トップへ戻る   以前の記事は、こちらの更新記事履歴
独行法反対首都圏ネットワーク

☆千葉大教職組の学長要望
.[he-forum 3615] 千葉大教職組の学長宛要望書
-----------------------------------------------------------------
独行法反対首都圏ネット加盟者 殿
事務局です

千葉大教職組の学長宛要望書です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


2002年3月19日
千葉大学学長 磯野可一 殿

4月19日国大協臨時総会において文科省調査検討会議『最終報告』を拒否されるよう要望します
千葉大学教職員組合執行委員会

大学をめぐる情勢が一段と厳しさを増す中での激務に心より敬意を表します。

去る2月7日における学長交渉の席上、文科省調査検討会議が取りまとめを急いでいる「新しい『国立大学法人像』について」の『最終報告案』(3月26日の「賢人会」における了承をもって正式な報告となるが、便宜的に以下『最終報告』と略す)の内容について私達は重大な懸念を表明するとともに、こうした事態に対処するために緊急に国立大学協会(国大協)総会の開催をすべきではないかと申し上げました。これに対して学長は2月20日の評議会において、「3月1日の国大協理事会には千葉大学交友会結成のため出席できないが自分の見解を認めた書簡を送る、国大協の設置形態検討特別委員会を2月中に開催するよう求める、国大協臨時総会の開催を求める、この問題に関する教授会等の決議・見解等は学長として国大協に届ける」という方針を提示されました。学長の方針は、国立大学の在り方については国立大学連合体としての国大協が自ら決定すべきであるという当然の原則がゆらいでいる今日、極めて適切なものであります。全国に先駆けてこうした方針を提示され、直ちに臨時総会開催要求の手続きをされたこと、また、理学部教授会、文学部・文学研究科将来構想検討委員会の見解を国大協に届けられたことに、私達は深い敬意を表するものであります。
さて、学長のご尽力もあって、4月19日に国大協臨時総会が開催されます。この総会においては独立行政法人化(独法化)に関する一般的な議論ではなく、3月6日に提出された『最終報告』が、これまでの国大協総会での決議や議論に照らして承認できるかどうかの判断がなされなくてはなりません。周知のように、国大協は1997年11月の第101総会において国立大学の独法化に反対する決議を全会一致で決議し、独立行政法人通則法(以下、通則法と略す)が制定された後には同法に基づく独立行政法人化には反対であるとの見解を繰り返し表明して来ました。『最終報告』は、国立大学法人という名称を用いているものの、その内容は通則法そののものであることは多くの人々が指摘しているとおりです。いくつか例示するならば、まず、文科相が中期目標を策定し、中期計画を認可することとなっています。これは通則法29条、30条に対応しています。さらに、通則法12条の独立行政法人評価委員会に相当するものとして国立大学評価委員会が設置されます。法人の長たる学長に関しても、「意向聴取」を「教育研究や大学運営に相当の経験・責任を有する者に限定」して事実上、教員投票に基礎をおく現行学長選考制度を否定し、通則法20条が制約なく適用可能となる条件を準備しています。監事は、通則法20条2項と同様に主務大臣である文科相によって任命されます。これらはいずれも、国民の権利として憲法に明示された学問の自由とそれを保証するものとしての大学の自治に抵触するものであり、国大協として『最終報告』を受け入れられないことは明白であります。
しかも見過ごすことができないのは、昨年10月29日国大協臨時総会確認の「『中間報告』に対する意見」(国大協パブリックコメント)の少なくない部分が、『最終報告』において受け入れを拒否されていることです。第1に、国大協パブリックコメントでは、"「経営」「教学」は本来一体的である"と主張されているにもかかわらず、『最終報告』では、教学と経営の完全な組織的分離が提示されています。第2に、"そもそも個々の大学の中期的な目標を大臣が「策定」するような国はないのではなかろうか"として、「策定」を明白に拒絶したのですが、先にも述べたように、『最終報告』では、文科相が中期目標を策定することになっています。第3に、"国の管理を最小化するといった観点が必要"と指摘したにもかかわらず、『最終報告』では、中期目標の基になる長期目標は「国のグランドデザイン等」を踏まえたものでなくてはならないとして、国による統制を明言しています。第4に、総括的論点の冒頭に"法人化の前提となるべき財政的基盤の問題"を掲げたにもかかわらず、『最終報告』では、財政的基盤の確立についての具体的提示は見当たりません。国大協パブリックコメントが無視されている箇所は他にもまだありますが、この4点だけでも、国大協が『最終報告』に同意できないことは明らかです。
さらに、『最終報告』では大学教職員の身分変更が提示されています。1999年有馬文相(当時)が「公務員型」を前提として国立大学独法化への議論を開始したという事実を無視し、そして『中間報告』までの慎重な態度を1月25日以降一変させて、非公務員が謳われているのです。このことに関しては次の2点について国大協の厳密な検討が求められています。一つは、信義則に基づけば、身分変更の提案には、それに先立って当事者との交渉や協議が必要です。国大協は、文科省と国立大学の教職員組合との交渉を実現させるために努力することが必要であり、それ以前に非公務員化に賛成すべきではありません。もう一つは、非公務員化は教員への教特法(教育公務員特例法)の適用がなくなることを意味します。教特法を堅持することについては国大協が繰り返し要求してきたことであり、例え非公務員型となる場合でも、国大協パブリックコメントでは"学長、副学長、学部長や教員の選考・任免等は、国が設置者・管理者である大学の教育研究職の特質に鑑み、基本点を法律(例えば、「国立大学法人法」)に定めることが適切である。"と主張してきました。さらに「各法人の就業規則等内部規則に委ねるのではなく、….法律の形で明確に規定されるべきである」(2002年2月4日国大協設置形態検討特別委員会石委員長)との回答を重ねて文科省調査検討会議に送付しています。しかるに、『最終報告』では、かつて文部省(当時)自身が記してきた「教特法の精神」という文言もなく、法的措置ではない「各大学の就業規則等」によるとなっています。そうである以上、国大協臨時総会は自ら主張したことに基づいて『最終報告』を明確に拒否しなければなりません。
翻って考えてみるに、このような国大協の意思を無視した『最終報告』を作成した文科省調査検討会議の主査長尾京大総長が同時に国大協会長でもあるということは、奇怪というしかありません。磯野学長が2001年3月の学長交渉の席上、「私は、文部省(当時)調査検討会議に国大協メンバーが参加するべきではないと思っていた」としてその後の事態を憂慮されていたことが、残念ながら現実となったのです。長尾国大協会長は、総会の決定に明白に反する『最終報告』を作成した以上、自ら直ちに辞職すべきではないでしょうか。そして、4月19日の臨時総会はまず新会長選出からはじめるのが筋だと考えます。
これらを踏まえ、磯野学長に以下の事柄を要望するものであります。現在、私達は、国立大学、ひいては日本における大学と高等教育の未来がどうなるか、という極めて重要な分岐点に立っています。4月19日の国大協臨時総会が大学の命運を握っているといっても決して過言ではありません。磯野学長が、国大協理事としていっそうのご奮闘をされるよう、心より期待しております。

1.『最終報告』案を直ちに評議会で厳密に議論し、千葉大学としては同意できない旨、議決すること
2.4月3日の国立大学長会議で、「『最終報告』案に同意できない」との意志を表明すること
3.4月12日国大協理事会、19日臨時総会では、1)『最終報告』案を拒否し、独法化反対の意思を再確認すること。2)国大協総会の決定に反して『最終報告』案をまとめた長尾主査が自発的に国大協会長を辞職されないならば、国大協会長を解任すること。