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独行法反対首都圏ネットワーク

☆ 教育学部、存続か否か−3大学協議本格化
 
[he-forum 3929] 山形新聞05/12.
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『山形新聞』2002年5月12日付

教育学部、存続か否か−3大学協議本格化


 国立の教員養成系大学・学部の大幅な再編を進めようとする文部科学省の方
針を受け、山形大と宮城教育大、福島大の近隣3大学間協議が本格化してきた。
宮城教育大は「(南東北の教員養成を引き受ける)担当校として頑張っていく
しか存続の道はない」(横須賀薫学長)との決意で臨む。一方の福島大は早々
に教員養成課程の維持を断念したため、今後は山形大の対応が焦点になる。付
属校の存続問題も絡み、関係者は学長協議の行方を不安を抱きながら注視して
いる。

 「山形大学教育学部は消えるかもしれない」。山形大教育学部の同窓会誌
「教友」1月号に、こんな衝撃的な活字が躍った。石島庸男教育学部長の寄稿
文のタイトルだ。石島学部長は「(南東北で)3つに1つか、2つに1つしか教育
学部が残れないとすると、これまで議を経てきた教育学部充実案は凍結せざる
を得まい」とつづり、文章全体を悲観的なムードが覆った。

 石島学部長が懸念した通り、学内とその周辺は現在、宮城教育大と山形大が
担当校として並び立つのは現実的ではないとの考えに支配されつつある。3大
学間協議の行方は不透明だが、山形大が今後、厳しい選択を迫られる場面もあ
りそうだ。

 福島市内のホテルで、4月18日に開かれた3大学連絡会議の第2回会合。終了
後の記者会見で、福島大の臼井嘉一学長は3大学を今後、教員養成機能を維持
する「担当校」、教員を計画養成しない「一般校」に区分するという手法を取
り入れると説明した。これは、文科省の懇談会が昨年11月にまとめた報告書
「今後の国立の教員養成系大学学部の在り方について」を強く意識した内容だ。

 宮城教育大は1965(昭和40)年4月、東北大教育学部から分離独立した単科
大。仮に一般校になれば、大学としての存在意義を失う。会見の席上、横須賀
学長は担当校への強い意欲を示し、突出した印象を与えた。福島大はその後、
教員養成課程を維持していくことを断念、関心は山形大がどのような方向性を
打ち出すかに移った。

 「座して待っているだけでは、大学の明るい未来は展望できない」と山形大
の仙道富士郎学長。以前から「担当校か一般校かという『ALL OR NO
THING(すべてか無か)』の議論は好ましくない」と繰り返しており、3
大学の協調路線を模索する。

 今後の国立の教員養成系大学学部の在り方について 文部科学省が設置した
懇談会が昨年11月にまとめて公表した最終報告書。各都道府県に少なくとも1
つの教員養成系を設置してきた原則を転換、再編統合を促して現在の半数以下
にする方針を盛り込んだ。少子化で教員採用数が極端に減少しているため、統
合して効率化を図ることが目的。現在の総入学定員1万人は維持する。本年度
中に統合の組み合わせを明記した具体的な再編計画をまとめる予定。259の付
属校は、教員養成課程が残る大学には従来通り設置し、課程がなくなる大学は
特に必要な場合を除き、統合先や地方への移管を検討すべきだとしている。

【南東北3大学の教員養成学部の現状】

                宮城教育大      山形大          福島大
学生定員          345人       240人           330人
うち教員養成課程  195人       120人           220人
教員数            129人       102人           114人
付属学校
小学校            4学級       3学級           4学級
中学校            4学級       4学級           4学級
養護学校 小、中、高等部 小、中、高等部 小、中、高等部
幼稚園           3−5歳児  3−5歳児    3−5歳児
今春の出願倍率  6.21倍        4.99倍          4.74倍
教員採用率    38.1%        30.6%          45.2%

(教員数は付属学校、付属施設を除く。教員採用率は教員養成課程の2001年卒
業者の卒後6カ月間採用率)