☆国大協、法人化を了承 国立大、2004年移行へ 異例の挙手採決
[he-forum 3838] 日本経済新聞04/20.
---------------------------------------------------------------
『日本経済新聞』2002年4月20日付
国大協、法人化を了承
国立大、2004年移行へ
異例の挙手採決
国立大学協会は十九日の臨時総会で、法人化の基本制度をまとめた文部科学
省の最終報告を賛成多数で了承した。長尾真国大協会長(京大学長)は「今回
まとまった法人像は二十一世紀の国際的競争環境下で国立大学の進むべき方向
としておおむね同意できる」とのコメントを発表した。国立大は二〇〇四年を
メドに法人化に向け改革に踏み出す。
総会では地域間格差や現状での経営体力の格差などを巡り、地方大学から不
安の声が多く出た。また、予算配分システムの根本ともなる各大学が策定した
中期計画を「文部大臣が認可する」としている点について、大学自治の観点か
ら疑問視する声もあった。
競争原理の導入を評価し、賛成を表明する学長もいたが、意見を表明するの
は反対する学長が多かった。このため、全会一致が原則の国大協としては異例
の挙手裁決を実施、賛成多数で国立大学法人への移行を了承した。
総会後、記者会見した長尾会長は「国立大全体が法人化を決心したことは大
きい。自分の大学を光輝くものにすべく全教員が団結して頑張るスタートポイ
ントだと思う」と意義を強調した。
国大協は同日、法人化移行に向けた特別委員会を設けることを決定。各大学
に移行のガイドラインを示すほか、新法人の設置根拠となる新法の内容につい
ても検討する。
「格差なお」地方に不安
国大協臨時総会の各大学の意見表明では、地方の大学から「非公務員型」の
身分への不安の声が上がったほか、地域間格差への強い懸念が示された。改革
を支持する大学は「このままでは大学は衰退するだけ」と訴え、現状への強い
危機意識がうかがわれた。
「非公務員型」への不安の声を上げたのは福井大。「産学連携など兼職が可
能という理由は教員なら分かるが、職員まで引きずり込むのは納得できない」
と強く訴えた。
宇都宮大は「長い歴史の中でも地方大は旧帝大との格差に耐えてきた」と指
摘。「旧帝大は自由度が増すかもしれないが、地方はバラ色とは思えない」と
地力の違いがある中での移行に不安を隠さなかった。
地域間格差への懸念は賛成派にも根強く、「やらざるをえない」とした弘前
大も、「今後の法人化特別委で格差問題を取り上げて」と条件を付けた。業績
に応じた予算配分の基となる第三者評価について「合理的評価方法の確立には
時間がかかる」(新潟大)との指摘もあった。
一方、山梨医科大との統合を予定している山梨大は「宝物は新しいことをや
る中にある。それを避けていては何も得られない」と意義を強調した。