☆経財諮問会議:改革機運かげり、存在意義が問われる
.[he-forum 3967] 毎日新聞05/16
--------------------------------------------------------------
『毎日新聞』2002年5月16日付
経財諮問会議:改革機運かげり、存在意義が問われる
経済財政諮問会議に形がい化の兆候が見えつつある。13日の諮問会議で了
承された経済活性化戦略の中間報告は、「民間メンバー案」として提出された
が、作成過程で、さまざまな項目が骨抜きにされた。「実現できる政策でなけ
れば無意味」という事務局の主張が通った形で、審議会を隠れ蓑にした旧来の
官主導の政策形成に逆戻りしかねない手法と言える。小泉政権の支持率低下で
改革機運にかげりが出ている中で、諮問会議は存在意義を問われている。
諮問会議にとって日本再生のための活性化戦略は今年の重要テーマの一つ。
中間報告では国立大学の教官の外部登用70%を目指すなど野心的メニューも
あるが、全体的には総花的。「改革の切り札」と、構造改革特区の導入をうたっ
たが、「特区法」の制定など現状打破の意気込みは伝わってこない。税制改革
への言及も避け、不良債権処理を産業再生につなげるための方策は全く盛り込
まれなかった。
作成作業は、事務局である内閣府が中間報告のたたき台を準備し、民間メン
バーが数値目標化など戦略の底上げを狙ったが、不発に終わった。民間メンバー
案といいつつ関係省庁と事前調整の手続きを踏んだことで「リスクを取らない
官僚による作文になった」(経済産業省幹部)との声も。
背景には、政治情勢が思い切った改革を許さなくなってきたことがある。そ
れに現状維持を狙う一部の省庁が呼応し、「思い切ったことを言いすぎると、
諮問会議が無視されかねない」(内閣府幹部)状態に陥った。
3月末に公表した税制改革の論点整理の“トラウマ”もある。事務局をほと
んど関与させず民間メンバーや竹中平蔵経済財政担当相主導の「トップダウン
型」でまとめたが、事務局側は「勝手にやられた」と受け止め、与党や財務省
も反発、その後の議論は迷走を余儀なくされている。そこで、今回は現実主義
を前面に官僚主導で政策を積み上げる展開をたどった。
竹中氏が13日の会合後の会見で「このままでは動かない可能性がある」と、
活性化戦略実現のために民間人も活用したプロジェクトチーム設置の意向を表
明したのも、危機感のあらわれと言えそうだ。 【白戸秀和】