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独行法反対首都圏ネットワーク

☆未来図描けぬキャンパス 思惑ずれ具体論に至らず 道内国立単科大の統合
 . [he-forum 4119] 北海道新聞06/17
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『北海道新聞』2002年6月17日付

未来図描けぬキャンパス 思惑ずれ具体論に至らず 道内国立単科大の統合


 道内の国立六単科大が生き残り策として論議をしている統合・再編構想に対
する、各大学の姿勢の格差が浮き彫りとなってきた。統合推進派から慎重派、
さらに態度を明確に打ち出せない大学も。北大に対抗できる新たな総合大学が
生まれるのか―。各大学の思惑は異なり、将来像は見えないままだ。

 「構想に参加するのか、しないのか。具体的な話をしなければ、話は前に進
まないのだが…」

 五月三十日、旭川市内で開かれた六大学の副学長らによる懇談会。ある大学
関係者は、いら立ちを込めてつぶやいた。

 文部科学省が国内九十九の国立大の大幅削減方針を示して一年。六大学間の
論議は四月から本格化したが、「構想の基本理念」の枠を出ていない。具体論
に踏み込めば各大学の思惑がぶつかり、空中分解が避けられないためだ。

 六大学のうち、他大学との統合に積極的な姿勢を見せているのは旭医大、北
見工大、室工大。

 昨年十月に北見工大との統合方針を公表した旭医大は、遅々として進まない
論議に焦りを見せる。全国の単科医科大で唯一、統合への道筋がついていない
ためだ。学内からは「他大学は構想への姿勢をはっきりさせてほしい」との声
も出ており、一刻も早く具体的な論議に入りたい考えだ。片桐一副学長は「小
さな大学がぽつぽつあっても仕方ない」と統合のメリットを強調する。

 一方の北見工大は、六大学すべての統合構想については「中身次第」と慎重
な構えだ。同大は、旭医大に帯畜大を加えた三大学統合なども視野に入れてお
り、「段階的に学内論議を進めている」(常本秀幸学長)。

 室工大の田頭博昭学長は「できるだけ多くの大学が参加する統合を目指す」
と話す。ただ、六校そろわなくても統合に踏み切るかどうかは「その時点で論
議したい」(同大幹部)と態度を保留。推進派の三大学ですら、微妙な温度差
がある。

 これと対極と言えるのが帯畜大だ。獣医学科など、他大学にはない特色があ
るだけに、学内には「単独存続を目指すべきだ」との声が強い。鈴木直義学長
も「日本の食の安全を守る専門大学が(国内に)一つぐらいあっていい」と明
言。六大学構想について、学内で実質的な検討を行っていないことも明らかに
するなど、統合論議と距離を置いている。

 小樽商大も、経済界に人材を輩出している伝統を背景に単独存続を唱えてき
た。しかし少子化の現実を見越し、今年五月の教授会で「全六大学の連合」も
選択肢に入れることを決めた。秋山義昭学長は「単独か、六大学か。可能性は
五分五分」としている。

 道教大は、五分校態勢の再編が当面の課題だ。他大学との統合論議はその先
の課題で、ある教官は「(五分校問題を話し合う)特別委は五月下旬に開かれ
たまま。六大学構想の論議は一切ない」と指摘する。佐々木茂副学長も「お話
できることはない」と言うだけだ。

 六大学連合か、部分連合か、それとも、構想は幻に終わるのか。一部にが
「このままでは体力のない大学はジリ貧になるだけ」との声すらある。