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独行法反対首都圏ネットワーク

奈良県国立大学付属学校園教職員組合の学長要望書
 
.[reform:04123] 学長あて要望書を提出
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 奈良県国立大学付属学校園教職員組合は、4月15日、下記の要望書を奈良教育大学長・奈良女子大学長あて提出しました。
 
 
奈良教育大学長 大久保哲夫殿(奈良女子大学長 丹羽雅子殿)               2002年4月15日
                          奈良県国立大学付属学校園教職員組合委員長 三村純子
 
         国大協臨時総会に関するお願い
 
 大学運営がきびしい状況にある中、日ごろのご尽力に敬意を表します。
 さて、国大協の臨時総会が迫りました。この臨時総会は、調査検討会議の『最終報告』に対する国立大学の立場を決定する、重要な会議になると言われております。また、国大協の設置形態検討特別委員会の『検討結果』が『最終報告』を容認する内容であることも伝えられています。
 そこで、奈良教育大学(奈良女子大学)を代表して臨時総会に出席される貴職に、附属学校園に働く者としてまた高等教育の充実・発展を望む国民の一員として、次のことを要望します。
 
1.われわれの意見や願いをよく聞いて真の大学改革をすすめていくことを訴えてください。
 すでにご存知のとおり、4月3日の国立大学長・大学共同利用機関長等会議における文部科学大臣あいさつでは、 
「今後、我が省といたしましては、今回の報告書を重く受け止め、その内容に沿って、制度の具体化を図ってまいりたいと考えております。もちろん、その際には、引き続き皆様のご意見を十分お聴きしながら、作業を進めてまいる所存です。」
とされております。
 しかしながら、国立大学長のなかには、
「国の方針であり止むを得ない。法案化の段階で大学の裁量、大学の自主性・自立性の余地が残されることを期待している。(調査検討会議で)国大協の委員は『公務員型』を主張したが少数で受け入れられなかった。非公務員型になっても、従来の身分保障は貫かれる。、、、、、、止むを得ない。」
との発言があることも伝えられております。
 貴職が勇気をもって、おかしいところをおかしいと発言されることを、われわれは強く支持するものです。大学構成員一人ひとりの思いや願いをよく聞いて改革をすすめることを訴えてください。
 
2.学生の願いをよく理解して改革をすすめる必要性を訴えてください。
ご存知のように、欧米では大学の大半が国立・州立で、例外的に日本だけが圧倒的に私立大学が多い状況です。そして、大学予算の対GNP比も欧米と比べて著しく少ないことが度々指摘されています。
 こうした状況を放置したまま大学を法人化することは財政基盤の弱体化につながり、ひいては授業料の値上げや学生へのサービス低下が起きると危惧されます。
 すでに法人化された機関では、国家予算のやり繰りがつかないために中期計画で約束された運営費交付金が年度によっては減額になったり、交付金の次年度への繰り越しが認められないため中期計画期間のトータルでは予定より少額になったりすることなどが起きているそうです。
 文部科学省ホームページ内の『国立大学の構造改革の方針に関するQ&A』では、
「教育の機会均等の実現という国立大学の役割を踏まえれば、法人化後も自ら適切な授業料の設定がなされるべきものと考えており、文部科学省としても、各大学の努力を求めていくこととしています。」
とされています。
 折しも育英事業の「見直し」が実施され、高等教育を受けるうえの不平等感が広がっています。勉学・研究の功は意欲の高さだけでは成しえません。「文部科学省としても、各大学の努力を求めていく」とする文科省の方針をどう受け止めていくのか。国大協がこのことをよく踏まえていくことをはたらきかけてください。
 
3.大学の自治と民主化がすすむ改革を訴えてください。
 調査検討会議の『最終報告』が示すしくみには、文部科学大臣が中期目標を定めることや、役員会・運営協議会・評議会からなる運営組織を導入することなどが示されています。
 ご存知のように、「中期目標」については、文部科学大臣答弁や国立学校財務センター報告書でも他国に例がないとされています。また、「運営協議会・役員会」についても、14日付の朝日新聞・『独立行政法人−役員、9割・80人増える。9割天下り・横滑り』が報じるとおり、文部科学省などからの天下りの受け皿になりうることは明らかです。
 これらについては、多くの識者が、大学の教学にたいして行政がこれほど強い権限をもつしくみは世界的に異例であると批判しています。
 勤務条件から言っても、総定員は増えないのですから「役員」などが新設されると他者の労動はいっそう過重になります。給与総額についても、文部科学省が今の水準を越える総枠を認めるとはほとんど考えられないとされる中で、「役員」など高額給与者が増え、他者へのしわ寄せが起きると予想されます。
そ のうえ、「非公務員型」では教育公務員特例法が適用されず、免職・解雇についても「運営協議会・役員会」に大きな権限が生じます。わたしたちは、これまでの活動の中で、教育公務員特例法が適用されない私立大学での悪質な配転・解雇の実態を目の当たりにしてきました。
 こんな非民主的な改革があるでしょうか。
 
 大学の自治と学問の自由を高め国民のための高等教育・研究をすすめるために、また、すべての大学構成員のくらしと労働を守るために、臨時総会において『最終報告』を批判し、拒否するためのはたらきかけをしてください。
わたしたちは、貴職のそうしたとりくみを期待し、強く支持するものです。