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☆統合新大学は5学部6研究科 海洋研究の大学院設置
 
.[he-forum 3764] 高知新聞04/10
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『高知新聞』2002年4月10日付

統合新大学は5学部6研究科 海洋研究の大学院設置


 高知大学(山本晋平学長)と高知医科大学(池田久男学長)は九日、十五年
十月に統合を予定している新大学の基本計画案を発表した。現在の両大学の学
部や大学院は、存廃が懸案となっている教育学部を含めほぼそのまま継承。大
学院黒潮圏海洋科学研究科(博士課程後期)を新設し、地域性を生かした海洋
研究を文理両面から展開する。また教官に任期制を導入する方向性も打ち出し
た。

 基本計画案はこの日、高知市曙町二丁目の高知大で開かれた両大学の統合協
議会で審議(非公開)して決定。両学長が記者会見して概要を説明した。

 新大学の教育・研究組織は、学部が人文、教育、理、農、医の五学部。大学
院が人文社会科学、教育学、理学、農学、医学系、黒潮圏海洋科学の六研究科。

 黒潮圏海洋科学研究科は、黒潮の恵みを受ける東アジアの自然・経済・文化
を生物学、水産学、民族学などさまざまな分野から研究。山本学長は「医大で
海洋深層水関連の研究をしている研究者に参加してもらうなど、両大学で協力
しながら総合的に進めていきたい」と話す。

 また医学系研究科には、四国初の医科学の修士課程を設け、農学や理学、薬
学分野などから学生を受け入れる。南国市の農学部キャンパスに大型施設を建
設する海洋コア研究センターは、全国の研究機関の共同利用施設に高度化する。

 また教官の任期制は助手以上の全教官が対象で今後、導入を前提に協議を進
める。新大学の名称は早ければ今夏にも決定する見通し。基本計画案がまとまっ
たことで、両大学は月内にも統合の合意書を正式に交わす。

 【写真】新大学の基本計画案を決めた統合協議会(高知市曙町2丁目の高知
大)

 正念場はこれから 地域との信頼構築不可欠

 【解説】高知大と高知医大が発表した基本計画案は、新大学に最も求められ
ている「個性」が見えにくい。本格的な組織編成は統合後に行われる公算が極
めて大きく、肝心の大学の特色づくりを先延ばしした感が否めない。

 両大が十五年十月に統合するには、組織の改編を十五年度予算の概算要求に
乗せる必要がある。タイムリミットは六月だが、統合協議が始まったのは昨年
十月。当初からじっくり論議するゆとりはなかった。三月下旬、基本計画案の
説明に文部科学省に出向いた両大学の幹部は、係官から「他県にない特徴を」
「学生や地域のニーズを計画に」「両大学が協力して教育研究する新領域の検
討」などを指摘されたという。

 同省は以前から、大学統合について、学部や大学院の大胆な改編と大学が持
ち味を生かした特色づくりを要請。本県の新大学も、統合時点はやむを得ない
にせよ、十六年度以降に組織の再編成を余儀なくされそうだ。

 その際の鍵となるのは、やはり教育学部の存廃。高知大は廃止の場合も同学
部の機能や伝統は引き継ぎたい考えで、存続か廃止かで、その他の組織の在り
方も大きく変わるからだ。

 しかし、教員養成系大学・学部の再編・統合論議は全国で進んでおり、両大
学だけで結論が出せる問題ではない。地域にも十分な理解を得ることが求めら
れており、問題を一層複雑にしている。

 いずれにしても新大学づくりの正念場はこれから。十六年度には独立行政法
人化も予想され、環境はますます厳しくなる。地域との協力や信頼関係の構築
も不可欠だ。 その意味でも両大学はまず、基本計画案と今後の再編の在り方
を地域に積極的に説明し、その意見を集約していくことが求められる。(社会
部・高橋誠)

 両大学が統合準備事務室設置

 高知大と高知医科大は高知市曙町二丁目の高知大教育学部棟に「統合準備事
務室」を設置。九日、両大学長らが事務室の看板を掲げた。

 同事務室は統合に向けた事務作業を担う。スタッフは六人で、両大学から三
人ずつ事務官が派遣され、このうち四人が実務を担当。

 当面は十五年度予算の概算要求に向けた作業が中心になる。