☆ 阪大教職組3・5集会決議
. [he-forum 3554] 阪大教職組3・5集会決議
--------------------------------------------------------------
阪大で、3月5日に開いた緊急学習決起集会で集会決議を採択しましたので紹介しま
す。
集会決議
我々は3月5日、国立大学の独立行政法人化問題について学習・決起集会を開き、
文部科学省の調査検討会議連絡調整委員会が2月21日にまとめた『新しい「国立大
学法人」像について』の「最終報告(案)」の内容と教職員の身分問題、日本の高等
教育の将来について学習・討論した。
この「最終報告(案)」の持つ問題点は、
第1に高等教育を発展させる上で現在かかえている諸矛盾を解消しようとするもの
ではなく、大学等の高等教育機関に対する経費の削減と、大学の再編を求める財界の
要求から出発し、現在の制度では禁止事項となっている政府と財界からの大学介入を
容易にするために規制緩和をもくろんでいることである。 「最終報告(案)」がそ
の前提として「行政改革の視点を越えて、教育研究の高度化、個性豊かな大学づく
り、大学運営の活性化など、従来からの大学改革の流れを一層促進し、活カに富み国
際競争カのある大学づくりの一環として検討すること」と唱えてみても、具体的な内
容はこの文言に逆行するものとなっている。
第2に、大学教職員の身分について、唐突に「非公務員型」と決めたことである。
法律による身分保障を排除し、就業規則で規定することは、大学法人の自由意思に
よって雇用期間・待遇・諸権利が規定されることになる。「最終報告(案)」では、
「弾力的で多様な人事制度を実現」するとして「多様な勤務形態を導入」を謳い、
「任期付教職員の採用」「任期制・公募制の積極的導入」を標榜している。これは法
人に働く多くの教職員に任期付きの雇用を強いて、解雇要件までも弾力的な運用とな
る可能性がある。これらは、長期的な視野に立って教育・研究に従事するという職務
の性格を顧みることなく、経済性・効率性のみを追求した結果に他ならない。
我々は、長期的な展望にたって高等教育と研究に従事するという職務の性格に基づい
て、全国民への奉仕者である公務員の身分を維持することを強く要求するものであ
る。
第3に、国家公務員の、営利企業との兼業は人事院規則により「当該営利企業との
間に特別な利害関係又はその発生のおそれがなく、且つ、営利企業に従事しても職務
の遂行に支障がない(人事院規則14−8、第1条)」場合に限られているが、この
規定は国家公務員が国民全体の奉仕者であるとの考え方からくるものである。今回の
「最終報告(案)」で「非公務員型」を選択した理由の一つとして「営利企業の役員
等を含む兼職・兼業について、法人の方針に基く弾カ的な運用」が挙げられている
が、高等教育機関という公共的性格を持つ大学教職員がむやみに営利企業の役員等と
兼業・兼職することは、国民全体への奉仕者から営利企業への奉仕者となりかねず、
国立大学の使命をないがしろにするものである。
以上のように、この「最終報告(案)」のような大学が実現すれば、基礎的学問は
衰退し、教育研究水準は低下、「国際競争力」などは望むべくもない。政府が科学技
術基本計画でどれだけ巨費を投入しようと、大学人の知的好奇心と自由な発想に基づ
いた努力を尊重できなければ、大学が真に国民の期待する高等教育機関として発展す
ることはないといえる。
我々は、高等教育に責任を持つ者の一員として、このような重大な内容を持つ「最
終報告(案)」を断じて受け入れることはできない。
2002年3月5日
3・5緊急学習決起集会