小泉内閣メールマガジン34号2002年2月14日付
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小泉内閣メールマガジン34号2002年2月14日付
● 産学官の連携と地域科学技術の振興で、日本経済全体の活性化を
(科学技術政策担当大臣 尾身幸次)
現在の日本の厳しい経済情勢には3つの要因が考えられます。その1つは
景気循環の問題、2つ目はバブル崩壊に伴う後遺症、そして3つ目は産業の
空洞化の問題です。
景気循環とバブル後遺症は時間をかけて解決することができますが、産業
の空洞化は正に構造問題であり、時期が来れば解決するというものではあり
ません。正に改革が必要です。空洞化問題を解決し、一刻も早く国際競争力
を回復し、日本経済全体の活性化を図らなくてはなりません。
戦後の日本は、先進国に追いつき追い越せというキャッチアップの時代を
経てきました。海外から技術を導入し、これを改良して、より品質の高い製
品を作り、海外に輸出して、経済発展を実現した訳です。その結果、マラソ
ンに例えれば、ビリからスタートしてようやく先頭集団フロントランナーと
して走れる時代に入ったのです。しかし、これからもフロントランナーとし
て走り続けるためには、道なき道を自分で切り拓いていくことが求められて
います。
言い換えれば、新しい原理・原則の発見などにより、新しい技術、新しい
商品、新しいサービスなどを創り出し、新規産業・成長産業の創出に結びつ
ける必要があります。そのためには、大学等の頭脳を産業活動に活用するこ
とがどうしても必要となります。
このような産学官連携の実現のためには、大学では、旧態依然とした講座
制による教授支配のピラミッド構造を打ち破り、若くても能力さえあれば自
立し、自由に研究できるような競争的環境を創り上げなくてはなりません。
このためには、大学改革において弾力的な活動ができる非公務員型の独立行
政法人に移行することが必要だと思います。
産業では、研究開発から製品販売までをすべて社内で行う自前主義から脱
却し、大学等の頭脳を積極的に活用して、競争力を強化しなくてはなりませ
ん。
また行政は、不適切な規制の撤廃を進め、特に産学連携による研究開発に
重点的に資金を投入するなど、連携促進のための施策を講じる必要がありま
す。
一方、空洞化により疲弊の度を強めている地域経済を再生させるため、科
学技術を軸として、世界に通用する新技術やベンチャー企業を連続的に生み
出すことを目的として、昨年、私は「地域科学技術振興プラン」を取りまと
めました。
現在、このプランに基づき、地域における中小企業を含めた技術開発の強
化、大学発ベンチャーの育成、産学官連携のための支援体制の整備に強力に
取り組んでいます。
グローバリゼーションの進む時代において、国際競争に打ち勝っていくこ
とのできる国と地域づくりを実現するため、実効性のある政策を進めていき
ますので、皆様のご賛同とご参加を、お願いいたします。