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独行法反対首都圏ネットワーク

☆名古屋大学職員組合/総長への要望
 
.[he-forum 3782] 名古屋大学職員組合/総長への要望
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高等教育フォーラムの皆さま

名古屋大学職員組合のホームページで、下記の pdf ファイルを見つけましたので、テキスト化し、紹介します。  小林@名大

文部科学省報告『新しい「国立大学法人像」について』に対する総長への要望 -- 2002.4.11
http://nuufs.org/Pdf-file/Kumiai/Youbou28-2.pdf


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名古屋大学総長
松尾 稔 殿
                              2002年4月11日

                               名古屋大学職員組合
                                 中央執行委員会

                   要 望 書

 私たち名古屋大学職員組合は、国立大学協会理事会(4月12 日)及び臨時総会(4月19
日)において、貴職が、「学問の自由」「大学の自治」を擁護し大学人の良識を持って、
文部科学省報告『新しい「国立大学法人像」について』に反対の意見表明をするよう、強
く要望する。

<趣旨>
1.国立大学の「法人化」をめぐる情勢は重大な局面を迎えています。文部科学省は、3
月26日に提出された調査検討会議『最終報告』をうけて、年度内には「国立大学法人法
案」(仮称)の作成・国会提出をめざしているとされています。これに対して、国立大学
協会は、設置形態特別委員会が4月1日、『最終報告』を了承するとともに、今後は「法
人」の細部にわたる制度設計について国大協と協議するよう文科省に求める見解を発表し
ました。あす開かれる国大協理事会では、ほぼこの立場に沿って『最終報告』が了承され、
さらに19 日の国大協臨時総会において、『最終報告』に対する国立大学側の態度が決定
されようとしています。

2.『最終報告』は、私たちがこれまで繰り返し指摘してきたように、・独立行政法人通
則法そのままの法人化には反対とする1997 年当時の文部省見解をみずから投げ捨て、独
立行政法人制度の基本的な枠組みをほとんど採り入れた「法人化」であること、・教職員
の身分は公務員とする型の法人化であるとする99 年当時の文部省見解を踏みにじり、教
職員の非公務員化と教育公務員特例法の適用を排除する型の「法人化」であること、・国
大協が繰り返し求めてきた教学と経営の一体性という大学の生命線を断ち切る、教学・経
営分離型の「法人化」であり、そして「役員会」などの構成の面で大幅な「学外者」=文
科省や産業界の介入を認める「法人化」であること、・学内民主主義の最低線と言える、
教員の一人一票投票による総長選挙という制度の全くの形骸化(事実上の廃止)を強制す
る「法人化」であること、・"国際競争力のある高度な研究"への偏りや、文科省による"
資源配分と直結した第三者評価"のしくみによって学問の自由が侵され、教職員の定員削
減・低賃金化、院生学生の教育学習の荒廃を招くおそれが大きい「法人化」であることな
ど、国立大学の良さが全く失われてしまい、大学が大学でなくなってしまう内容をもつも
のであり、私たちは決して認めることができません。

3.また、昨年9月に発表された『中間報告』とこの『最終報告』を比較すれば、「法人
化」が国大協側の要望から遠ざかるばかりであることは明らかです。法案作成の場面では、
国大協の関与はますます小さくなるのですから、『最終報告』よりさらに後退した法案が
作られてしまう危険が高いといえます。国大協としては、現時点で『最終報告』に明確に
反対の意思表明することでこそ、法案作成に影響力を与えることが可能になるのではない
でしょうか。

4.この『最終報告』に対しては、国大協の内部でも、大都市部大規模大学を除くと、多
くの学長から批判・懸念の声が上がっています。設置形態特別委の先ごろの見解には、文
科省による法案づくりにいかに国立大学が不安を感じているかが如実に反映されています。
こうした状況の中で、国大協総会で『最終報告』の了承を強行するとすれば、国大協内部
の亀裂・分裂を招いてしまうおそれがあります。

5.この『最終報告』対しては、私立大学の教職員からも反対の声が上がっています(3
月2日、愛知教育シンポジウム「大学を国民の手に」)。それは、国立大学の教職員に適用
されてきた教特法が排除されることで、連鎖的に、公立・私立大学の教職員の雇用・待遇
が悪化するおそれが強いからです。

6.こうした状況を充分にご勘案の上、貴職には、あすの国大協理事会および19 日の臨
時総会の場において、『最終報告』に対して、反対の意思表明をされることを、私たちは
強く要望するものです。国大協の副会長としての発言は重いものと推察します。

7.なお、貴職は、5月2日にこの件について全学説明会を開催するとしていますが、そ
の場で、貴職の、数年間の文科省調査検討会議・国大協などでの活動についての結果責任、
および今回の理事会・臨時総会の場で貴職がどのようなお考えで、かつどのような立場を
取られてきたのか、明確なご説明をお願いします。

以上