☆国立大学再編統合 進む地域ブロック化 群馬大と埼玉大・全方位外交の福島大
.[he-forum 3455] 新潟日報02/18
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『新潟日報』2002年2月18日付
国立大学再編統合 進む地域ブロック化
群馬大と埼玉大・全方位外交の福島大
近隣でも動き急・本県、具体的協議めど立たず
文部科学省が推進している国立大学の再編・統合の動きが本格化してきた。
弘前大、岩手大、秋田大が統合を視野に協議を開始したのをはじめ、本県の近
隣県でも先月、群馬大と埼玉大が同様の動きを見せるなど、隣接県同士の「ブ
ロック化」が顕著だ。
具体的な動きが見えない新潟大、長岡技科大、上越教育大にも影響を与える
のは必至だ。近隣大学の動向を追うとともに、元東大総長で同問題に詳しい有
馬朗人元文相に国立大学改革のあり方について聞いた。(東京支社・塚田朋弘)
■ 思惑が一致 □
群馬大と埼玉大の学長は先月24日、都内で会合を持ち、統合に向け協議を
進めることで合意した。群馬大によると、「地理的に近いことはもちろん、統
合によるスケールメリットや国際競争力の強化」という思惑の一致が協議開始
への理由という。統合が実現すれば、東大、京大、神戸大に次ぎ全国で4番目
の学生規模の総合大学誕生となる。
一方、幅広い可能性を模索しているのは福島大だ。福島大は、山形大、宮城
教育大と先月24日、教員養成学部の再編・統合の可能性を探る学長レベルの
初会合を開いた。
臼井嘉一・福島大副学長は「情報交換が中心」としながらも、「再編・統合
に向けたさまざまな可能性を探ることで一致した」と説明する。3大学に限ら
ず、すでに単位互換協定を結んでいる茨城大、宇都宮大との連携も引き続き行
うとし、全方位外交を展開する。
■ 早く意向を □
また富山大では「教育学部の再編統合について金沢大、福井大と意見交換し
ている」とするが、具体的な協議は進んでいないのが現状という。
富山大総務部は「文部科学省が先月末に行った統合再編に関するヒアリング
で、『早く明確な意向を示さないと同省の計画に沿ってやりますよ』と説明を
受けた。学内で検討を急いでいる」と漏らす。
富山県では、県が音頭を取り、経済界や地元市町村などをメンバーとした
「国立大学の改革等に関する懇談会」を昨年11月に設置。急速に進む文科省
の再編統合計画に危機感を募らせ、同月末には「文教の中核として、絶対に存
続すべきである」とした中間提言を文科省などに提出した。
■ 遅れる本県 □
隣県大学間のブロック化が進む中、本県では、新潟大が、先月24日に公表
された文科省のアンケートに、「長岡技科大、上教大との再編・統合について
検討中」と明記、両大学に秋波を送った。しかし、具体的な協議の目途は立っ
ておらず、再編の明確なビジョンが示されていないのが現状だ。
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<有馬 朗人元文相>
外圧によらず、将来像熟考を
― 国立大学の再編統合協議が進んでいるが。
統合は、各大学にとって教育環境を充実するための有効な手段でなければな
らない。外圧によって決めてはいけない。文科省の方針を一つの忠告と考えて、
もっと大学自体のあり方を考えなければならない。
― 地方の総合大学間での動きも出てきた。
多くの総合大学は、設立の過程で単に学部をくっつけて出来たに過ぎず、総
合大学の体をなしていない。それを統合するとなれば、大学間で統合後の将来
像を徹底的に協議する必要がある。
― 文科省は大学数を減らすと明言している。
単科大学を安易に総合大学にくっつけるというのでは意味がない。多様な教
育を提供する総合大学と、技術教育を追及する単科大学との役割は違う。実業
高校の減少を補う意味でも、単科大学の重要性は大きい。
― 地方の国立大学に求められることは。
地方大学はもっと、地域内の学生の入学枠を作ったり、地域産業と協力を進
めたりして、連携を強化すべきだ。地域社会の中心であることを再認識する必
要がある。