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独行法反対首都圏ネットワーク

☆新教育の森・やまぐち]変わる大学/7 地域貢献 /山口
 . [he-forum 4058] 毎日新聞山口版06/05
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『毎日新聞』山口版  2002年6月5日付

新教育の森・やまぐち]変わる大学/7 地域貢献 /山口


 ◇独自の役割を模索

 山口市桜畠にある県立大の学長室。坊主頭でざっくばらんに熱弁をふるう岩
田啓靖学長は、長門市の名刹(めいさつ)、大寧寺の住職でもある。99年の
就任以来、改革の陣頭指揮を執ってきた。

 「県民の税金で運営する以上、地域の課題に対応した教育・研究をする必要
がある。規模が小さいため、山大のような総合的な対応はできないが、個性を
明確に打ち出したい」

 県立大は、75年に山口女子短大を改組し、山口女子大として開学。96年、
共学化と共に名称を変更して県立大になった。

 学生数は約1300人と小規模ながら、国際文化、社会福祉、生活科学、看
護学部の4学部と国際文化学、健康福祉学研究科の二つの大学院修士課程を持
つ総合大学だ。

 地元に密着した人材養成型大学として自負は強く、社会ニーズに合わせて学
部学科を改編してきた。99年には民間企業や市町村と連携して研究する「地
域共同研究センター」を設立するなど地域貢献に力を入れてきた。

 しかし、山大も法人化を前に存在感を示そうと地域貢献を旗印に掲げ始めた。
大学で開発した技術を特許にして企業に移転する機関「山口TLO」の設置や、
教官が地域に出向く出前講座など“開かれた大学”を目指して活発に活動して
いる。

 学内で改革案を検討する戦略会議座長の三島正英・社会福祉学部教授は「大
学改革では山大に先んじてきた積もりだが、法人化を控えた山大の動きに後れ
を取っている」と顔色がさえない。山大が積極的に地域に根を張れば、県立大
の存在感が薄れる恐れもある。

 これに対し、岩田学長は「山大は県内の大学の拠点であり、その活動は肯定
した上で連携すればいい。県立大は得意な教育、看護、福祉、栄養など、地味
だが大切な分野で地域貢献したい」と役割分担の必要を強調する。

 そして、さらに大胆な提案もしてみせる。

 「県立大、山大、下関市立大が法人化すれば、単位互換や人事交流が自由に
できるようになる。それぞれの特徴を生かした統合もイメージできる。キャン
パスが各地に分散した米国の大学をモデルに考えてもいい」

 これからは地域の教育・研究機能を高めるという視点から、従来の大学の枠
組みにとらわれず、あらゆる可能性を模索する必要があるのかもしれない。
【木下武】