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☆本田昂医薬大副学長寄稿 「偉大な飛躍に向けて」
 
.[he-forum 3711]『北日本新聞』2002年3月31日付
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『北日本新聞』2002年3月31日付

本田昂医薬大副学長寄稿 「偉大な飛躍に向けて」

 地域との連携強化を 生活に役立つ機関へ 

 本学と富山大、高岡短大で再編統合の推進に関する合意が二十六日、得られ
た。問題提起から七カ月、「三本の矢」はいよいよ具体策の検討に入る。三十
余年前、初の月面着陸を果たしたアームストロング船長の言葉に例えるなら、
合意は「小さな一歩」かもしれないが「偉大な飛躍」のための確かな一歩だ。

 その一方「まだまだ紆余(うよ)曲折がある」といった声もある。難航した
七カ月間を顧みると、今後の調整、協議を楽観視できない。

 伝統や特色、運営方法の異なる組織を総合するのは容易でない。組織内、組
織間の調整や協議だけでなく、時間との闘いも加わる。三大学は平成十五年十
月の再編統合を目標とし、予算措置を念頭に置けば、今後三カ月で少なくとも
輪郭を浮き彫りにしなければならない。

 時には小異を捨て、大同につくことも求められる。だが、再編統合で最も危
ぐしなければならないのは、見切り発車することだ。十分な議論を経ないまま
「とりあえず」統合が実行に移されると、大きな禍根を残すことになりかねな
い。急がず休まずを肝に銘じ、着実に合意を得ていくことこそ、新大学が立派
な実を結ぶことにつながる。

 限られた時間で一定の輪郭を浮き彫りにするには、かすがい思案でなく、検
討項目を取捨選択し、優先順位をつけることが求められる。この観点に立てば、
地域社会との連携強化こそ最優先課題に位置付けられる。これまで地域との連
携を十分に意識し、貢献してきたのかといった自省を含め、検討を要する。

 いかに県内の高校生に魅力的な大学を作り上げるか、研究成果を地域に還元
するか、地域経済に資するかといった視点が求められる。新大学は「親方日の
丸」意識から脱却し、地域重視の姿勢を鮮明にしなければならない。同時に、
各界の理解と協力も積極的に求めていく必要がある。生命科学を中心とした大
学院の充実により、いわゆる「トップ30」を視野に入れた取り組みも必要だ。
だが、まずは地域社会の誇りとなり得る教育機関、地域の産業や生活に貢献す
る研究機関を目指すべきだ。われわれは地域に「間借り」しているわけではな
い。足腰が強くなければ飛躍は望めない。

 新大学が地域住民の期待からかけ離れたものとなっては、再編統合の意義は
半減する。これから描かれる青写真に、地域の意見や要望をできるだけ反映さ
せることこそ、「偉大な飛躍」に向けたさらなる一歩になると考える。