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独行法反対首都圏ネットワーク

☆日本科学者会議大阪支部決議<法人化問題>
 
[he-forum 4007] 日本科学者会議大阪支部決議<法人化問題>.
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日本科学者会議大阪支部は5月25日に第37回定期大会を開き、次の決議を採択しました。

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「いま考えよう、私たちは何のために科学、学問をするのか」

1999年7月、ユネスコなどが後援してブダペストで開かれた世界
科学会議において、「科学と科学的知識の利用に関する宣言」お
よび「科学アジェンダ、行動のための枠組み」が採択された。ま
た、日本科学者会議でも2000年12月大阪で開かれた第13回総合学
術研究集会において、基調報告「科学の世紀への転換と科学者の
責務」が発表された。いずれの文書も人権、平和、環境などの20
世紀から持ち越された課題を21世紀中に解決するために科学の役
割が不可欠であることを明らかにし、そのための科学者の責務の
大きさを確認するものであった。21世紀のはじめにあたり、私た
ち科学者は、この世界的な共通認識となりつつある科学と科学者
の責務の歴史的な意味を十分に理解し、地球上のすべての人々が
人間らしく生きることができる時が1日も早く訪れるよう努力す
る決意を新たにしている。

しかるに、日本では科学、学術研究、高等教育をとりまく環境
が、私たちの決意に逆行する方向に作りかえられようとしている。
すなわち、すでに工業技術院傘下の国立研究所は独立行政法人産
業技術総合研究所に統合改組された。さらに2年後には国立大学も
国立大学法人に改組されようとしている。日本科学者会議は今年3
月、「新しい『国立大学法人』像について」に対する見解を発表
し、独立行政法人化の問題点を指摘しているところである。独立
行政法人化の基本的問題は、大学や国立研究所を資本の国際競争
に巻き込むことをあからさまに目的としていることにある。この
ことは、科学が上に述べられた21世紀に果たすべき役割を担うこ
とを真っ向から否定するものであると言わざるをえない。

残念なことに、国立大学では2年後の独立行政法人化を抗しがたい
既定の方針として、中期計画や就業規則づくりが始められている。
また「遠山プラン」を先取りする形で大学の統合をめぐる動きが盛
んになっている。しかし今こそ大学関係者に求められることは、自
らの生き残りのみに拘泥するのではなく、科学の歴史的責務に立脚
し、真に国民的立場から大学改革を実現することである。人々に空
前の災禍をもたらした戦争に加担した痛恨の反省から、大学人が学
問の権力からの独立を硬く決意したのは今から半世紀前のことであ
る。学問の長い歴史を見るならば、学問は時の権力から常に庇護さ
れてきたわけではない。今日の人間や自然に対する理解は、弾圧の
時代にあっても権力に抗して真実を探求し続けた科学者たちによっ
て作り上げられてきた。このようにして形成された今日の人間と自
然に対する科学的認識こそが来るべき人間社会の礎となっている。
私たちは今一度、すべての大学人が科学と学問の今日における人類
に対する責務を想起し、人間の未来のために科学と学問の論理によ
って行動するよう訴える。

2002年5月25日
日本科学者会議大阪支部第37回定期大会