☆単独存続目指す静岡大学教育学部 生き残りをかけ組織改革に着手
[he-forum 3835] 朝日新聞静岡版04/19.
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『朝日新聞』(静岡版)2002年4月19日付朝刊
単独存続目指す静岡大学教育学部
生き残りをかけ組織改革に着手
国立の教員養成大学・学部の再編統合の動きが進む中、単独存続を目指す静
岡大学教育学部は、生き残りをかけた組織改革を検討・実施する3委員会を発
足させた。地域との交流は4月から強化、カリキュラム改編なども早ければ来
年度に実施し、再編統合の波を乗り切る考えだ。
三つの委員会設置/地域との連携強化/カリキュラム改編
3月末の教授会で、質の高い教員養成のため学部改革を検討する2委員会と、
地域との連携を強化する1委員会が発足した。統合相手として可能性を残して
いた愛知教育大や横浜国立大、山梨大の教員養成課程に対しては、単独存続の
意向を伝え、すでに交渉をやめている。
改革の中心となる教員養成カリキュラム委員会は、不登校や学級崩壊など、
深刻化する教育問題に対応できる教師を育てるカリキュラムを検討する。在学
中に児童・生徒の心のケアについて学ぶようにするのが目的だ。
学部全体の単位認定を厳しくし、教師としての資質を備えた学生でないと卒
業できないようにすることも考えている。
県西部の外国人児童の就学問題調査などもさらに進め、解決法を見いだせる
よう研究にも力を入れる。新しい教育問題への対応や、地域の特色あるカリキ
ュラム編成は、文部科学省の懇談会が示した改革の柱の一つだ。
もう一つの総合業績評価起案委員会では、学生に授業を教える教官側の意識
改革のため、評価方法を改善する。これまでの研究成果を中心とする評価を改
め、講義や学生への指導法を考慮して、教官の教育意欲を高める方向だ。
地域交流推進委員会は、地域の学校との交流を組織化することで、連携を強
化する。今月から専門の窓口を設置した。
これまでも学生が県内の公立小中学校などに出向き、課外活動や学校行事を
補助してきたが、交流の回数や内容を充実させる。子どもたちの相談に乗った
り、話し相手になったりするほか、人手が足りないときの補助要員として、学
校側から派遣の要請が多かった。
学生にとっても、早くから教育現場で子どもたちに触れる機会が増やせる。
地域交流推進委員会は4月から実施。ほかの二つの委員会は改革案を検討し、
半年から1年後をめどに結論を出す予定だ。同大の金井省二教育学部長は、
「学部内の教育体制がしっかりすれば、単独存続は可能だと思う。再編統合や
法人化の荒波の中でも生き残れるよう、組織改革を推進したい」としている。