当金及び2の見積額の計算に当たっては、期末の退職手当給付の要支給額を用いた計算によることができる。

 

79 退職共済年金に係る共済組合への負担金の会計処理

退職共済年金に係る共済組合への負担金は、拠出時に費用として認識するものとし、特別の引当金は計上しない。

 

80 毎事業年度の利益処分

1. 当期未処分利益は、毎事業年度、積立金として整理するもののほか、中期目標の期間の最後の事業年度を除く毎事業年度、目的積立金として整理するものとする。

2. 当期未処理損失は、毎事業年度、積立金(目的積立金が残っている場合は当該目的積立金を含む。)を減額して整理し、なお不足がある場合は繰越欠損金として整理するものとする。

 

81 中期目標の期間の最後の事業年度の利益処分

国立大学法人の中期目標の期間の最後の事業年度においては、当期未処分利益は、積立金として整理しなければならない。目的積立金及び個別法人法の規定に基づく前中期目標期間繰越積立金が残っている場合は、積立金に振り替えなければならない。(4046)

 

<4046> 中期目標の期間の最後の事業年度の利益処分について

1. 国立大学法人制度においては、中期目標による運営・評価のシステムが導入されており、運営費交付金のルール設定等財務関係においても一の中期目標及びそれに基づく中期計画の期間を一つの区切りとしているところである。実際に多くの個別法においても、この注記目標の機関を一つの区切りとして積立金の次の注記目標の機関への繰越についての規定が設けられているのもその表れである。そのような

国立大学法人においては、運営費交付金等をこの中期目標の期間の終了時に精算するという考え方にたっていることから、最終年度に損益計算上の利益が生じた場合であっても通則法人法第44○○条第項の処理は行わないほか、目的積立金や前中期目標期間繰越積立金が使用されずに残っていた場合は、中期目標の期間の最後の事業年度の利益処分時において、積立金に振り替えることを要するものである。

5.           個別法人法においては、積立金を次の中期目標の期間に繰り越す旨の規定が設けられている独立行政法人においては、利益の処分又は損失の処理に関する書類のほか、国庫納付金の計算書の作成を要する。当該計算書においては、中期目標の期間の最後の事

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業年度に係る利益処分を行った後の積立金の総額並びにその処分先である国庫納付金の額及び前中期目標期間繰越積立金として次の中期目一標の期間に繰り越される金額を記載するものとする。

 

82 目的積立金を取り崩す場合の会計処理

目的積立金にっいて、中期計画であらかじめ定めた「剰余金の使途」に沿った費用が発生したときは、その同額を取り崩して目的積立金取崩額に振り替えなければならない。また、「剰余金の使途」に沿って固定資産を取得した場合には、その取得に要した額を取り崩し目的積立金の原資が運営費交付金及び授業料の場合は資本剰余金に、原資が運営費交付金及び授業料以外の場合は資産見合剰余金に、それぞれ振り替えなければならない。

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