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☆新大学院大学構想 「国際的な場」の形成を
 
.[he-forum 3876] 沖縄タイムス社説04/26
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『沖縄タイムス』社説  2002年4月26日付

新大学院大学構想 「国際的な場」の形成を


 自然科学系の沖縄新大学院大学構想がとんとん拍子に具体化している。予想
を上回るスピードだ。

 尾身幸次内閣府沖縄担当相が大学院大学の設置を打ち出したのは、昨年六月
だった。八月には、有識者による検討会(有馬朗人座長)がスタートした。

 内閣府は今年三月、沖縄振興局総務課の中に、「沖縄新大学院大学企画推進
室」を設置し、政府プロジェクトとして取り組む体制を整えた。

 二十六、二十七の両日には、ロサンゼルスで、複数のノーベル賞受賞者を交
えた第一回国際顧問会議を開くという。

 大学院大学は、学部を持たない独立系大学院のことである。

 沖縄新大学院大学は、国立大学の独立法人化に向けたモデルケースと位置付
けられており、教授陣も法人との雇用契約による「非公務員型」にする計画だ。

 尾身沖縄相によると、教授二百人、技術・事務職員三百人、学生五百人の規
模を想定しているという。建設費は約八百億円、年間の運営経費は約二百億円
を見積もっている。

 二〇〇六年九月の開学を目指すというから、候補地の選定も意外と早く進む
かもしれない。

 自然科学系の大学院大学の設置は、新沖縄振興計画の大きな目玉だと言って
いい。

 「世界最高水準を目指す」という尾身沖縄相の意気込みが実現し、世界各地
から教授や学生を呼び込むことができれば、有形無形の波及効果は計り知れな
い。

 だが、単に場所を提供するだけでは、その効果も半減せざるを得ないだろう。

 政府や県はこの際、大学院大学を核にした新たな沖縄像を練ってはどうだろ
うか。

 沖縄を「自然科学、環境科学の国際的な研究施設が集中する場」として整備
し、世界から研究者を集めるのである。

 サンゴ、マングローブ、ヤンバルの森の動植物、西表の原生林、ジュゴン、
海洋科学、台風―。沖縄には、ここにしかないというテーマがごろごろ転がっ
ている。

 新しい振興計画の中で、そういう方向付けをして、積極的に研究環境の整備
や人材育成などに取り組んでいけば、決して夢物語ではない、と思う。

 過熱する一方の誘致合戦は、今のところ、誘致した後どうするという計画を
ほとんど持っていない。

 従来のような「ハコモノ誘致」とは異なる発想が必要だ。