トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

☆【統合新大学】県民に見える魅力を
 
.[he-forum 3863] 高知新聞社説04/22
---------------------------------------------------------------

『高知新聞』社説  2002年4月22日付

【統合新大学】県民に見える魅力を


 先に教育、研究の発展という共通目標があり、その手段として組織を再編成
する―これが大学統合の通常の手順だろう。

 高知大と高知医大が来年十月に統合することで正式合意した。二国立大の再
編、新大学設立は、本来なら強いインパクトがあるはずなのに、そうした印象
が薄いのは、はじめに統合ありき、の国主導のやり方と無縁ではないだろう。

 統合が単なる寄せ集めでは意味がない。両大学の伝統と個性を生かしながら、
本県に根差した、新世紀にふさわしい教育と研究の在り方を明示してもらいた
い。

 「教育は国家百年の大計」「大学の自治」という言葉が空疎に響くほど、大
学統合計画は文部科学省主導で急ピッチで進行した。

 遠山文科相が「国立大学の再編・統合を大胆に進める」との遠山プランを発
表したのは昨年六月だった。いわゆる小泉改革に沿ったものだったが、全体構
想や各大学の統合案策定期日は文科省が設定し、大学側の裁量権は大きな制約
を受けていた。

 例えば医科大などの単科大は、他大学との統合方針が文科省から示され、い
くつかの医科大が連携する大学側の医大連合構想に対しては否定的な見解が出
されていた。

 計画の段階で高知医大の選択肢は限られていた。大学の独立行政法人化を視
野に、新たな大学像を模索していた高知大と方向性が一致したのが、両大学統
合の背景であろう。

 走りながら考える、といった方法論は、大学の本質を考えると強い違和感を
覚える。しかし、「大学の自治」とは裏腹に、骨格部分は旧文部省が関与して
きた地方大学の実情を思うと、こうした手法が強行される恐れはあった。残念
なことだ。

 統合が現実問題となった以上は、統合の成果が県民にも目に見えるように、
教育、研究内容を創造、発展させるしかない。

 両大学はこれから五月上旬にかけて基本計画を詰め、中身を具体化させると
いう。

 これまでのところ共有領域のある生命科学などの分野で研究を進める構想が
出ている。

 しかし、これだけでは統合新大学のイメージは描きにくい。高齢社会など本
県の課題に対応する共同研究はどこまで可能なのか、教育科目はどう変わるか、
といった点について魅力ある計画を提示してほしい。

 受け身だった統合で、今度は主体性と創造性が問われている。