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☆開かれた大学/富大の全授業開放に期待
 
[he-forum 3413] 北日本新聞社説02/11
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『北日本新聞』社説  2002年2月11日付

開かれた大学/富大の全授業開放に期待


 富山大学が学生向けの授業のすべてを一般市民に開放する「オープン・クラ
ス」(仮称)の準備を進めている。

 国立大学は今、再編統合のうねりの中にあり、中でも地方大学は地域への開
放と連携強化が焦点となっている。受講機会の増加は、富山大の存在を広く発
信する機会になるだけでなく、学生と一般市民がともに学ぶ、地域に開かれた
大学の在り方に大きな影響を与えるだろう。

 どのように運営するのか。十月の実施へ向け、学外の意見も聞き、十分に議
論してほしい。

 富山大生涯学習教育研究センターは地域開放事業として、公開講座のほか、
出張講座、公開授業などを開設し、学ぶ場を広く提供している。また、各種イ
ベントの開催は、地域交流に大きな役割を果たしている。

 公開講座は昭和五十九年の三講座から本年度は三十八講座に拡充された。テー
マは学術分野のほか、テニス、ジョギング・ランニングなど健康・スポーツ、
パソコン教室、英会話など実務、究極の梅干しづくりなど趣味までと間口は広
い。学術分野を除き、行政、民間のカルチャー教室とテーマが重複するものも
あるが、大学という「場」を提供する意味は大きい。

 半面で、テーマによって応募にばらつきがあり、十三年度千二十三人の募集
に対し、応募は五百七十四人にとどまった。情報処理、健康・スポーツの人気
は高いものの、人文・社会・自然関係は低かった。PR不足が指摘され、昨年
九月には新聞の折り込みチラシの配布を実施し、大きな反響があった。募集活
動を積極的に進めてほしい。

 大学の正規の講義の一部を一般市民に開放する公開授業は、オープン・クラ
スの母体となるもので、富山大の場合、本年度はボランティア概論など三講座
が開設された。しかし、受講するには、特定の条件を満たし、コマ数の半分以
内しか受けられない、という決まりが他大学同様にあり、大きな制約となって
いた。

 オープン・クラス構想は、制約を取り払い、原則としてすべての授業を全時
間公開する。受講機会は格段に増え、幅広いカリキュラムの中から自由に選択
することができる。富山大には、県民生涯学習カレッジで学んだ後のステップ
アップ講座の開設など、多くの要望が寄せられており、オープン・クラスの活
用で、可能性はさらに広がる。

 授業を一般に公開する大学は、全国的に増加傾向にあり、隣県では信州大が
昨年十月から医学部を除く、すべての学部で授業を公開している。

 富山大は早ければ今年十月の十四年度後学期の実施を予定している。学生と
一般市民が世代を超えて共に学ぶことは、大きな刺激になるだろう。

 優れた技術、技能を持つ市井の人たちの起用や、地域に根ざした講座の開設
などに期待が集まる。オープン・クラス開設を、地域に開かれた大学づくりに
生かしたい。