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独行法反対首都圏ネットワーク

☆「国立大学法人」は「民営化」への対抗案か?
 
. 2002年4月18日 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

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「国立大学法人」は「民営化」への対抗案か?

2002年4月18日
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

 「国立大学法人化」(=独立行政法人化)がうまくいかなければ「民営化」になる、という議論が一部に流布している。かなり以前から、文部科学省サイドはそういう”情報”を流してきた。だが、こうした議論は、根本的には「独法化」を飲ませるための”脅し”の議論に他ならない。
 今、国大協臨時総会を前にして、この”脅し”の議論を論破しておくことがきわめて重要になっている。
 結論から言えば、大学側が「独法化」、具体的には「最終報告」の線を拒否すれば、即「民営化」の線で確定する、というのは錯覚にすぎない。
その上、以下に示すように、こうした「ストーリー」には現実性がない。
 第一に、「独法化」構想の中心的な推進勢力である経済産業省の基本戦略は、科学技術開発のために莫大な国家資金を投入し、国家的プロジェクトとしてこれを推進することにある。彼らにとって、現在の国立大学が「民営化」されて、自由な運営をするようになることがよいのかどうか、答えは明白である。彼らには、独法で国家統制が効き易い形にしておくことがむしろ必要なのである。経済の活性化に向けて、すでに独法化された国研と国立大学(法人)+αを総動員する、という構想からすれば、「民営化」はピント外れということになろう。
また、独立行政法人化問題の端々にあらわれる、日本独特の”国家主義”的な「思惑」からも、また、文部科学省の「省益」からしても、「民営化」路線が容易に進むとは思われない。
 第二に、「民営化」を具体的にどのように実行するのか、これはむずかしい問題である。4月3日の経済財政諮問会議で、国立大学の法人化について1年前倒しの要求が出たように、「独法化」を進める勢力は急いでいる。こうした「焦燥感」にかられ、大学に対する「奇跡頼み」の人々にとっては、今から「民営化」で出直しということになれば、さらに何年かかるか分からず、彼らの側でもそのような路線を本気で考えてはいないはずである。
いずれにせよ、仮に「民営化」の線が出てきたら、大学側がこれにまた反対すればよい、というのが結論である。

 今後の大学側が取りうる道は、簡明には、次のようになろう。
 まず、「独法化」は大学として受け入れられない。ついで、「民営化」の構想が出るなら、それにも反対する。もちろん、前述したように「民営化」の構想自体、簡単に具体化できるわけではない。そのため、「民営化」論に対しては、その内容に即して批判することも必要である。
いずれにしても、大学側は、大学自身の論理でこれを判断するということが核心となる。
さらに、「独法化」を阻止しうるほどの力を大学側がつくれるなら、「民営化」に対してもそれ以上に強く大学側の力が結集されることになろう。そうなれば、その後に提案されるものは、今とはずっと違ったものになると考えるのが自然である。
 逆に言えば、「民営化」の”脅し”に屈服して大学側が「独法化」(=「最終報告」)に従うならば、その後により悪い意味での「民営化」も入りやすい。大学側が”脅し”に屈服せずに、「最終報告」を葬るなら、それだけ変な「民営化」も入りにくいのである。