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☆総合科学技術会議(第17回)平成14年 4月23日(火)配付資料
 
[he-forum 3880] 第16回総合科学技術会議議事録(案)抜粋.
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総合科学技術会議(第17回)平成14年 4月23日(火)配付資料
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu17/siryo7.pdf より抜粋

第16回総合科学技術会議議事録(案)

1.日時平成14年3月28日(木) 16時45分〜17時35分
2.場所総理官邸大食堂
3.出席者
議長小泉純一郎内閣総理大臣
議員尾身幸次科学技術政策担当大臣
同塩川正十郎財務大臣
同遠山敦子文部科学大臣
同平沼赳夫経済産業大臣
同吉川弘之日本学術会議会長
同石井紫郎
同井村裕夫
同黒田玲子
同桑原洋
同白川英樹
同松本和子
同吉野浩行
(臨時)
議員坂口力厚生労働大臣(代理宮路和明厚生労働副大臣)
同武部勤農林水産大臣
同大木浩環境大臣
同竹中平蔵経済財政政策担当大臣

4.議事
(1)科学技術を中心とした経済の活性化方策について
(2)国立大学の改革について
(3)競争的資金制度の改革について
(4)最近の科学技術の動向について(宇宙開発利用の動向等)
(5)その他
(配付資料)
資料1 科学技術を中心とした経済の活性化方策について
資料2−1 新しい「国立大学法人」制度の概要
資料2−2 新しい「国立大学法人」像について
資料3 競争的資金制度改革プロジェクトについて
資料4−1 宇宙開発利用の動向(月例科学技術報告)
資料4−2 ヒトES細胞の樹立計画について(月例科学技術報告)
資料5 宇宙3機関の統合について
資料6 第15回総合科学技術会議議事録(案)

5.議事概要
・・・・・
(2)国立大学の改革について

【尾身議員】

議題2に入らせていただきます。最初に遠山議員から、先般、文部科学省にお
いてとりまとめられました、「新しい国立大学法人像」についての御報告をお
願いいたします。

【遠山議員】

国立大学の法人化につきましては、平成12年12月に閣議決定がございまし
て、大学等の自主性を尊重しつつ、大学改革等の一環として検討するというこ
とで、平成13年度中に有識者等による専門的な調査検討の結果を整理すると
いう決定がございました。これに基づきまして、我が省におきまして、国立大
学の関係者のほかに、公私立大学あるいは経済界、言論界など幅広い分野から
有識者の御参加を得まして、調査検討会議を設けて検討を行ってきたところで
ございます。

国立大学、その前身を見ますと、帝国大学までさかのぼるわけですが、非常に
長い歴史を持っている日本の国立大学にとって、設置形態を変えるという大変
大事な時期に差し掛かったわけでございます。

その調査検討会議におきましては、国立大学を法人化する場合の制度の在り方
につきまして、組織、業務、人事、財務など、多岐にわたる課題があるわけで
ございますが、そのテーマ別の4つの委員会を設けまして、延べ50回に及ぶ
精力的な議論が行われた結果、一昨日の26日に最終報告がとりまとめられた
ところでございます。

それは、資料2−2にございますが、大変分厚いものでございますので、また
後にごらんいただきたいと思いますが、これを要約したものが資料2−1にご
ざいます。それを簡単に御説明いたしますと、まず国立大学につきまして、法
人化する場合に、大学ごとに法人化する、これまで国の行政組織の一部であり
ましたのを、各大学に法人格を与えていくということによって、自立的な運営
を確保していく、そして各大学の切磋琢磨によって、国際競争力の育成を図る
ということを目的といたしております。

そして、2と3をまとめて申しますと、学外者に役員等として参画してもらう
とともに、役員会によるトップマネジメントを導入することによりまして、透
明で機動的かつ戦略的な大学運営を実現してもらうということでございます。

教職員の身分を非公務員型とする、これはいろいろな議論がございまして、最
も難しい課題でございましたけれども、一応今のところ集約をいたしました。
教員につきましては、ある程度非公務員型によるメリットを理解していただい
ているわけでございますが、事務職員につきましては、なかなか難しい面がご
ざいますが、しかし今回いただいた調査結果報告を基に、これを実現していか
なければならないと思っております。これによって、各教職員の努力と実績に
応じた処遇の実現、あるいは産学官連携など、教員の多彩な活動を活発化させ
ていきたいと考えおります。

最後に、第三者評価の導入によりまして、事後チェック方式に移行することに
よって、各大学の個性に応じて、その努力や実績が適切に評価されて、国立大
学の個性的な発展が図れること、皆同じというような生き方ではなくて、特色
を持って、特色があることによって存在の意味があるという形にしていかなく
てはならないと思っております。こういったことを、新しい国立大学法人制度
の柱として考えているところでございます。

これは余りよく知られていないことでございますが、そもそも欧米諸国におき
ましては、国立大学とか州立大学を含めまして、大学には独立した法人格が付
与されているわけでございます。イギリスについても、フランスについてもそ
うでございます。そういうふうな一般的な状況がございます。このために、国
立大学の法人化の問題は、既に昭和46年の中央教育審議会答申、いわゆる4
6答申の中、あるいは昭和52年の臨時教育審議会答申でも取り上げられてま
いったわけでございますが、いかにもドラスティックな大きな変化ということ
で、なかなかこれまで実現ができなかったわけでございますが、法人化は長年
の課題となってきたというのも一つの事実でございます。

同時に、今日日本の経済財政状況が低迷を続けて、社会全体が決して明るくな
い状況でございまして、こんな中、大学、取り分け国立大学に対しましては、
社会の活性化の源泉となる知の拠点として、大変大きな期待が寄せられている
ところでございます。そんな意味から、国立大学の改革と新生を目指して今回
の報告書は描かれたわけでございまして、私としては日本の大学制度の歴史の
中で、一大転換点であると考えてございまして、その意義は大変大きいのと同
時に、担当大臣としての責任の重さを痛感しているところでございます。

今回の設置形態の変換は、単に国立大学の大きな変化というだけではなくて、
公私立大学も含めた、日本の大学の在り方を今後よい方向に導く契機としたい
と考えているわけでございます。

今後、この最終報告におきます提言の具体化に向けて、なおさまざまな困難な
課題があると予想しておりますけれども、各方面の御協力を得ながら、大学関
係者との共同作業により、よい制度づくりを目指してまいる所存でございます
ので、今後とも御指導と御協力をお願いしたいと思います。

【尾身議員】
ありがとうございました。ただいまの説明も含めまして、国立大学改革全般に
つきまして、御意見等ございますか。

【塩川議員】
先ほど説明いただきましたので、よくわかったんですけれども、27ページの
ところの「身分」ですが、公務員型と非公務員型と出ていますね。公務員型で
はなくて、非公務員型に決定したということですね。

【遠山議員】
そうです。

【塩川議員】
それは大変御苦労様でした、これは一番の問題だったんです。ありがとうござ
いました。その代わり、給料をうんと上げてください。契約雇用にして、給料
を上げれば、いいのが来ますよ。

【遠山議員】
実績に応じて給与を出せるようにして、外国の研究者も学長になれるようにす
ると。

【塩川議員】
私が文部大臣のときにこれをやりたくてできなかったです。本当にありがとう
ございました。

【遠山議員】
これは、私の力ではございませんで、時代の力でございます。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
明治時代には結構外国人を入れているんですね。

【遠山議員】
そうですね。

【尾身議員】

ほかにございますでしょうか。それでは、この国立大学の改革につきましては、
科学技術振興の観点からも大変重要な問題でございまして、ただいまの御意見
等も踏まえまして、総合科学技術会議といたしましても、科学技術振興の観点
から論議を深め、その内容につきまして文部科学省とも適宜相談をさせていた
だき、また我々の意見をお伝えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い
を申し上げます。

────────────────────
(3)競争的資金制度の改革について
【尾身議員】

議題3に移ります。研究開発活動の活性化を図る、競争的資金につきましては、
平成12年度の約3,000億円を5年間の間に約6,000億円に倍増する方針で、こ
の部分を大いに増やしたいというのが、総合科学技術会議の基本的な考え方で
ございます。

しかし、一方でより効果を発揮するための制度改革も不可欠でありますので、
本件につきまして井村議員から御説明をお願いいたします。

【井村議員】

ただいま尾身大臣がお話になりましたように、科学技術基本計画を受けて、年々
競争的資金を増やしていただいており、それによって大学等の研究が活性化し
ていることは、大変うれしいことであります。それでも、アメリカに比べます
と、まだ約10分の1の状況です。しかしながら、この研究投資の効果を最大
限有効に発揮できるようにする必要がありますし、またこれによって大学の競
争的な研究開発環境をつくっていくということも重要であります。そのために、
科学技術システム改革専門調査会の下に、競争的資金制度改革プロジェクトを
設けて、集中的に審議し、6月ごろまでに改革案の中間まとめをしたいと考え
ております。

お手元の資料3の2枚目に検討課題の例を挙げております。1番目に、競争的
な研究開発環境を実現するための制度的な枠組みがいいのかどうか、特にアメ
リカとかイギリス等の制度を参考にしながら検討をしたいと思っております。
2番目に、競争的資金制度の運用方法の改善、ここでもいろいろな問題があろ
うかと思います。3番目には、公正な評価システムの導入であります。研究費
を増やしていただければいただくほど、評価をきっちりするということが、社
会に対する説明責任であろうと思います。4番目には、総合科学技術会議にお
きまして、競争的資金制度の各府省要求分をどのように調整していくのかとい
うことも重要であろうと思っております。

そういったことについて検討するためにプロジェクトを設けます。4ページ目
にこのプロジェクトの専門委員の名前が出ておりますが、多くの方々がアメリ
カでかなり長く研究をされて、アメリカの状況をよく知っておられる方々でご
ざいます。以上です。

【尾身議員】
ただいまの説明につきまして、なにか御意見等ございますでしょうか。

【遠山議員】
競争的資金につきましては、我が省としましても、制度の目的・役割を明確化
すること、研究評価の充実をすること、間接経費の拡充、更には当省所管の特
殊法人におきまして、研究経歴のある者などによる、高いレベルの責任体制の
構築など、各制度の特色において改革を図ってきているところでございます。

一方で、研究者の自由な発想による基礎研究を推進する観点からは、萌芽的な
研究を含めまして、研究の多様性を保障することが必要でございます。申すま
でもないと思いますが、競争的資金の改革に当たりましては、次の点について
十分配慮していく必要があると考えております。

1つ目は、大学におきます基盤的な研究資金が重要でございまして、競争的資
金との二本立ての仕組み、いわゆるデュアルサポートシステムを堅持する必要
があると思います。

2つ目は、総合科学技術会議による全体調整に際しましては、ボトムアップ型
の研究費につきまして、研究者コミュニティーの自立性を保障することが大事
だと思います。

3つ目は、人文社会科学から自然科学まで、多様な研究分野や研究ニーズに応
じた、多様な競争的資金、これは研究段階に応じて金額もいろいろな段階があ
るわけでございますし、そこの多様性を確保していただきたいと思っておりま
す。

文部科学省としましては、このような認識に立って、本来の優れた研究が推進
されるために、十分支援してまいりたいと思います。

今、日本の大学は相当変化してまいっておりまして、アメリカに行かれました
研究者が、かつての日本の大学の講座制とか、いろいろな問題を提起されたと
しても、これを前提の上に御議論だけをされないように、お願いをいたしたい
と存じます。

【井村議員】

競争的資金のおよそ2分の1が文部省の科学研究費補助金でありまして、これ
が最も重要な部分を占めていると思います。科学研究費補助金につきましては、
既に科学技術会議の時代から、科学研究費補助金を担当する委員の方々と、繰
り返し議論をしてきておりまして、既にかなりの程度の改革がなされていると
思いますけれども、日本全体の競争的資金をながめて、どういうところにこれ
からより効率化するための改革が必要なのかということを議論していきたいと
考えております。

【尾身議員】
それでは、ただいまの御意見も踏まえまして、6月の中間とりまとめに向けた
検討をいたします。この問題は大学の在り方等とも関係をいたしておりますし、
それからアメリカのシステムをよくわかった人を委員にお願いしておりますの
で、調査結果がまとまりましたら、あるいはその中間におきましても、必要に
応じてこの総合科学技術会議でお話をさせていただいて、日本全体の研究開発
の活性化に資するような形での改革を進めてまいりたいと思いますで、どうぞ
よろしくお願いを申し上げます。

・・・・・

【尾身議員】
それでは、総理から御発言をお願いいたします。

【小泉議長(内閣総理大臣)】

今日は、いろいろ熱心な議論をありがとうございます。科学技術を中心とした
経済の活性化方策、国立大学の改革、競争的資金制度の改革、いずれも重要問
題でありますので、今後とも積極的な、またしっかりとした検討をお願いした
いと思います。

環境と経済、これにとっても科学技術が大きなかぎでございますで、今後とも
ひとつよろしくお願いしたいと思います。

今日はありがとうございました。

【尾身議員】
では、以上を持ちまして、本日の総合科学技術会議を終了いたします。
ありがとうございました。
− 以上−