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宮大・宮医大統合  新生大学に本県活力を期待 
 
[he-forum 3864] 宮崎日日新聞社説04/13.
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『宮崎日日新聞』社説  2002年4月13日付

宮大・宮医大統合  

新生大学に本県活力を期待


 宮崎大学と宮崎医科大学が統合後の新生大学の理念について合意した。理念
は統合問題協議会の中間答申に沿っているものの、宮医大前学長の「森満私案」
の生命科学分野の充実もうたわれており、これで両大学統合への足並みがそろっ
たといえよう。

 小泉改革に連動し、文部科学省が昨年六月に打ち出した「大学の構造改革方
針」(遠山プラン)により、九州内でも大分大と大分医大など三組六校が統合
で既に合意書に調印している。

 宮大と宮医大の統合も、詰めの作業が急ピッチで進むに違いない。新生大学
が本県の高等教育の拠点となり、地域社会に根差した学府になることへの県民
の期待は大きいものがある。

☆生命科学の研究科も

 合意された理念の前文は「学術、文化に関する知的遺産の継承と発展、学理
の探求、地球環境保全、人類の福祉と繁栄に資する学際的な生命科学の創造を
志向。変動する多様な社会の要請にこたえうる人材の育成を使命とする」など
となっている。森満私案で示されていた「生命科学に特化した国内唯一の総合
的医科大学」の考えも一部盛り込まれた内容だ。統合時期の二〇〇三年十月は
変わっていない。

 新生大学の学部は農学、教育文化、工学、医学の四部体制とし、いまの両大
学の学部がそのまま移行、新学部の再編ということにはなっていない。ただ、
大学院には森満私案を生かした形で学部横断的な生命科学分野の研究科を新設
する。さらに教養教育でも、同分野を含む新しい科目を設ける。

 新生大学は医学部を含む総合大学になるわけであり、生命科学にかかわる学
問の場が広がることは学術的、医療的にも当然であろう。生命科学のテーマは
二十一世紀にふさわしく、魅力ある大学づくりの一つにつながっていくとみて
いい。

☆理念をより具体化へ

 遠山プランを受け、全国の国立大学では統合の動きが活発になってきた。国
立大学、短大計百一校のうち、既に十四組二十八校が近隣大学との統合に合意、
八校が統合前提の懇談会を設置している。これは少子化による「大学冬の時代」
の到来を見据え、大学の構造改革で生き残りを目指していることの表れだ。

 統合は同一都県内の総合大学と単科大学の組み合わせがほとんどだ。宮大と
宮医大の統合はもともと、宮大に医学部を―という県民の悲願があったことを
考えれば、県民にとっての違和感は少ないといえよう。その意味では「一県一
国立大学」に変わりはない。

 現実的には宮大が戦後創立の五十三年、宮医大が開学二十八年というそれぞ
れの歴史をかかえてきたことは確かである。だが、本県の高等教育機関の拠点
としての役割をいかに果たすのか、二十一世紀を背負う人材養成、高度な学術
研究の成果などを目指すにはどうすればいいのか。今回の理念をより具体化し、
新生大学の自主性と自律性を自ら確立する必要がある。

 本県の大学、短大などの高等教育の将来の在り方は新生大学にかかっている
と言っていい。十三の高等教育機関を結ぶ大学連携協力協定が大筋で合意され
ている。県は両大学の統合を高等教育機関の充実の第一歩にしなければならな
い。

 両大学の統合を本県の活力につなげたい。地方大学だからこそ、果たさなけ
ればならない使命があるはずだ。