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独行法反対首都圏ネットワーク

☆3・22文部科学省交渉報告(全国ネット)
 
. [he-forum 3701] 全国ネット文部科学省交渉報告
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全国ネット/佐賀大学の豊島です.文部科学省「交渉」の報告です.

全国ネットでは3月25日に文部科学省の大学課の担当官と会見しました.時間はわ
ずか30分でした.その概要を全国ネット側参加者のメモにより報告します.

会見は2月1日付けで文部科学大臣宛に提出していた質問書に沿って,その各項目の回
答を求める形で行われました.また,その後明らかになった「非公務員化」の問題,
また学生・院生に関する問題を取り上げました.

以下のように,「最終報告が出ていないので分からない」という形式的な理由での回
答回避に始終しており,残念ながら中味の乏しいものでした.しかしすでに最終報告
が行われた以上,この逃げは今は不可能です.3日の学長会議で文部科学大臣に問い
ただしてもらうよう,それぞれの学長に要請して頂けませんか.(もちろん佐賀大学
の学長には要請しました.)

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文部科学省交渉報告  3月25日 本省1階会議室

出席者(敬称略)

文部科学省側
 神山  弘 (高等教育局大学課 大学改革推進室専門官)他1名
全国ネット側
 豊島 耕一 (全国ネット事務局長)他2名
国会
 廣瀬 勝芳 (山内恵子 衆議院議員 秘書)
 大島多喜子 (北川れん子 議院議員 秘書)


質問1:「国立大学法人」制度は中央省庁等改革基本法第三十六条が定義するところ
の「独立行政法人」に法律上含まれるか.

回答:最終報告は未確定であり,これがかたまらないとわからない,それをまって制
度設計をする.国立大学法人とはいうものの独立行政法人に近い形であり,それをベ
ースにするということは間違いない.

質問2:中間報告が「中期目標」と「中期計画」の制度を採用していることは,97年
10月に発表された文部大臣の所信と基本的に矛盾するのではないか.もし矛盾しない
というのであれば,その理由を明確に示し,「説明責任」を果たすべきである.

これに対しては,「所信」ではたしかに特別な限定もなく「中期目標」や「中期計画
」の方式を否定していると言われればたしかにそうかも知れないが,人によって受け
取り方が違うのではないか,というような回答でした.


質問3:「中期目標」等の期間の終了時に,業務を継続させるかどうかについて主務
大臣はどのような関与を行うのか.

これについても,質問1と同様,「わからない」というものでした.

「非公務員化」問題についてのやりとり:
全国ネット:かつて有馬文部大臣は「独立行政法人化に踏み切ったのは、公務員型だ
から」と言った.これは、文科省の公約であり、公約違反だと思うがどうか。
文科省:有馬大臣がそういうことを言ったという事実はあるのでしょう。
全国ネット:「中間報告」で両論併記になり、12月の調整検討会議でいきなり非公務
員型が打出され、最終報告に盛り込まれようとしている。どうして、職員の意見を聞
かないのか。
文科省:中間報告で意見を求めた。
全国ネット:在職の職員は生涯にわたって公務員ということで公務員になった。一方
的なやり方だ。正式に職員の意見を聞くべきだ。
文科省:正式とは?
全国ネット:大学当局が非公務員型についての職員の意向を調査し、それを文科省に
報告させることである。
文科省:それは・・・。
全国ネット:貴方にはその裁量権がないと思うので、上司に伝えて下さい。
文科省:上司には報告します。

最後に,院生の参加者から,文科省は学生をもっぱら「顧客」として扱うつもりか,
学生の「回転」を速くして利益を上げるような方向に必然的になるのではないか,産
業界に役立つ学問だけを有利にして儲からない学問が切り捨てられるのではないか,
という疑問が出されました.

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コメント(豊島)
 最終報告案はすでに公知のものとなっており,しかも翌日には最終報告そのものが
提出されるという段階にあるにもかかわらず,項目1のような,検討されている案の
基本的性格についてさえ回答がないのは全く不可解としか言いようがありません.こ
の質問は,「独立行政法人制度の下で,大学の特性に配慮しつつ,国立大学を独立行
政法人化する方向で,法令面での措置や運用面での対応など制度の内容についての具
体的な検討に」着手するとした,2000年5月26日の「調査検討会議」発足に当
たっての文部大臣の発言の効力を質しているのであり,この問題を議論する上での初
歩の初歩に属する問題です.
 「独立行政法人」制度の枠内か否か,ということは,この制度を定義する「中央省
庁等改革基本法」に縛られるのか否かという,制度設計の自由度の根本に関わる問題
であり,これが未だに「分からない」と言うのでは,文部科学省が使う「アカウンタ
ビリティー」という言葉は一般に使われる意味とは全く異なるのではないか,と推測
せざるを得ません.
 しかし,「わからない」ということは「独立行政法人」制度もあり得るということ
でもあり,また今回「独立行政法人に近い形」と表現したことからも,実質上は独法
化そのものである,と見るべきしょう.したがって今は隠されている項目3もいずれ
法案作成の段階で露見してくるでしょう.しばしば「法人化」という表現が見られま
すが,これは実態を隠す手助けをするもので,使うべきではないと思われます.

840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部  豊島耕一
toyo@cc.saga-u.ac.jp
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職場電話/ファクス 0952-28-8845