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独行法反対首都圏ネットワーク

☆国立大の値段は? 法人移行控え資産計算に難問
 
. [he-forum 3527] asahi.com 03/02
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asahi.com  2002年3月2日付

国立大の値段は? 法人移行控え資産計算に難問
 
 
 著名画家が卒業制作で描いた絵に値をつけるとしたら、いくらになるか。大
学が持つ演習林に立ち木は何本あるか−−。全国99の国立大学が、こんな課
題に挑んでいる。早ければ04年度に独立行政法人へ衣替えするのに伴い、大
学ごとの資産を計算する必要があるからだ。学問上の財産をどうカネ勘定する
か。最高学府が「応用問題」に悩んでいる。

 旧帝大の中でも広大な演習林を持つ北海道大学。観光名所のポプラ並木なら
「50本」と、大学側も把握している。しかし、演習林7カ所の面積は6億5
175万平方メートル。その中にある立ち木の本数を数えて一本一本の資産価
値を出すのは、気が遠くなるような作業だ。

 「ほとんど人が入っていない山林もある。演習林の境界も図面上と実際は違
うことがあるし、未登記の土地もある。どうなるのでしょうか」と北大側は心
配する。

 東北大の担当者も演習林や農場について「立ち木は木に番号をつけているは
ずだが、時価1本いくらと計算をし始めると作業はパンクする。ひと山いくら
で出せないものか」。

 東京大学も演習林の立ち木数や境界は確定していない。史料編纂所や図書館
所蔵の古い書籍などもある。

 美術、工芸、音楽をはじめ国内の著名な芸術家が多数輩出した東京芸術大学。
学内の美術館には、学生の卒業制作品のほか、国宝などの指定文化財約40点
を含む所蔵品約4万5000点が収められている。

 上村松園の「序の舞」、狩野芳崖の「悲母観音」、高橋由一の「鮭」……。
挙げ始めたらきりがない。これらの資産価値はいくらなのか。

 東京芸大によると、教材用に取得した美術品は取得価格があるが、卒業制作
の作品などは物品台帳での管理だけだ。

 大学側が「念頭に置いている」という事例が、昨年4月に一足早く法人化さ
れた国立博物館だ。

 国立博物館の場合、美術品などは国から無償で受け継ぐ形を取り、時価を出
していない。さらに、収蔵品を譲渡したり担保にしたりする際は国の認可が必
要という縛りもかけ、法人化移行時には、建物や土地などの価格算定が主体だっ
た。

 「価格算定よりむしろ、展示品や土器のかけらのような収蔵品を含めて約1
0万点近く所有していたので、その数の確定作業が大変だった」と、法人化に
かかわった文化庁担当者は話す。

 国立大学も、法人化すると国の組織から切り離され、法人としての土地、建
物や資産価値の確定が会計上、必要になってくる。

 国立大学法人化法案(仮称)やそれに伴う細則づくりは文部科学省が進める
予定だ。その骨格となる最終報告が近くまとまり、順調に行けば来年1月の通
常国会に法案を提出、法人化実施は04年度当初の見込みだ。準備期間は2年
ほどしかない。

 国立大学は各大学ともその土地の風土と密接しながら文化価値、歴史的価値
を保ってきただけに、これから、どの大学も事務作業に右往左往しそうだ。