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独行法反対首都圏ネットワーク

どうみる国立大学法人化 国立大解体撤回求める
 
[he-forum 3664] しんぶん赤旗 2002.3.27.
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しんぶん赤旗 2002.3.27

どうみる国立大学法人化
国立大解体撤回求める

石井党国会議員団文部科学部会長が談話

 日本共産党国会議員団文部科学部会長の石井郁子衆院議員は二十六日、「国立大学 法人化の最終報告にあたって」と題した談話を発表しました。その全文はつぎのとお りです。

一、文部科学省に設置された国立大学に関する「調査検討会議」は、二十六日、現在 の国立大学制度を解体して「法人」にすることをもとめる最終報告書を提出しました。
 日本共産党は、「法人」化間題がとりざたされた当初から、このような政府の構想 は、「国が大学の教育行研究条件を手厚く保障する」という世界の常識に真っ向から 逆行するものであり、わが国の高等教育、学術研究の水準をいちじるしく劣化させ、 大学の独立性、自主性を失わせる道につながるものだと警告してきました。今回の最 終報告は、国立大学を解体する最大の口実として、「競争原理の導入や効率的運営」 などといういわば企業経営の論理を導入することをあげたうえ、大学の目標は「文部 科学大臣が・・・策定する」などとしています。さらに、全ての教職員を非公務員化 してその身分を不安定化させることも提案しています。これらは、わが党がきびしく 指摘してきたとおリ、国立大学をおよそ「学問の府」とは縁遠いものに変質させかね ないものです。
一、今日のわが国の大学がかえる最大の問題は、大学予算が欧米諸国の半分の水準に すぎないことが主因となって、教育研究条件きわめて低劣で、かつ、学生の負担する 学費が世界に例のないほど高いことです。ところが、報告書はこの大問題に一言もふ れず、そのときどきの政府が重視する分野にだけ「競争的資金」を投入するなどとし ています。この面でも「法人」化は、国民が大学に期待する基礎研究や幅広い分野の 研究・教育を衰えさせ、大学をいっそう深刻な状態に追いやるものです。
日本共産党は、国立大学の「法人」化と教職員の「非公務員化」に強く反対し、この 「最終報告」の撤回をもとめるものです。

効率性だけ優先

名古屋大学教授・池内了さんの話

これまで、私は、国立大学の独法化にはずっと反対してきたが、最終報告は、最悪の 結果になってしまった。報告には、大学の教職員を非公務員にすることが新たに盛り 込まれ、大学の経営面を担当する運営協譲会(仮称)に学外者を参入させて、そこから 学長を選定するとしている。こうした教学と経営を分離するやり方は、いかにもうけ るかという経済論理と効率だけを優先した考え方に基づくものだ。現在、大学の組織 運営についてはさまざまな議論があって、あまりに拙速すぎるのではないか。このま までは、教育内容も、経済論理や効率性では評価できない基礎教育が、まず切り捨て られることになり、日本の大学全体が魅力のないものになるだろう。大学の教育の質 といる点でも、低下する。(今後、国立大学はなくなるかもしれないが)こうした方 針は今後の日本の高等教育に悪影響を与えることは間違いない。(宇宙物理学)

雇用条件も劣化
東大職員組合委員長・田端博邦さんの話

「最終報告」は、私たちがこれまで再三にわたって指摘してきたように、独立行政法 人制度の基本的な枠組みを踏襲すると同時に、教職員の非公務員化と教育公務員特例 法の適用排除をはじめとして、教学と経営の分離、総長選挙制の廃止、役員会・運営 協議会への大幅な学外者の参加など、私たちがけっして受け入れることのできない内 容を含んでいます。このような「最終報告」を基礎にして「法人化」がなされるな ら、大学における研究・教育が荒廃すると同時に、私たちの雇用・労働条件が劣化す ることは明らかです。私たちは、文部科学省に対して「最終報告」の撤回を求めると ともに、国大協総会に対して「最終報告」を拒否することを求めます。また、東京大 学に対して、『学問の自由』と『大学の自治』を守り、「最終報告」に反対すること を求めます。
(労働法)