☆
[リポート]教員養成系大の再編・統合 地元との関係強く難航
[he-forum 3884] 毎日新聞福岡版04/28.
--------------------------------------------------------------
『毎日新聞』福岡版 2002年4月28日付
[リポート]教員養成系大の再編・統合
地元との関係強く難航
◇福教大「特色出す好機」と独自路線
国立大の再編・統合が各地で進む。九州・山口では現在、九州大と九州芸工
大が03年10月の統合を目指すほか、大分、宮崎、佐賀の各県の総合大と単
科医科大の統合も明らかになっている。だが、今回の大学改革の目玉の一つ、
教員養成系大学の再編・統合は簡単にはいかない。九州で唯一の教員養成専門
の単科大、福岡教育大(宗像市)も今のところ独自路線を歩もうとしている。
【長谷川容子】
「世間の風は厳しいけれど、いずれ教員の需要が高まるはず。教員養成とい
う本来の社会的使命を守っていこうと学内で確認している」と松尾祐作学長は
話す。
教員養成学部を持つ国立大は都道府県に1学部ずつ配置されてきた。が、少
子化の影響で同学部の定員は減らされ、教員採用枠も減っている。
横並びの教員養成から脱却しようと00年8月、文部省(当時)は「国立の
教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」を発足。01年11月「1学
部あたりの学生数や教員組織がふさわしい規模で、近隣の複数の都道府県を単
位とする再編・統合が適当」との最終報告を出した。
これを受け、各地で地域の教育大と総合大の統合論議が持ち上がったが「現
時点でまとまるかどうかは五里霧中」(文部科学省教育大学室)という。なぜ
か。どの大学も地元とのつながりが深く、現職教諭の再教育や学校週5日制な
どに伴う相談などニーズが多い。「どこも『自分のところはなくていい』とは
言えない。他大学がこちらに来るだろうと思っても、声を上げると反発される
から様子見をしている」と同大学室。
九州の教員養成課程を持つ大学は八つ。文科省によると、現時点では単科大、
総合大のどちらを核とするかは決まっていないという。その中で、佐賀大文化
教育学部は作業部会で福教大、長崎大など近隣との統合シミュレーションをし
た。佐賀大の西田民雄教授は「効率だけを求める改革には疑問があるが、生き
残るため、文科省にタイムリミットを突き付けられる前に条件の良いところと
手を結びたい」と話す。
一方、福教大の松尾学長は「独立法人化の問題もあり、大学としてどういう
方向を目指すかはここ1、2年の勝負。状況に応じて教育内容も改革する」と
強調する。再編・統合の動きを特色ある大学づくりのチャンスにする意気込み
だ。