☆迫られる国立大学の構造改革 京都大の将来像語り合う 教授有志が公開討論会
. [he-forum 3927] 毎日新聞京都版05/11
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『毎日新聞』京都版 2002年5月11日付
迫られる国立大学の構造改革 京都大の将来像語り合う 教授有志が公開討論会
国立大学の構造改革が迫られる中、京都大の教授有志による公開討論会が左
京区の同大学術情報メディアセンターで開かれた。教授や事務局職員約70人
が参加。東大名誉教授の生駒俊明・日本テキサスインスツルメンツ会長が「大
学の未来像―京大への提言―」と題して講演、研究や高等教育について語り合っ
た。
「京都大の将来像を国の言いなりではなく、自ら決めるために語り合おう」
と原子炉実験所の内海博司教授が呼び掛け、昨年12月に8人の教授らで京大
懇話会を設立。さらに議論を広げるため今回の講演会を企画した。
生駒さんは今年2月、総合科学技術会議議員の井村裕夫・京大前学長や企業
トップら18人で「大学システム改革への提言」をまとめ、研究と教育による
社会への貢献、学問の自由、高等教育基本法の制定などを提案している。講演
会では「提言」について解説し、「エリート育成のために学部生の定員を削減
しては」「学問の自由を守るためには文部科学省のあり方を論議することも必
要」「大学運営と研究を両立するために、教授は事務作業を減らす工夫を」な
どと語った。
会場からは「学部生の定員を減らすのは難しい」「初等、中等教育の改革議
論なしに大学改革ができるのか」といった反論もあり、「さらに議論を続ける
必要がある」と締めくくった。
◇経済学部で自主講座
一方、学生らも大学の行方に注目している。このほど経済学部自主講座があ
り、竹内洋・教育学研究科教授が「京大キャンパス文化の過去と未来」のタイ
トルで講演。約30人が「自由な学風」の歴史や教養の重要性などについて聞
き入った。
竹内教授は「自由な学風」が関西の町民意識に裏づけられたもので、教官に
よる干渉が少ないことが独創的な研究者を生み出したが、勉強しない学生を放
任したと指摘。「世界を相手に競争できる人材を育てるためには大学改革も必
要」と語った。
「学生が大学改革に興味を持たないのはなぜだろうか」などの質問に、竹内
教授は「学生の大学に対する期待が低下しているのでは。おもしろいと思える
教官や先輩に出会わないのは残念なことです」と話した。