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独行法反対首都圏ネットワーク

☆【解説】国立大法人化
 
[he-forum 3679] 東京新聞03/26(2).
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『東京新聞』2002年3月26日付(2)

【解説】国立大法人化


  研究や教育活動  存在意義を問う  低い評価なら廃校も

  国立大の法人化への移行は、十八歳人口の減少や、大学定数と進学希望者が
ほぼ同数になる「全入」時代を間近に控える中、自らの「存在意義」を世に問
い直す試みだとされる。

  厳しい時代に、どんな人材を育て、どんな研究に力を注ぐのか。さらにその
成果をいかにして社会に還元するのか。大学間に競争原理が取り込まれ、大し
た研究や教育活動も行わずに安住してきた「大学人」には逆風となる。

  法人化でどんな大学が生き残るのか。「どんな目標や計画を掲げるかが分か
れ目」(文部科学省幹部)という。

  各大学は法人移行後、大学設置者の文部科学省に対し、大学運営の基本的方
針や重点的取り組みを記載した「中期目標計画」を提出する。

  従来「学部あって大学なし」と揶揄され、全学的な方向性に乏しかったが、
今度は「達成度」も第三者機関に評価される。評価は公開され、大学運営費の
予算配分にも反映される。評価が低いと予算も乏しくなり、おのずと学生は集
まらない。納税者がそっぽを向くような大学なら廃校もある。

  報告書に描かれる法人化は一見バラ色に映るが、不安材料がないわけではな
い。大学ごとに人事や給与面など一切のルールを策定するため混乱が予想され
る。また教職員の身分は「非公務員」となり、企業役員などの兼業兼職が可能
になる一方で、国は産学共同施策も推し進めている。「経営競争や効率性の追
求にばかり傾くことで、大学に求められる基礎研究や広範な研究教育が衰えか
ねない」との懸念もぬぐえていない。

  こうした懸念も交えながら、現在九十九校ある国立大は法人化を予定してい
る二〇〇四年、九十校に統合再編されると見込まれる。将来を見据え、どんな
ビジョンを描くのか。今が正念場だ。(佐藤直子)