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独行法反対首都圏ネットワーク

特集:センター問題、6月国大協総会千葉大独行法情報速報NO17))
 .  2002.2.28  独行法反対首都圏ネット事務局
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独行法情報速報

No.17

特集:センター問題、6月国大協総会

 

2002.6.27 独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局

 

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/

 

センター・施設問題:“最初に統合・再編ありき”ではなく、現場の声に根ざしたトータルプランの策定を

 

千葉大学には全国共同利用機関としての2センターと多くの学内共同利用センター・施設があり、千葉大学の教育研究活動上不可欠の役割を果たしている。ところが、独法化の流れの中で、研究所、センター、施設などの統廃合が全国的に強行される危険がある。千葉大学でも学内共同教育研究施設の再編・統合推進がうたわれる(【開示1】)一方、多くのセンター新設が概算要求(【開示2】)されようとしている。

 

【開示1】学内共同教育研究施設の再編・統合『千葉大学の将来構想II』6.2未定稿p19-20]

近年,研究手法の多様化により,これまでの研究分野をまたぐ学際的な研究が日常的に行われるようになってきたことから,従来の硬直化した人事や設備の配置では,それらへの対応が困難な状況になりつつある。

この状況を打破し,学内各センター・施設が効率的に全学的な教育・研究の支援を行うためには,人員・施設・設備の流動的かつ機動的有効利用やそれぞれの機能が一体化した教育と研究支援を行うことが強く求められている。

このため本学では,これら施設を将来計画を踏まえ,再編・統合を含め,早急に検討を開始する。

 

【開示2】学内共同利用教育研究施設の新設(H15年度概算要求事項)6.20評議会資料]

フロンティアメディカル工学研究センター、環境園芸健康科学センター、社会精神医学教育研究センター、複雑系量子位相科学研究センター、臨床薬学研究センター、ナノ構造極限機能科学技術研究センター

 

【分析1】

センター・施設は千葉大学の教育研究活動上不可欠の役割を果たしながらも、財政・人事等で大きな困難を抱えている。しかし、『千葉大学の将来構想II』(6.2未定稿 以下『未定稿版』)中の一部記述のように具体的な分析もせず、「従来の硬直化した人事や設備の配置」にその困難の根拠があると断定して、トータルプランのないまま再編・統合を推進しようとするのは余りに非科学的であり、困難を激化させるだけである。そもそもこの『未定稿版』は、達成期限と具体的達成度を明記した中期目標および長期計画に対応できるように、各部局・センター等に指示して以前のバージョンを急ぎ書き直させて作られたものである。このため『未定稿版』は到底トータルプランとは言い難く、一部には相手側との議論もないまま一方的に他センターを統合することを目指すかのような記述も見受けられる。このような文書をもとに部局の再編・統合を行うのは「ボタンの掛け違い」をおこす恐れ大であることを指摘しておきたい。

 

【提言1】

1.学内共同利用センター・施設、全国共同利用センターの今後の在り方を、各センター・施設の理念、設立目的と歴史的経緯を尊重しつつ、これまで担ってきた業務を全学的見地から評価・検討し、トータルプランを策定するべきである。特に、有力3センターを筆頭に6センターの概算要求を行なうのであれば、まずこれらを含めたトータルプランの策定を行なうべきである。

2.外部からのセンター数削減圧力に対しては毅然として対処すべきであり、数合わせの再編・統合を行なってはならない。独法化に対処するためにも学内共同利用センター・施設、全国共同利用センターの財政について検討し、千葉大学としての方針案を策定するとともに、その実現のために国大協、文科省等への要請を重ねていくべきである。

3.上記の検討作業は、トップダウン方式ではなく各センター・施設の代表が加わった組織で、利用者の意見も尊重しつつ行なわなければならない。また、学内共同利用センター・施設全体の代表が当面オブザーバーとして評議会・部局長会議に参加する措置が考慮されるべきである。

 

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独法化対策議論過程の公開を

 

本「速報」#16【開示2】で紹介したように、3月29日に千葉大学将来計画検討委員会の中に,組織業務,目標評価,人事制度,財務会計,病院組織運営の5つの大学法人化検討WGが設置された。しかしながら、設置後3カ月になろうとしているにもかかわらず、その議論過程は全く不明である。本センターでは、27日付けで各委員長宛に、WGの活動内容、現段階での到達点、今後のスケジュール等に関する質問状を送ったので、回答については次号に紹介する。

さらに、前頁の【開示1】でその一部を紹介した『未定稿版』は全文122頁に及ぶものであるが、その内容を全学的見地から広く検討する態勢がとられていないばかりか、今後の検討スケジュールも明確にされていない。このような姿勢では、全学の英知を結集して独法化に立ち向かうことはできないのではないか。

 

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いっそう明白となった国立大学独法化=国立大学法人/

新国大協体制の危険な本質

 

国大協総会は去る6月12〜13日開催されたが、事前に開催された2つの特別委員会も含めて配布された資料(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html参照)を見ると、文科省が進める国立大学独法化の危険な本質が一層明白となる。

 

【開示3】国立大学法人に係る諸規定等の概要(6.3案):大学に自主性を与えないがんじがらめの法人法

 

標記の文書(「諸規定等の概要」と略す)は文科省によって作成され、6月3日の第2回法人化特別委員会において杉野大学改革推進室長から説明のあったものである。この概要を見てまず気付くのは、組織業務に関する事項の主要な部分をすべて法律で規定し、各大学で検討を要するとされる事項を可能な限り少なくしていることである。これでは組織業務に関して現行法体形よりも遥かに自主性が後退することは明白ではないか。目標・評価、財務会計でも同じである。それに比して、人事制度に関わる法令部分は著しく少ない。現行教育公務員特例法の内容は就業規則等に入れるとされていたが、この「諸規定等の概要」にはその片鱗すらない。

国大協側には“法に書き込む内容は可能な限り少なくし、その分、大学の自主性を大きくする”などという作戦もあると言われていたが、実際には文科省の一方的な説明を聞くだけで独自案も準備せず、「具体的な法制化作業への関わり方は難しそうだ」と弱々しく語った上で、「法学を専門とする専門委員が文部科学省との連絡を密にして情報交換をしつつ、国大協としてもその内容についてものが言えるようにしたい」(第2回法人化特別委員会議事メモ)との願望を表明しているに過ぎない。

 

#:「速報」上ではhttp://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020613kokudaikyou.pdfのp.12-14を掲載。なお、以下の(注)を付記。

 

(引用者)ここに「みなし公務員」とされていることは、大学教職員は通常の国家公務員ではないが、法によって「公務に従事する職員」とされ、刑法の罰則等においては公務員と同等の扱いを受けることを意味する。

 

【開示4】「国大協の在り方」検討事項(案):文科省下請機関としての新国大協

 

標記の文章は本年2月21日の第10回将来構想WG(国大協理事会の下の組織。現在は廃止)でまとめられたものであるが、これを読んでまず驚くのは、文科省『最終報告』(3.26)が出される以前から国大協理事会は独法化を容認して、国大協の解体を準備していたことである。新国大協(在り方検討特別委員会の用語。法人化特別委員会の「新しい連合組織」、『最終報告』の「国立大学の連合組織」に対応。)像の詳細は未確定ではあるが、配布資料等からすると、そこには文科省下請機関としての新国大協の姿が浮かび上がる。

まず、「2.協会事業の基本的報告、範囲」では、「全国立大学専門職員研修など」とか、「(3)会員大学の経営者代表業務(労使トップ交渉、職員人事採用・異動調整など)」とあることから、新国大協は、労使交渉を代行し、文科省の幹部職員異動権を代行する機能を意図している。さらに、公・私立大学団体との合併、併合さえ視野に置かれている(3.(1))。独法化問題に関する国大協のこの間の無責任な姿勢からすれば、これを新国大協が独自に担う能力はなく、文科省のダミー機関と成り下がることを意味している。新国大協構想は、国公私立各大学職員人事権と支配権を維持・拡大したい文科省の意図と合致するものとなろう。

 

#:「速報」上ではhttp://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020613kokudaikyou.pdfのp.16-17を掲載。

 

【提言2】今こそ、すべての大学から独法化阻止の声を

 

「国大協の在り方」検討事項(案)(02.2.21)が言う通り、独法化と新国大協は不可分である。両者は文科省による大学支配体制を作り上げることによって、各大学の自由な発展を押しつぶし、教育研究の衰退をもたらすこととなろう。しかし、まだ大学法人法については、上程はおろか、法案さえ提示されていないのである。今からでも遅くはない。独法化反対の声を強め、国会と政府を包囲する大きな運動で大学法人法そのものを葬り去らねばならない