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独行法反対首都圏ネットワーク

和歌山大新学長の小田章教授に聞く
 . [he-forum 4166] 朝日新聞和歌山版06/20
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『朝日新聞』和歌山版  2002年6月20日付

和歌山大新学長の小田章教授に聞く

 
 和歌山大の学長選挙で18日、副学長で経済学部教授の小田章さん(59)
が選ばれた。教員養成コースの統合を含めた大学再編、国立大学の法人化といっ
た「大学の激動期」を迎え、魅力ある和歌山大をどうつくり出すのか。抱負な
どを聞いた。

 ──8月から新学長に就任されます。リーダーとしてどんな大学にしたいの
でしょうか。

 学生の満足できる態勢をつくりたいですね。民間企業では「カスタマー・サ
ティスファクション(CS)」という言葉が当たり前になり、顧客の満足が大
学でも同じように重要になってきました。わたしの造語ですが、「スチューデ
ント・サティスファクション(SS)」。これを積極的に提案していきます。
教授陣、指導内容、設備のいずれの面でも、学生がどれだけ満足しているかを
つかみたいし、将来的にアンケートをとるのも一つの方法だと考えています。

 ──今どきの学生への思いと入学者へのメッセージは。

 まじめな部分といいかげんな部分が同居しているというのが、今どきの学生
に感じることです。わたしが学生のときに比べると、やんちゃ坊主もいません
し、こぢんまりしているように思います。学生らしくがむしゃらさもほしいな
あ、という気もします。大学が「レジャーランド」と言われたころもあったが、
今はまじめに勉強をしようという気持ちは強くなっています。入学者は何を学
びたいのか、目標を絞って入ってきてほしいですね。大学は自分のもっている
能力を確かめ、伸ばしてもらうせっかくの場なのですから。

 ──大学の地域貢献が求められる時代になりました。

 先生が外に出るときには、学生も同行してほしい。学生が大学と地域の「橋
渡し」をするようになればいいですね。大学としてボランティアを後押しする
方法もありますし、学生自らが研究テーマを決めて内容に応じて指導教授がつ
く「自主演習」を活用するのも一つの手でしょう。県が04年春に田辺市にオー
プンさせる「IT総合センター」でも、紀南地域の活性化に向けて大学が協力
できることが多々あるはずです。

 ──全国の国立大学で再編統合が話題になっています。

 国の動向も見なければなりませんが、夏から冬にかけて再編統合の議論が本
格化すると思います。和歌山大は三重大を交渉相手として話し合いを続け、和
歌山大にとって一番いい方向を探っています。課題の教員養成コースも含めて
です。再編統合とは別にして、和歌山、三重、奈良の3県の大学が紀伊半島の
教育サービスを充実させるため、へき地教育や地域経済の発展で連携できるこ
ともあると考えています。

 ──04年度にも国立大学が法人化されそうです。

 企業と同じレベルで採算性を考えるのはおかしい。分野によって採算に合う
もの、合わないものがあります。合うものには技術系の分野、経営学や会計学
が挙げられます。逆に歴史や教育の分野は合わないものになるでしょうが、切
り捨てることはできない重要テーマです。大学がうまく踏み込んで、合うもの
と合わないもののバランスをとることが求められるはずです。とくに大学とし
て力を入れる分野に関しては、大学で協議をつくしたうえ優先的な投資をし、
国内での「オンリーワン」を目指すことも必要になるでしょう。

 専攻はドイツ経営学。神戸大大学院博士課程中退。71年、和歌山大助手。
85年、同教授。経済学部長や図書館長などを務め、01年から副学長。大阪
府堺市に妻と次女の家族3人で暮らす。趣味は読書と家庭菜園での畑仕事。研
究室には阪神のポスターが張られ、根っからの阪神ファンだ。