☆学会評議委員会、「国立大病院のマネジメント改革」提言の白紙撤回要求を決議
.[he-forum 3962] 日経BP/MedWave05/1
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日経BP MedWave 2002年5月13日付
【日本輸血学会速報】
学会評議委員会、「国立大病院のマネジメント改革」提言の白紙撤回要求を決議
日本輸血学会評議委員会は5月8日、国立大学医学部附属病院長会議が3月
に取りまとめた、附属病院のマネジメント改革に関する提言を白紙撤回するよ
う求める決議を行った。9日の総会で今期総会長を務める東京大学附属病院輸
血部の柴田洋一氏が会員に向けて報告、10日に開かれた輸血問題検討部会では、
評議委員会が提言のどの点を問題視したのかを詳しく説明した。
この提言「国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改
革について」は、附属病院長会議常置委員会(委員長:千葉大学附属病院長・
伊藤晴夫氏)が昨年3月から検討を進めてきたもの。2004年に予定されている、
国立大学の独立行政法人化を睨み、医療の質を担保しつつ効率的運営を図るた
めの組織改革案などを示している。
提言では、国立大学附属病院の使命として、医療提供、教育研修と研究開発
の三つの機能があると定義。この前提を踏まえたマネジメント改革の方向性と
して、1.病院長の権限強化と支援体制の改革、2.運営効率化のための組織改
革、3.医療の質向上のための機能改革、4.経営面のサポート体制改革、5.
安全管理・危機管理体制の改革、6.附属病院間の連携システム改革−−の6
点を提示している。評議委員会が特に問題視したのは、このうち2の組織改革
の部分だ。
輸血部、薬剤部、検査部などで働く医師以外の医療従事者を、新設する診療
支援部で一元管理。その上で既存の組織を見直し、必要と判断される部門に対
し、診療支援部から人員を配置する。これらの部門では外注可能な業務は原則
外注する−−。この“組織改革案”を提示した後、柴田氏は一言、「驚きあき
れる内容」と述べ、この提言が採用されれば国立大学附属病院から輸血部など
が廃止される恐れが強いと訴えた。
また、提言の「国の支援に対する要望」との項目で、各病院におけるマネジ
メント改革の達成度評価に関し、“財政支援を受けるに適格かどうかを含め”
て附属病院長会議が進捗状況をモニタリングする、と書かれている点も問題視。
達成度が補助金額を左右する可能性を匂わせて、各大学附属病院に無形の圧力
をかけるものであり、「現場への悪影響は計り知れない」と柴田氏は述べた。
「国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改革につい
て」は、厚生労働省のホームページで概要(PDF形式)が公開されているほか、
全文が千葉大学附属病院のホームページなどに掲載されている。医師だけでな
く薬剤師や臨床検査技師、診療放射線技師など、様々な医療従事者に大きな影
響を及ぼす提言だけに、国立大学附属病院に診療・教育・研究の三つの機能を
今後も付託すべきかを含め、何らかの「社会的な合意」を得る必要が出てきそ
うだ。