☆企業と連携大学の生きる道 共同研究3割増 九州・山口の国立16校
[he-forum 3905] 西日本新聞05/05.
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『西日本新聞』2002年5月5日付
企業と連携大学の生きる道 共同研究3割増 九州・山口の国立16校
九州・山口の国立大(十六大学)が、企業などから研究員や研究経費を受け
入れ、研究を進める「共同研究」で、二〇〇一年度の総件数が七百十三件に上
り、前年度(五百五十二件)比29・1%増と大幅に増えたことが四日、西日
本新聞社の調べで分かった。地方大学切り捨ての懸念もある大学改革が進む中、
多くの国立大が企業のビジネスパートナーとしての役割を果たすことで、生き
残りの道を探ろうとしている様子がうかがえる。
文部科学省によると、国立大の共同研究は、国の財政がひっ迫する中、外部
資金を用いて研究成果を上げる方法として注目されている。新素材やバイオテ
クノロジーなど先端分野を中心に実施されている。
九州・山口の特徴は「地域密着」の傾向が強い点。前年度の二・三倍の七十
八件を実施した長崎大を分野別にみると、トップは技術の進展が著しい医療・
福祉(十六件)で、水産県の大学らしく、養殖フグの無毒化など海洋分野(十
二件)が続く。同大は「長崎には研究機関をもつ企業が少ない。地域に密着し、
地域の問題を解決する共同研究を手掛けたい」と言う。六十二件の共同研究を
実施した鹿児島大も、相手の六割強が鹿児島県内の地場企業。テーマには微生
物を用い家畜ふん尿をたい肥として再利用できる処理法などが上がっている。
共同研究の受け入れ体制を強化する大学も目立つ。九州工業大は、企業との
橋渡し役のコーディネーターを一人から五人に増員、前年度から三十件増の七
十二件に。九州・山口最多の百二十八件の九州大は、関係企業に教官の研究内
容を紹介した冊子を送付するなどの売り込みを行っている。
ただ、企業などから大学側に納められた歳入金額をみると、九州・山口の国
立大は、集計中の鹿児島、山口両大を含めても総額で十数億円にとどまる見込
み。全国トップの東京大(計約十六億四千万円、三百五件)に金額で及ばず、
小粒な研究が多いこともうかがえる。